オセロの理論・リベンジ

不定期連載 山道をゆく 第231話
不定期連載 麦道をゆく 既出
古寺山(庵選千名山502)、小朝日岳(庵選千名山503)、
大朝日岳(日本百名山、庵選千名山504)、
鳥原山(庵選千名山505)
月山銘水館(ミュンヒナー)
【オセロの理論・リベンジ】

9/23(木・祭)
庵庵−鴨池大橋−県道12号線(横浜上麻生線)−横浜青葉IC−東名高速
−首都高3−

9/24(金)
−C2−5−C2−S1−東北道−安達太良SA−村田JCT−山形道−寒河江SA
−月山IC−県道27号線(大江西川線)−真室川小国大規模林道
−古寺鉱泉駐車場…古寺鉱泉…一服清水…ハナヌキ峰の分岐…三沢清水
…古寺山…小朝日岳…大朝日岳…大朝日小屋…銀玉水…小朝日岳
…鳥原山…畑場峰…古寺鉱泉…駐車場−林道−地蔵峠−県道27号線
−奥おおえ柳川温泉−大江町役場−村山西部広域農道−R458
−六十里越街道(R112)−出光間沢SS−道の駅にしかわ−R112−西川IC
−山形道−古関PA−村田JCT−東北道−吾妻PA−

9/25(土)
−蓮田SA−川口JCT−首都高−用賀−東名高速−横浜青葉IC
−R246−江田駅東−平台−中原街道−山王前−出崎橋−鴨池大橋
−庵庵

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一昨年前の夏、銃走路の北側から入る予定であった。電車、バスを乗り継ぎ、大島登山口の朝日屋にて、晩飯に大きな生牡蠣を食ったが運の尽きであった。北側の以東岳などには当然寄れないが、地図を模索しているうちに大朝日岳は10時間超のコースで日帰りが可能であることが発覚した。北側の登山口から小1時間は歩いたのだ。この度、南側を制覇すればオセロの理論で朝日岳縦走路は完了扱いとできるのだ。果たして、一昨年前のリベンジなるか。
満を持して飛び石連休の中日を休みにしたため、4連休となった。気合を入れて、蔵王、月山を加えた百名山3連発を目論んでいたのだが、その連休初日は目的と考えていた東北地方の何れの箇所でも天気予報は雨となっていた。翌25日の予報も芳しくなければ、24日に日帰りで3連発のうち一番骨が折れそうな箇所をと、朝日を選択することにした。
23日当日は、鳥甲行脚とほぼ同じパターンで晩飯、風呂を済ませて就寝し、やはり23時頃に起きて支度をして出掛けた。今回は、前回帰庵間際に給油して満タンであったため、すぐに高速へと向かう。従来では港北インターから第3京浜、玉川インターから用賀までは環8との段取りであったが、調査の結果、全体距離的には少々短く、料金も100円しか嵩まないので、東名青葉インターを利用することにした。ものの数分だが、用賀インターを23日中に通過するか否かで首都高の料金がETCでは60円違っており、東名青葉経由にて23日中に料金所を通過できたのが幸いである。100円差が40円差に縮んだ。今日は雨中の運転である。天気予報を信じて進む。用賀から先は何時もの通りの道なりである。割と体力もあり、安達太良SAの給油休憩までノンストップで運転をした。その後、村田JCTから空き空きの山形道に進み、月山PAの存在を失念していたため、高速下車前最終休憩として寒河江SAに寄った。薄曇である。天気予報を信じるのだ。
月山ICで高速道を離れ、県道を進む。空は明るみを増し、地元の車両もちらほら動いているのを見かけた。古い記録をかき集めていただけなのか、鉱泉までの道は途中から非舗装などとの指摘を気にしていたが、舗装路を走っているまま、どうやら鉱泉直前の駐車場に到達できた模様である。連休中日平日ではあるが、20台近い車が並んでいた。半数はもしかすると前日入り組かも知れぬ。そして、数組が出発準備をしていた様相だ。アントニオはおにぎりを1つ平らげ、トイレに寄って間も無く、5:45に駐車場を発った。
空は更に明るみを増して来た。雲が大きく切れそうだ。太陽頑張れ。一服清水で小休止しながら、なだらかな山道を進む。この傾斜なら幾らでもかかって来い!である。ううむ、これならば下りにもこちらを選択したいと感じていた。ハナヌキ峰の分岐には7時丁度の到着だった。なだらか故にコースタイムを稼ぐのは難しかったと思うことにしよう。

数パーティーを抜きながら快調に稜線を少々喘ぐと、分岐から40分で古寺山に到着してしまった。コースタイム1時間50分の区間なのである。箱根の新神様、柏原君でも追い抜けるだろうか。この区間新記録は数十年塗り替えられることはないであろう。 西朝日、寒江、以東などの山々が視界に広がっている。もう、行っちゃうぞ、バカヤロー状態であった。

30分ほどで小朝日岳に到達するも、次第に雲に巻かれて来てしまう。山頂はダメか、、、だが引き返す訳にも行かぬ、、、早くもリベンジ必須が決定か、、、


小朝日から先はフリーフォールが如く、急降下が続いた。勿体無い程高度を下げてしまう。。。勿体無い、、、小朝日も復路での通過を選択するなら、往路は巻き道がベターであろう。だが、フリーフォール後の稜線は長かったが百名山登頂に必要な道程であることを感じさせてくれた。日帰りで斯くも壮大な景観に囲まれてしまっていいのか?嗚呼、勿体無い!でもまた明日は雨だろうに。古寺の先で追い抜き、巻き道経由で先に大朝日を目指す夫妻を再び追い抜いた。やれ、次回は間違いなく巻き道使ってやるぞ、と思いながら大朝日小屋に到達する頃には雲が切れつつあった。正義よ、勝て、勝つのだ〜


9:34、山頂に到達した。佐渡方面以東方面小朝日方面の雲が僅かに切れ、、、と思っているうちに、ずんずんずんずん雲が切れてきた!蔵王方面もくっきり!待っている間に360°大展望!否、鳥海方面だけ雲が残っているが、岩手栗駒吾妻磐梯、、、と果てしなく展望が広がっている。果てしない、果てしない、、、小朝日を巻き道でショートカットしていたら既に下山を始めてしまっていたかも知れない。全て、台本通りだったのだ。正義は、勝つ。




大朝日小屋まで来て少々催してしまったため、トイレを借りることにした。清掃協力金だが、、、あれっ、財布が見当たらないぞ、、、皆車の中に置いて来てしまったか、、、管理人のオジサンには申し訳なかったが、誤魔化して小屋から出て来てしまった。
気になればなるほど、先ほどの登山時とは打って変わり、下山時は何時までも小屋がこちらから確認できてしまうのだ。こちらから見えるとは、向こうからも見えるということだろう。。。下山したら何とか、、、小屋は町営だろうか。どこの町だろう?その町役場に行けば何とかなるかも知れぬ、、、少々後ろ髪引かれる思いで、また登り返したくない逆フリーフォールを登り返し、小朝日岳に戻った。
往路と互い、視界は抜群である。小屋も未だ良く見えるぜ、、、鳥原山方面も良く見え、アップダウンも多く、狭路も断続的に現れた。少々険しくスリリングなルートであった。今から登らんとする人の数自体が少ないのか、擦れ違う人は殆どなかった。
昼直前に鳥原山に辿り着く。少々「偽」山頂に騙され続けた。さぁ、あとは下りか、、、と思いきや、鳥原山過ぎて、いきなり沼が如き泥濘に閉口した。歩き難い。やるなら上りに限るだろう、、、
1時間半は歩いたか、、、沢の音声が激しくなってきて10分は経過しただろうか、漸く朝陽館脇の、沢の対岸側に降りてくることができた。鉱泉風呂も未だ準備中の札がかかっている。駐車場に戻って来たのは13:43であった。荷物を整理している間に、小朝日岳手前で追い抜いたおじさんが到着した。最短ルートである古寺山経由でやって来たのだろう。庵速でそちら経由ならあと30分は早かったと思う。
さて、気にかかる大朝日小屋管理の町だが、山岳地図の付録冊子に記載があり、大江町管轄であることが確認できた。左沢駅の近くに役場マークがあるがこれだろうか。幸い今日は平日である。役場が17時まで業務として、その前に温泉に寄る時間は十分ありそうだ。初代週刊百名山に掲載されていた頃はたったの200円と言う柳川温泉を訪ねてみたい。地蔵峠を乗り越えて下ってから分岐する、新道と思われるトンネル抜けコースもあったが、マピオンのドライブガイドでは峠から分岐する林道ルートが提示されていたのでこちらを選択した。舗装されては居るが、台風などの影響による小枝散乱に加えて町の道路課指示によると思われる草刈最中ともあり、通過には若干の勇気が必要だった。次回、次回があればだが、できれば新道経由としたく、、、
トンネルの出口の先で県道27号線と合流し、少々進んで柳川温泉へと辿り着く。料金は300円になっていたがそれでも安い。平日ともあれば客としては地元の老人しか見当たらなかった。示し合わせていたのか不明だが、断続的に1,2人ずつ時間を追うごとに入れ替わりでやって来ているようであった。脱衣所では、山をやって来たように見えたのか、そのお爺さん等の1人から、昨日山小屋泊かなどと聞かれた。明日はまた降るらしいので日帰りにした、と答え、日帰りとは凄いと褒められた。しかし、朝日くらいで褒められても、と思うアントニオである。笊より厳しい日帰り山行があるだろうか。確かに鳥原山からの最終下りは辟易させられたが、笊からの下山の苦悩の比ではない。温泉は掛け流しであった。露天風呂もあり、ゆっくりと汗を流して寛ぐことができた。
風呂の受付にて、念のため、大江町の町役場の位置とおよその所要時間を確認して温泉を発った。県道27号線は、センターラインのあるところもあれば、まだ拡張工事中の箇所もあった。この交通量で拡幅はいかがかと思うのだが、、、左沢駅付近にもなると少々交通量も増えたが、とても渋滞には程遠いそれであり、余り迷う事無く町役場に到着した。何処にも大朝日小屋のトイレ整備協力金云々の張り紙やポスターは見当たらない。恐る恐るふるさと振興課の方に声を掛けるとドンピシャリであり、上で払えなかった100円と寄付を含め、世界最高額のコインを1枚差し出すことにした。少し肩の荷が下りた。
さて、このまま大人しく帰るか、何処かで仮眠でもするか、仮眠の前に中途半端で昼飯とも晩飯とも呼べないものを食べてることにするか、寄付をして少々得意になっていたアントニオは、再び道の駅にしかわにやって来た。昨年のシルバーウィーク中とは客の数が雲泥の差であった。レストランは、此処まで来て平日は休業か、と見紛う様であった。客が居ないのである。しかし営業中だったので安心した。昨年はミュンヒナーが季節限定だったような!?!?ピルスナーとミュンヒナーが定番としてメニューに載っており、季節モノは案の定、ヴァイツェンであった。紛う事無くミュンヒナーを所望し、月山銘水館御膳とともに美味しく頂いた。
駐車場で仮眠している間にレストランは閉店していた。すっかり日も落ちている中、西川インターから再び高速に乗った。交通量は少なくはなかった。明日は土曜だから先行発組の車だろうか。そして、東北道を南下しているうちに大雨となった。この雨が明日朝日岳周辺にも潤いを齎すことだろう。矢張り、日帰りで正解であった。事前に地図チェックを怠ったこともあり、青葉インターから、往路で選択したルートを見失っていたものの、見覚えのある交差点から中原街道を走り、庵庵へと戻った。大雨の中、真夜中の帰庵であった。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・古寺鉱泉駐車場までは舗装路。
・古寺鉱泉駐車場にトイレあり。
・古寺鉱泉から鳥原山間は時折狭く、泥濘も多い。
鳥原山から小朝日岳間も変化に富み、
下りよりは上り利用が無難と見られる。