vin rouge

不定期連載 陸道をゆく 話数知らず
06/09/10~ フランス Sophia-Antipolis
Mediathel Hotel
【vin rouge】

9/10(日)
庵庵≡鴨居〜成田空港/シャルル・ド・ゴール空港
/ニース・コート・ダジュール空港−Mediathel Hotel

9/11(月)
Hotel−Ulticom Office−Hotel…Office…Hotel

9/12(火)
Hotel…Office…Hotel

9/13(水)
Hotel…Office…Hotel…Le Montparnasse…Hotel

9/14(木)
Hotel−Office−Hotel…Le Montparnasse…Hotel

9/15(金)
Hotel−Parc Naturel Departement de Vaugrenir…Gare de Biot
…Parc・Chateau Sainte-Croix
−Pre Aux Pecheurs(Antibe Vardun通り海に近い駐車場)
…Marche Provancal…Antibeのビーチ…Civette Marche
…駐車場−Centre Commercial Les Combes(場末の商店集積)
−Centre Commercial Les Terriers(Carrefour)−Hotel
…Le Montparnasse…Hotel

9/16(土)
Hotel−Esso−Carrefour−A8−ニース空港/シャルル・ド・ゴール空港/

9/17(日)
/成田空港〜鴨居

−:レンタカー、≡:的士、〜:電車、/:航空機、=:バス

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
〜9/9(土)
異動が決定してから慌しかった。業界技術に精通したエンジニアが1月費やしたオンライントレーニングを10日間、土日もオフィスに出向いて何とかこなし、直前の社員旅行もまた波乱万丈な運命は避けられなかった。社員旅行から戻った足でオフィスに寄り、前任の残務処理に追われていた。フランスのホテルにはコインランドリーがないが、1着5.5ユーロでクリーニングしてくれるとのことである。1着800円超、、、払えねぇ。。。そして残務処理で帰宅も夕方になり、洗濯もできないままであった。帰国直後に大雨等で洗濯が出来なければ下着類は全滅だ。これも宿命か。荷物の準備はできた。初日、兎に角初日、宿にまで辿り着ければ旅の不安の8割は消えよう。土曜の晩は近所の行き着けの居酒屋で気を紛らわそうとしたがダメだった。目覚まし時計を5時前にセットして寝た。
9/10(日)
昨今の英国航空機テロ未遂の煽りを懸念して、成田11時出発だろうが3時間は早く空港に到着すべしと思って時刻表を逆算すると、バスの走っていない時間帯に家を出る必要があった。仕方なくタクシーを前日に予約しておいた。電話帳に数社掲載されているタクシー会社の中で、掲載されているにも拘らず営業範囲でないと断るお馬鹿な会社もある中、電話口の対応や運転手の質を鑑みて今回も三和交通にお願いした。5時台で追加の回送料金も徴収されたが、スーツケースを掲げて歩く訳にも行かず、流しのタクシーを拾える地域でないため、致し方ないことであった。
スーツケース内は着替え程度のため軽く、成田までの移動は左程困難ではなかった。AF便は第1ビル発着が殆どだが、アントニオのはJAL運航によるコードシェア便のため、第2ビル扱いであった。第2ビルに来るのも何年振りだろう。第2ビルのJAL搭乗カウンターに並ぶ。日曜と言うこともあり行列は長かったが、早く空港に到着した分気分的には余裕があった。荷物はニースまで直送してくれるとのことで安心だ。これでだだっ広いシャルル・ド・ゴール空港内をスーツケース引っ提げて駆けずり回らなければならない不安が解消した。ニースまでのAF7708便の搭乗券まで出力して貰った。出国審査も終え、搭乗まで2時間を持て余す余裕振りであった。ただ、此処でこれ程先んじたとは言え、後々の展開に余裕が出来るかはAF271便次第と言えよう。シャルル・ド・ゴール空港の入国審査にどれだけ時間を食われるのか。ガイドブック等の空港内見取り図を睨みつつ、搭乗時刻を待っていた。
搭乗口で待つこと1時間強、呼び出しが掛かった。Air Franceの係員と思しきフランス人の元へ駆け付けた。
「シゲナリサン、エット、パリマデハ、ビジネスクラスにノッテクダサイ。ノリツギビンハ、オットット、モトノセキノママデスネ。」
AF便乗継を選択したアントニオの勝利である。しかもパリまではJAL運行便である。香港までのANA便で、飲み過ぎを察知した添乗員に心配されるという失態もあったが、今回は長丁場だから少しずつ好きなだけやらして貰おうか。
国際線用ビジネスクラスのシートってこれ程ベッドに近い状態まで倒れるのか〜、と甚く感心した。ビジネス席も満席、きっと私の周りの殆どは相応の運賃を支払ってこの席に着いているのであろう。すまぬ。許せ。文句があるならAir Franceに言ってくれ。選択可能な日本酒は2種、うち1種は宮城県で有名な伯楽天である。興味津々ではあったが、アントニオはこれからフランスを目指す故、今日は葡萄茶に専念させて貰う。ビジネス席の一番後部座席故、飲み物等が回ってくるのがやや遅いのは致し方ないか。赤ワインのうち、デパーニュ マランジュ・ルージュ2005AOCは鬼の様に飲み易かった。前回の反省を踏まえて適度に抑えておこうかとの気持ちはかなぐり捨てた。否、グラスが空になり掛けるとアテンダントが注いでくれるのだ。注がれたものは拒否すべからず。ただ、余り飲み過ぎるのは今後に響くため、その飲み易い方の在庫が切れるまでで勘弁することにした。
シャルル・ド・ゴール空港も莫大で、乗換場所に依っては搭乗口間移動そのものだけで「旅」となりかねない規模なのだが、運良くニース行きとはF1とF2地区の間で乗換が可能であり非常に助かった。乗換便利用者向け入国審査を受け、再度手荷物検査場をクリアし、ニース空港行き搭乗ロビーに至るまで若干30分で済んでしまった。元々乗換時間は1時間35分しかなかったのだが、JAL便が40分程度早く到着したのも幸いした。空港内にトイレが少ないのが気になったし、国内線用ロビー故にアルコールも飲めないような雰囲気である。ガラス張りのロビーは南仏の残暑覚めやらぬ陽光を散々浴びて暑いくらいであった。暇だった。
搭乗したAF7708便はJAL便からの接続を考慮してか日本語のアナウンスさえ放送されていた。CDGからNCEまで航空機で1時間35分、TGVで5時間半とのことである。東京と福岡間程度の距離なのであろう。エコノミー席オンリーで横3列3列席の割と小さめの航空機であった。レンタカーの手配、そして市街地の運転。未だ未だ不安は尽きない。カーナビなくして宿に辿り着けるだろうか。
ニース空港に到着し、スーツケースを引っ提げてレンタカーの受付が並ぶブースに寄れば、Hertzブースだけ蛻の殻である。表の駐車場に隣接する事務所まで行け、との看板があった。運良く英語で応対して貰い、カーナビ「ネバーロスト」も借りることが出来た。あの、返却時に満タン給油にするか、給油せずにHertzでガソリンを買うかの質問がなかったが、どうも予約時の条件内に要満タン返却の指定がされていたようだ。よし。給油にもチャレンジしてみるか。少々気楽になっていた。事務所でレンタカーの鍵を受け取り、リモコンでなく運転席ドアに鍵を差し込んでドアを開錠すると、サイレンが鳴った。あの山梨県は南アルプス市の芦安界隈の未明の夜空を劈いた、あのサイレンがまたフランスはコートダジュールの空港で鳴っているのである。やばい。どうにかしろ。えぃやっ!っとリモコン開錠ボタンを押したら泣き止んだ。日仏両国で自分の車のサイレンを鳴らした者は類稀であろう。
さて、オートマチック車であること、及びネバーロストが目的のホテルの場所を知っていたことに安心が増した。後は、高速道の料金所対応と、ネバーロストの精度がどれ程確実に迷いなくアントニオをホテルへ誘ってくれるか、この2点が残った心配事であった。先ず、ネバーロストの車内設置位置に迷った。後日、フロントガラスに吸盤を固定する方式が一番であることが確認されたが、ダッシュボードに載せたままやサイドブレーキの手前のドリンクホルダー等は少々のショックでアダプターが外れてしまうこと屡であった。そして英語でround about、フランス語ではcarrefourと呼ばれるローターリーの出口の数が、ネバーロストのカウント数と異なることも1度だけではなかった。一方通行路の多い空港周辺を2週せざるを得なかった。それからネバーロストは右左折レーンまでは記憶しておらず、市街地数箇所でレーンを間違え、ヒヤリが1度あった。どうも逆方向に進んでしまっているようだ。このフランス道路の荒波から一刻も早く引退したい。然し、何処で引退すればいいのか。何処か停車して落ち着いてネバーロストで再検索でもしないと、と思いながら、下手に駐車して違反扱いになるのも困りもので、適当なスペースを探すのも苦労した。再検索後、どうも高速乗り場レーンを間違えて一般道のまま西へ向かってしまったらしい。日曜夜のコートダジュールの海辺のレストラン街は渋滞さえあった。方向は間違っていない。急ぐべからず。一般道をずんずん進むうちに再度高速道乗り場に至った。カード払いも可能な模様だが、後々小銭も必要になることを考慮して10ユーロ札で支払うと、お釣りだけでレシートは貰えなかった。当初聞いていた料金と同額である。均一料金なのか。凄く損した気分だ。高速下車直後にもロータリーを曲がり損ねて路駐の激しい路地をアップダウンしたり、それはそれは艱難辛苦の連続であった。これだけ苦労はしたものの、一度たりとも左側通行と言う重大な交通ルール違反だけはしなかった。さすがに21時前のSophia地方はどっぷりと日も暮れている。未だ日中ならば、仕入先から渡されたゲストブックの地図を思い起こしながら等との対処が可能だったことだろう。郊外に出て分岐も少なくなり、迷いも減った。兎に角周囲の車は速い。もう少し、皆、環境に優しいスピードで運転してみないが。
正しい道のみを選択して来た場合の恐らく倍程度の時間を掛け、Mediathel Hotelに着いたのは21時半頃だった。ふ〜っ。明日も大変なんだろう。何とか部屋に無事に到着した。自分を褒めてやりたい。今日は機内で存分食事をしたので晩飯は割愛した。
9/11(月)
朝、buffetスタイルの宿内レストランに寄る。7時過ぎである。Si vous voulais la terrace,,, をぉ、室内でも好きにしてよ、とレストランのケティおばさんの言ってることが聞き取れた。お見事。生野菜がチョイスにないのが残念だが、チーズにクロワッサン、カフェオレはフランスの朝の食卓の必需品のようだ。
宿からオフィスまで車で20分もかからないだろうと高を括っていた。然し、悪夢は蘇る。先ず、オフィスの住所を受け付けてくれないのだ。しまった。何がネバーロストだ。住所も知らないくせに!業を煮やして先日ネットで探り当てた地図を頼りに行くことにした。通勤時間帯で交通量も多く、しかも昨日同様時速70km以上をキープしている車両が多い。曲がり過ぎなのか良く判らない。多分行き過ぎだろう。あそこの脇道に一旦逃げようとしたら、直ぐにオフィス3社のゲート式駐車場に遭遇、後ろから波状攻撃で襲う車の群れに自車のUターンも侭ならなかった。然しその後もどうも予定のコースであることは間違いないが、数箇所前のround aboutで曲がり損ねた模様であった。折りしも逆向き、即ち折り返して戻る側が激しく渋滞していた。行き過ぎてなければその渋滞には決してはまる筈のない渋滞に巻き込まれたと言うことだ。8時15分頃にはホテルの駐車場に居た筈だ。ネバーロストとの格闘も10分は続いたかも知れないが、もう直ぐ9時である。漸く正しいroundaboutで適切に曲がり、オフィスの駐車場に辿り着いたのはちょうど9時であった。ネバーロストとの格闘も含め、45分も掛かってしまった。。。アントニオと同じくトレーニングを受ける方も辛うじてアントニオから僅かに遅れた模様なのが幸いであった。
技術トレーニングの受講者はイギリスから2名、フランス国内から2名にアントニオの合計5名であった。9時半過ぎと日本時間のおやつ時に菓子パンとジュース、水の配給があった。昼も大容量のプレートランチをいただいた。Well formedなトレーニングである。感心、感心。
さて、宿は知っているネバーロストだから、此処から宿までは探知可能のな筈だ。帰路も1度roundaboutを1つ曲がり損ねたが余り遠回りせずに宿に戻れたのが幸いであった。メーターを見れば高々5kmに過ぎない。やってみるか、オィ。
一番詳しそうな地図1枚以外の全荷物を部屋に残し、宿を発った。目指すはオフィスである。路肩も狭いのに直ぐ脇を時速70km超で車が通過して行く。高速道路の路肩を歩くに等しい。宿から10分程度までは冷や冷やものの狭い路肩であったが、その後は適当な歩道空間が見つかった。そんな中、「英語話せるか?何処か近くにガソリンスタンドかスーパーマーケットはないか。水を飲みたいのだが。。。」と通行人に話し掛けられた。手元の地図には一切建物情報が書かれていないのだ。地図を指差しながら、僕は此処のホテルから歩いて来たが、そんな建物は何処にあるか僕も全く解らんのだよ。と答えるしかなかった。後で、ホテル内に自販機があることを教えてやればよかったな、、、と思い出したのが十数分後であった。round aboutも歩く速度では間違える由もない。アップダウンを繰り返しながらも45分超でオフィスに辿り着いてしまった。何だ、近いのか、こんなに。明日は歩くぞ、絶対。
意外とバイクも多い。オンロードレーサータイプもあれば至近のダートさえ走り回っているオフロードタイプのも走っている。スクーターは50ccクラスからビッグサイズまで、日本と変わらない種類が見られた。ランドナーも少なくはない。そんな中、2本足で走る者は皆無であったので、ジャパニーズ侍魂をソフィアの街の者々に見せ付けるべく、オフィス下見の帰りは走ることにした。ジョギングシューズを持参すべきだった。。。
さて、晩飯時だ。徒歩圏内にレストランが存在するかも判らないので、ホテル内のle Grand Buffetに赴くことにした。buffetだから、味は微妙だろうがそれなりにフランス的料理を存分味わえるものと密かな期待もあった。生ビールの味は可もなく不可もなく、日本のそれに酷似していた。悪くはない。ただ、もう少々大きめのジョッキで次回は飲んでみたいぞ。サーモン等の主菜を頂いた後、パティスリーの台に並ぶケーキの面々。どれもこれも甘過ぎそうな予感だが、つい多目に選択してしまい、矢張り甘過ぎて後悔した。
そう、部屋のエアコンのリモコンの時刻は日本時間になっているのが気に掛かった。233号室は日本人客向けなのか?室温だけ日本時間に合わせてどうしろと言うのか、、、
さて、ホテルには無線LANも通じているのだが、、、有料である。1日20ユーロ、1週間60ユーロ。。。日本の通信料が安過ぎるのか。少々躊躇しながら社に通信料負担の了承を求めるべく電話をした。了承を得、アカウント入手のための手続きを進めた。すると、「アカウント情報は入力されたメールアドレス宛に送る」との記述があった。おい。待て。俺はネットに繋げないのだぞ。どうやってそのメールを読めと言うのだ!!!バカタレ!!!!ホテルでのネット接続は断念した。前任の業務の引継ぎは済んだので、アントニオが負わねばならぬ業務は皆無の筈だが、もしものためと、明日、仕入先にネット接続の許可を交渉しようと思った。
9/12(火)
火曜日は予定通り宿からオフィスまで歩くことにした。早目に朝食をと、6時台にレストランに向かうと周囲は未だ暗い。日の出が7時過ぎだなんて、それはDay Light Savingの効果に間違いはないが、暗い午前6時なんてのは容赦し難い。アントニオが活動する午前6時には相応しくない暗さである。フランスの太陽には猛省を促したい。

交渉して仕入先のネットに繋がせて貰った。引継ぎ者の取り零しの処理をしなければならなかった。メールは案の定溢れていた。仕事だ。仕方ない。

夕方に少々異なるルートを回ってみたのだが、矢張り此処は大きなハイテクパークの一角であることが判明した。Infinion、Verisign、Nortel Networks、Atos Originなどなど、信越半導体まで存在する企業オフィスが数多く揃っており、朝には交通渋滞が発生するのも止むを得ないと察した。そんな中、徒歩は想像していた程の愉快さを帯同可能な交通手段とは言い難かったが、道がある限り歩くしかなかった。フランスのドライバーは飛ばすものの動体視力に遜色はない模様で、路肩の狭い道でもアントニオが肝を冷やす程幅寄せに苦しんだことは幸いになかった。
今宵も宿のBuffeにするしかなかった。他のレストランは値が張るようだし、また距離があれば飲酒運転も避けられないのである。今日こそはワインを!と意気込んでいたが、ウェイトレス曰く、白か赤かの選択肢しか提示しなかったのである!貴様はそれでもフランスのレストランか?残念であった。そして、出されたワイン、結局グラスで4ユーロにしかならない代物だったが、お世辞にも美味いとは言い難いものであった。往路のビジネス席で頂いたワインが高級過ぎたと言うことだろうが、フランスのホテルで斯くも不味いワインを掴まされるとは、安物買いの宿命なのであろう。
9/13(水)
水曜、今日の晩こそは多少運転に難儀しようとも宿晩飯だけは避けたかった。あのワインはふざけてる。卓袱台があればひっくり返しものだ。今日もオフィスまでは歩く予定だが、ネバーロストで周辺のレストランを検索したいため、車のエンジンをかけた。色々と選択肢が見つかった。左程遠くはない。よし、どれでも良い。ホテル以外ならば。
オフィスに早めに入り、Solenさんに貰ったレストランリストを今一度見直してみた。あ、モンパルナス、さっきネバーロストのレストラン検索で一番最初、即ち最寄の店として出てきたな、brasserieってどんな意味だ、、、alcのホームページで早速翻訳を探すと、、、をぉ!!!ビアホール!!モンパルナス!待っていてくれ〜!!!トレーニング中日の中弛みもビアホールが待っているとなると入る気合の度合いが違っていた。ビールを回せ。きっと美味しいワインもあるだろう。トレーニング中、何度モンパルナスの呪文を唱え続けたことだろう。講師のAndrewさんにも聞いたところ、ホテルから歩ける距離だとのことである。飲酒運転は法的に認められているか否かは関係なく、危険か否かが判定基準になろう。折りしも日本では飲酒運転の凶悪さが騒がれている状況だ。歩ける距離ならば歩け。路肩の狭い道路を千鳥足で歩くのもそれはそれで危険ではあるが。
オフィスから宿へ戻る足並みも軽快極まりなかった。をぉ!!あそこに停まっているバイクは、YAMAHAの名車、FZ400号ではないか!!!数年前までアントニオも乗り回していたあれである。をぉ〜!!!バイカーの数は少なくはない。ただ、ビールを回せ。期待と不安の入り混じる中、昨日通ったround aboutをバスセンター側に逸れることになった。宿から徒歩20分超、Haut Sartoux地区に到ればLE MONTPARNASSEの文字列が視界に飛び込んできた。既に幾人の客が出来上がっていた。カウンターのお婆ちゃんが笑顔で迎えてくれた。その娘さんと思しき方が、子連れなので、お婆ちゃんの孫相当のお嬢ちゃんが店内を暴れ回っているのだが、それもご愛嬌である。娘さんは、「I can't speak English.」と聞き取り易い英語を喋ってくれた。取り急ぎ、生ビールか瓶ビールの区別は判ったので生、Affligemを注文。一昨日のそれとは雲泥の差である。ビアホールに相応しいブラウンビールであった。次いで頼んだピザ、店名を冠したモンパルナス。半熟卵が中央にのっかる、ツナ盛りのピザであった。でかい。何かかけものをするか?と聞かれたので頼むと、唐辛子を漬けたオリーブオイルの瓶が登場した。オリーブオイルの代わりが泡盛ならコーレグースである。ホームベース大のピザを半分も食わないうちにビールグラスが空いてしまったため、追加でこれも店の名と同じ、モンパルナスと言うハーフサイズのワインを所望した。確かに安物なので、昨日のそれと変わらないか、まぁ、少しはマシかな程度の味だったが、気分的には満足である。孫娘2人もチョコマカと他客には左程迷惑にならない程度に店内を歩き回り、とても微笑ましい光景であった。給士まではさすがにしなかったが、皿やグラス回収にと、存分に店の手伝いをこなしていた。想像以上にこの店の評価は高く感じた。Je voudrais manger la pizzaとか、vin rougueとか、c'est bonとか、L'addition, s'il vous plait!とかmerciとか、もう片言のフランス語しか喋れなかったが、英語の通じないレストランも悪くない。ピザもでかく、このアントニオが気分を良く回す程ワインを飲んで、トータルで昨日の晩飯より庶民向き価格なのが愉快であった。また明日も来るよ、の表現が思い出せず、取り急ぎau revoirで手を振りながら店を辞去した。うぬ。良い店だ。お婆ちゃん、長生きして欲しい。
(続く)