復活

不定期連載 山道をゆく 第185話
06/04/29
浅間隠山(日本二百名山、関東百名山、庵選千名山367)
【復活】

4/29(土)
庵庵−中原街道−R16−八王子バイパス−入間IC−高坂SA−寄居PA
−本庄児玉IC−R462−R17−R406−県道54号−二度上峠下…浅間隠山
…二度上峠下−亀沢温泉−R406−R17−R462−本庄児玉IC−嵐山PA
−入間IC−R16−八王子バイパス−保土ヶ谷バイパス−環状2号
−Z one−環状2号−菅田道路−庵庵

…:歩き、〜:電車
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3月の荒川市民マラソンを終え、その翌週のリハビリハイクを熟し、愈々本格的な登山シーズンを迎えようとしていたのだが、残念ながら左アキレス腱が完治していない。医療事典等で調べたところに拠ると、完治までの期間例としては数週間から数年と言う気の長い幅があるとのことだ。来年の東京マラソン、その前に練習もしなければならないが、迄には治しておきたい。
事典に拠れば完治までは速く走ってはいけないとのことであったので、走らなければ悪影響はなかろうと、今回もリハビリ目的で軽い山を考えていた。調子が良ければもう1山追加で登れば良い。
さて、前夜は部門のキックオフパーティーでしこたま飲んでしまった。飲み放題メニューを逸脱していたのだろうが、途中に飲んだ竹酒が喉越しに利き、つい飲み雄叫び過ぎてしまっていた。明日の好天は逃すまいと一月程度の怨念を背負っていたのだ。飲み過ぎるべからずと思い思いながらも結局帰宅は軽く23時を回ってしまっていた。心を鬼にして2時前に目覚ましを2つセットし、荷物を揃えて床に就いた。
気持ちの良い目覚めとは程遠いながらも、2時には目が覚めた。久々にキヤイが入ったのである。何が何でも山へ行く執念が、二日酔いに打ち克った。若干胃が重いだけさ。向こうに到着すれば何とかなるさ。
真夜中のR16も昨年の夏以来だろうか。ホームグラウンドに還って来た気分である。黄金習慣前期初日故にもう少し激しい混雑を想定していたが、思った程ではない。毅然と入間ICへ休部号を転がすのみである。
入間ICを4時までに通過できればETC深夜割引が適用されるのが、2時前起きの根拠である。そして高速も快適なれども、更に節約のために本庄児玉ICにて下車した。ガス代が高騰する中、神奈川県内ならリッター当たり大抵130円を越えるのところ、本庄市内に121円なる看板を発見し、帰路には是非とも立ち寄ることを決意しながら中山道を北上した。R17は適度に車が流れていた。R406に入っても地元の車は疎らで、運転は快適であった。さて、2年前のスリップ現場に近付いたが、当然現在は雪は微塵もなく、あの悪夢の再現場所は何処かと眼を皿のようにして沿道を注視してみたが、果たして思い出すことはできなかった。時は流れた。彼是我が休部号は間もなく最初の車検を迎える。運が良かった。対向車もなく助かった。今、あの教訓を胸に、その時登れなかった山を目指し、克服しようとしていた。
程無く登山口の看板が見え、その先にこじんまりとした駐車スペースが存在した。登山口付近は駐車し難そうだが既に先客の車が1台停めてあった。
コースタイムは短いとは言え、本当に久々の山らしい山に返り咲き、感動を覚えながら一歩一歩進んだ。その感動って、最近ご無沙汰だったなぁと感じながら。感動は人を動かすのだが、自ら動かなければ感動もやっては来ない。二日酔いに近い体調に打ち克って今日は浅間隠に足を運んで正解だった。所々にショートカットの急坂コースと緩いジグザグコースを選択でき、当然アントニオは急坂をずんずん登って行った。稜線到達もあっと言う間である。振り返ると、本尊が裾野を永遠に広げて身構えていた。浅間山は煌びやかな雪化粧のままだった。スズタケの覆う山道には霜さえ降りている。気温は一桁台だろう。雪を頂いた蓼科、八ヶ岳も美しい。凛とした空気。蘇った。
登山口から都合50分だろうか、山頂に到着してしまった。山頂付近は浅間山の火山灰の影響で少々滑り易かったものの、山頂からの大展望がその苦痛を大快楽で埋め尽くしていた。富士は辛くも見渡せなかったが、此処には浅間山が広がればそれで十分である。お手軽登山とは言え、この360°の眺望に飲む息も一入である。富士が見えずとも、妙高鹿島槍剱八蓼科御嶽北妙義榛名赤城皇海男体日光白根武尊谷川本白根辺りが一望出来るのだ。先客は登山口の車の1組のみ、青空の広がる浅間隠山頂に時計の針は未だ7時半を回ったばかりである。このまま下山して温泉直行では、営業時間の問題に直面するであろう。暫くは「ダブリンの風」でも読むとするか。
4,50分は読み耽っていたのだろうか。先客は既に下山を開始し、後から2組程度登ってきた。今から下山してのんびり運転すれば、温泉到着は10時頃に落ち着くだろう。ランナー膝の再発を懸念し、選択肢があれば緩い傾斜を採りながら、通常よりゆっくり下り始めたつもりだが、結局先客も下山途中で追い越してしまい、下りもコースタイムを20分程縮めてしまった。今から登り始める者も多い。高崎市側から二度上峠方面を目指す車も未だ未だ後を絶たないところだが、朝9時前にして下界へ戻ることにした。擦れ違う車1台1台に優越感を覚えながら、二度上峠を後にする。燃料節約のため、下り坂はアクセルを一切踏まずに下れども、後から付けて来る車は1台もなかった。県道を下って亀石温泉の看板を見て左折し、林道をゆっくり転がすも、温泉到着は10時前になってしまった。玄関内を掃除しているオジサンに目線を向け、通常営業開始前に館内に入れて貰った。平日は1時間350円、土曜は400円、日祭日は450円となっていた。今日はみどりの日で土曜日にして日祭日扱いである。然も1時間とは意外とノンビリはできない。少々損した気分になりながらも、朝一番風呂独占の満足感で帳消しだ。森林浴も同時に楽しめる露天も見逃せない。さて、食堂には小菅の湯のような、地場ものメニューが並んでいるかと期待していたが、蕎麦こそは手打ちの地場ものかも知れないが、うどんやカレーなど、何処にでもありがちなそれしか見当たらなかったのが残念であった。飲酒運転禁止等の張り紙は見当たらなかったがビールも地酒もメニューを賑わしていた。麦や米のジュースの補給が必要な程、本日の行程は長くはなかった。
結局帰路も一番近い藤岡ICでなく、R17を南下した。岡部でリッター121円のガソリンスタンドを一軒再発見し、確かもう一軒くらいはあったと思って探したところ、カード払いにして119円で売り出しのセルフスタンドに入れ、当然満タンにした。ラッキーだ。本庄児玉ICから高速に乗り、午後12時台に入間ICを降り、その後もR16は快適な流れだったため、この機の序にと権太坂に向かった。目的は、清酒、権太坂の入手である。丹沢山系の伏流水と五百万石とで音楽醸造ものとのことである。所謂旨口系のそれだった。販売しているスーパーの名前も約20年の歳月を経て当然かの如く名称を異にしていたため、インターネットで検索に引っ掛からなかった訳だ。嘗てはスーパー鉾立を名乗っており、「ホコタテ」の語感から「スーパー矛盾」と呼んでいた高校生はアントニオだけではなかった筈だ。そう、群馬の好天も、横浜の地に戻って小雨日和となっていた。
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翌日、風邪を引いたようである。と思ったら、花粉症がぶり返してしまったのか。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・登山口にトイレあり。駐車場は余り広くはない。