二千未満払い

不定期連載 山道をゆく 第225話
甘利山(山梨百名山、庵選千名山493)、
奥甘利山(庵選千名山494)、
千頭星山(山梨百名山、庵選千名山495)
【二千未満払い】

5/16(日)
庵庵−下白根−R16−亀甲山−川井浄水場入口−R16−ESSO相模富士SS
−八王子バイパス−八王子IC−境川PA−韮崎IC−県道27号線(韮崎昇仙峡線)
−一ツ谷−R20−武田橋北詰−神山町−県道12号線−甘利山入口
−県道613号線(甘利山公園線)−甘利山駐車場…甘利山…奥甘利山分岐
…奥甘利山…分岐…御所山分岐…千頭星…御所山分岐…奥甘利山分岐
…甘利山…駐車場−甘利山入口−神山町−武田橋北詰−一ツ谷−韮崎IC
−双葉SA−釈迦堂PA−八王子IC−八王子バイパス−R16−Mobilシンエネ鵜森SS
−下白根−庵庵

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特に事前準備もなかったのだが、2000m未満の地に厄があるとは言い過ぎだろうが、それを越える登山で気分一新すべくと考え、千頭星に白羽の矢を立てた。
思い立ってすぐ出発することも激減した。腰が重くなってしまったのか。山地図を眺めて虎視眈々と機会を窺う機会も減った。忙しい。以前は寸暇を惜しんでかっ飛んで行ったと言うのに。今は一走りで到達可能な未踏峰も確かに少なくなってしまったが、、、
今回も未明に出発した。R16はそこそこの交通量である。前の車のカーナビ、否TVに見覚えのある動画が放映されていた。格闘技のようである。日曜未明と言えば、確かに新日本プロレスタイムではないか。あの緑のパンタロンは田口だろう。と言うことは、IWGP Jr.戦ではないか、、、気になった。脇見には相当しないが脇見はいかんのだが。
未明の中央高速をかっ飛ばし、韮崎で降りる。空は明るみを増しているが、全体的に白い。舗装された林道をゆっくり伝うが、アントニオの希望とは裏腹に、窓を開ければ霧雨が滴る勢いである。今日の山行はどうなることか。好転を願っているうちに駐車場に到達した。
先客およそ10台。うむ。山頂まで短距離だからだろう。支度をして5:36、駐車場を発つ。甘利を越え、千頭星辺りで晴れてくれれば良い、そう思いながらプチガスの中を模索して行った。
甘利山頂の寸前で1人と擦れ違うものの、12分で山頂に到着してしまったが、そこには誰も見当たらなかった。天空が霧散しようとしている。千頭星が雲海からひょっこり頭を出しているではないか。それにしても先客と思われる残りの方々は、アントニオの遥か先を行っているのだろうか。駐車場を5時台に出発して5時台に到達してしまう山頂もいかがなものか。
先客は、追って抜き去らねばならない。先客に罪はないのだが、ひっ捕まえて宇宙の果てまで運び去らんと欲するぐらい、アントニオはノッていた。快調に行進し、6:10には奥甘利山に到着した。山頂は山道から少々逸れており、ガスって展望も利かないのは明らかだが、山ノ神の思し召し により、山頂に寄ることにした。標高1843.4mである。千頭星までの中間地点くらいだろうか。晴れていれば何処の山が見えるのだろうか、、、

快速特急千頭星行きはまだまだ勢いを増しながら登って行った。御所山分岐に到達したのは6:42であった。ここから千頭星までコースタイムにして30分である。何の拘束もないのだが、7時に間に合うか気掛かりになり、快速列車はなお勢いを増すしかなかった。快速がガスを散らしたのか、御所山分岐を過ぎると、北側には雪を戴く観音岳に地蔵岳が凛々しい。南東側は大展望の筈がまだガスである。何時もはやっかむ雲海だが、今日はその美しさにほとほと見惚れるしかなかった。今日も元気だ、オベリスク。金峰などの奥秩父山塊も鮮やかで、アントニオは絶景エンジンで加速して行った。イオンさえ要らない。地球にとことん優しかった。

快速運転の末、千頭星山に到着したのは6:59であった。駐車場の標高も奏功したが、2139m峰は将に朝飯前であった。駐車場から1時間半かけずに山梨百名山2つである。快調だった。どうしたことか、駐車場に10台はあった車だが、甘利山手前で1人と擦れ違って以来、誰とも遭遇しないのである。まさかこの多少の積雪が残る時期に、千頭星を越え、薬師や青木鉱泉を目指している兵たちなのだろうか。あり得ない、、、
展望の乏しい山頂では小休止のみで引き返す。ガスが切れた北面には絶景が待ち構えていた。真正面には赤岳、権現、編笠が並ぶ。その「赤」は、果たして「白」かった。東側に視線を移せば、南御室、薬師、観音にオベリスクの雄姿である。東側の雲海の美に息を呑む。


奥甘利分岐に到達すると、千頭星から富士、朝霧、毛無、雨ヶ岳が雲海上に浮かんできた。そうか、ここからも富士が見えたのか、少し登って再度奥甘利山頂から眺めさせていただこうかと思った矢先、ガスってしまった。今日はじめて登山者らしき人1人と擦れ違った。宇宙の果てまで運び去らんとする意欲は今何処。
8:08、甘利山に戻る。南東側はガスが立ち込め、富士は見えず。金峰雲取方面は開けてきた。あ、富士も一瞬。。。今年はじめの2,000m級、今年はじめの岳樺であった。


駐車場の手前に三脚を構えたカメラマンが若干1人。富士を狙っているのだろうか。もう少し上で撮影すればよいのに、、、ほどなく駐車場に到着してしまった。まだ8時半である。6時登山開始で11時頃に下山し、温泉に浸かる積もりではあったのだが、林道を車で降りてもまだ9時を過ぎたばかりである。10時からの温泉を待つのも時間が勿体無いように思う。しかし、山梨まで来て午前中でケリをつけるのも、、、
逡巡もなく、気がつくとまた中央道の人となっていた。腹も少し減っているが9時に昼飯と言うのもどうかと思い直して双葉SAを発ち、釈迦堂でトイレ休憩をした程度で小仏トンネル牛歩渋滞にも遭遇せず、快適なR16の旅、12:15には5帰庵してしまった。駅前登山ならぬ駐車場前登山は、斯くの如きか。 (完)

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付録:
山旅アドバイス
・概して登り易い。ガレ・ザレなし。