微力ながら少しでも街を明るくしようと

不定期連載 山道をゆく 第235話
不定期連載 還って来たグルメ街道をゆく 話数知らず
不定期連載 麦道をゆく 第29話
兜山(山梨百名山、庵選千名山519)、要害山(山梨百名山、庵選千名山520)
Four Hearts Cafe
(BaridBeer 帝国IPA、よなよなリアルエール)
【微力ながら少しでも街を明るくしようと】

3/27(日)
庵庵…鴨居〜八王子〜高尾〜春日居町…R140…岩下温泉…フルーツライン
…夕狩沢古戦場跡…新道分岐…兜山…最高点…車道出合…岩堂峠
…深草観音…要害山…要害温泉…県道31号線…武田通り…甲府駅
…舞鶴通り…Four Hearts Cafe…平和通り…ファミマ…甲府〜八王子
〜鴨居…庵庵

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「微力ながら少しでも街を明るくしようと」
節電営業中とのつぶやき。
目標は定まった。山梨県の山ガイドブックを見ながら界隈の山を模索する。当初、大蔵経寺山、要害山と興因寺山を巡ろうかと思っていたが、列車内で閃き、兜山と要害山のセットに変更することにした。
春日居町駅では果たして、アントニオの他に5人が下車。単独行と4人グループの編成のようである。7:35に駅を発つ。普段と異なり、山岳地図を準備しなかったアントニオは、ガイドブックの表現、大雑把な絵地図と歩行探索者的感覚で登山口を目指す。当然ながらアントニオが駅から首位独走態勢を敷いていたのだが、岩下温泉の手前でタクシーに追い抜かれた。先ほど駅で見た4人組が乗車しているではないか。その後フルーツラインを横切って流しそうめん処付近のトイレ休止最中にもう1人に抜かされた。駅まで一緒でいながらアントニオを追い抜くということはどういうことか。恐らくそのもう1人の方も近くまでタクシーに乗車していたのであろう。歩ける距離である。にも拘らず、この昨今の状況下において、化石燃料を浪費するタクシー乗車とは如何なることか。制裁が必要である。アントニオがウルトラマンであれば、宇宙の果てまで運び去っていたことであろう。まずは単独行の方については登山口の手前で追い抜いた。
シャッターチャンスを失ったが、途中、リスさん2匹と出会った。彼らの辞書に自粛の2文字はない。暴れろ、暴れるんだ。そして、4人組のグループも新道分岐の手前で追い抜いた。なぜ追い抜けたのか。それは、アントニオが登山口までしっかり歩いて準備運動が済んでいたからである。言うならば、正義だからである。特別なことをやっているつもりは毛頭ない。正義が必ず勝つとは言えない。しかし、アントニオは正義を死守する。老い耄れるまでは。ほぼ3ヶ月振りの山であった。正直、登りの傾斜には辟易とさせられた。だが、アントニオを正義が動かしたのである。正義は負けてはいけない、と。
8:58、兜山山頂に到着した。独占だ。中アと南アのカーテンが降りている。これがアントニオのやる山である。南側に少々歩いて展望箇所に赴けば、冨士に釈迦岳、黒岳、節刀ヶ岳など御坂山塊の壮観が眼前に広がった。一際風景が鮮やかに見える。惰性で登っては行けない。その意味では今日の5人に対して感謝が必要かも知れない。踏み台になってくれて有難う、と。
さて、恐らく5人は兜山山頂ピストンで今日の山行を終えると思われるのだが、アントニオ先を目指した。ガイドブックが指摘するように、最高地点が何処だか判別がつかなかった。残雪も少々気になり始めた。余り歩かれていないために、指導標もおざなりになっているのだろう。何とか車道出合を過ぎ、残雪が嵩んで先が思い遣られてはいたが、岩堂峠の先に続く下りでは日当たりが良いからか、足を取られる程の事態には至らなかった。深草観音お参りはできなかった。20mくらいであろうか、鉄梯子が岩壁に立てかけてあるのだ。ガイドブックには推奨もなかった。梯子が崩壊しても誰も助けに来てはくれまい。 観音様には申し訳ないが、下から祈りを捧げるより他はなかった。アントニオが今在るのは、周りの万物のお陰である、と。
やがて要害山山頂に到達した。武田信玄が城を築いたのであろうか、長方形に凹んだ区画は認識できる。城跡としては展望が残念ながら乏しいのは、晩年に樹林が茂ってしまったということであろうか。当時は要衝であったのだろうか。合掌。
そのまま要害温泉、積翠寺方面に降りたのが11:22頃である。バス停の場所が不明だったため、躊躇せず甲府市街地方面へと歩き続けた。やがてバス停を発見したが、休日の日中は夕方まで一切バス便がないのである。バスのために17:49まで此処で待つのはアントニオの手法ではなかった。県道を下り、武田神社に至り、バス便の選択肢は大幅に増えたものの、甲府市街地へは下り一辺倒につき、バス乗車は廃案として進んだ。県道31号線沿いに山梨大学が存在した。沿道のセブン・イレブンとローソンでは、大学産のワインを販売しているとのことである。大学の作ったワインはいかほどなのか、試してみるべきだったか。
なお、ずんずんと県道を南下し、漸く甲府駅を発見し、自由通路を越えて南口側に向かった。舞鶴城脇の通りを更に下り、Four Hearts Cafeに到着した。
12:35着。節電のために照明は落としていたが暗過ぎることはなかった。実際、春日居町駅を発ってほぼ5時間後に店に到着した時点ではまだ客は居なかった。近所のアーティストの作品と思しき絵の数々が壁に張られ、厨房の間際にはアップライトのピアノも置いてあった。地鶏卵を利用したパウンドケーキがショーウィンドウに並んでいる。店奥の厨房かぶりつきシートに陣取りながら店内様子を見ていた。ランチとベアードビールを所望した。なんと、ランチのドリンクとして県内産ワインも選択できるとのことで、迷うことなく赤ワインに決めた。ランチの前菜として青梗菜と炒り卵の炒め物が出てきた。これも地場モノであろう。畑のご馳走だ。そして、メインは、ソーセージと大根、人参、青梗菜、しめじなど大きめ野菜のたっぷり入った煮込みで、ポトフのような雰囲気だ。派手な演出はない。否、要らないのだ。派手な演出が必要ならホテルに行けば良い。この時勢に相応しい、掛け値なしに優しい素朴な味であった。これは正直に伝えるべきと、会計時に店員にその感じた次第を喋ったまでである。
下記は、帰宅後に確認した、店からのツィートである。
今日はお客様から嬉しい声をいただいた日。男性「とても優しい味がしました」小さな女の子「おいしー!」若いビジネスマン「これ美味いです< 」みんなの心にカロリー以外の何かを届けられたことが本当に嬉しい。それが私たちの仕事です。 2011年03月27日 20:38:55 FHCafe blog
その後、若い夫妻にこの発言主の女の子3人組みが来店し、店内は人が増えただけで明るくなったのである。常日頃から自炊しているアントニオが野菜欠乏症になることはないのだが、今回ばかりは期待に胸を膨らませながらランチを注文した次第だ。
店を辞去してからも幸せな気分であった。遠方に期待以上の食べ物に出会う尊さ。食べ物は今後も大切にして行きたい。
上記以外にも、アントニオが店を発った後にパウンドケーキやベーグルなどの焼き上がりツィートが発せられていたのである。。。次回はもう少し遅めに来店するべきか。地ビールの品揃えは個人的にはそんなものであろう、程度であった。ビールについてはベアードロゴ入り純正パイントグラスであり、5時間歩行で失われた水分を補うには丁度よかった。こじんまりとした店内だがハンドポンプは2台あり、よなよなエールと東京ブラックをリアルエールとして提供している点についても、気合が入っていると感じた。ワインもビールも基本的には近隣のものを並べていると言う。また、定期訪問が必要な店が増えた。良いことだ。
(完)

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付録:
山旅・麦旅アドバイス
・兜山から深草観音にかけて残雪あるが、アイゼンは不要と思われる。
・積翠寺から甲府駅へのバス便は、土休日は8:59発から17:54発まで
1本もない。武田神社からは1時間に1本。
・Four Hearts Cafeのランチのドリンクとしてワインを選択することも可。