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庵速は今

不定期連載 山道をゆく 第156話
04/05/22 笠取山(山梨百名山、関東百名山、庵選千名山280)
(includes 不定期連載 グルメ街道をゆく 小菅の湯 けやき(一般))

【庵速は今】

5/22(土)
庵庵−R16−八王子バイパス−八王子IC−談合坂SA−勝沼IC−R411−犬切峠
−作場平橋…一休坂…笠取小屋…雁峠分岐…雁峠…雁峠入口…小さな分水嶺
…笠取山…水干尾根分岐…水干…水干尾根分岐…馬止…中島川口…作場平橋
−二ノ瀬−R411−県道18号−小菅の湯−県道522号−R20−上野原IC−八王子IC
−八王子バイパス−R16−県道56号−町田街道−庵庵

−:車、…:歩き・走り

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
嘗て毎週のように山へ赴いていた自分は居なくなった。決して山への情熱が冷めたわけではない。山へ対峙するには其れなりの準備なり覚悟が必要である。生業は何だろう。追われていると言う言い回しは負の響きが否めない。疲れ易くなった?そう思うが良い。山の有り難味が増す。日常からの脱出。山は日常ではない。今年のGWは幾日かオフがあったとは言え丸々出張で久々に山らしい山のない週間だった。何時しか丸々一月経過し、思いは煮え滾っていた。
金曜日は歯科通院である。歯並びがタダでさえ悪く、山歩き時には食べる回数も増えれば徒に虫歯の侵食を容認せざるを得なかった。一週間に一度程度しか通えず、魘され続けて早3ヶ月を数えてしまう。嗚呼、体躯を是だけ鍛えられると言うのに、歯がボロボロとは恥ずかしい。人間以外の動物は、虫歯になって物が食えなくなったら其れは即ち死を意味するのだから、アントニオが一応人間に生まれなかったら一体幾つの命を落としていたことであろうか。歯科医には感謝の念が絶えない。で、歯科通院の日は、割と早めの帰宅が可能であった。にも拘らず、非情にも携帯電話は鳴り響く。既に受付も終了し、裏の従業員入退出口を経由して既に方々の部屋の灯りが消えている客先ビルに赴き、花金の悲しきトラブルシューティングに冷や汗を流さねばならなかった。だが、お客さんも同時に花金タイムを奪われていると思うと穴があったら入りたい気分である。長くなったが、そう、長かった。20時帰庵の夢も散り、また何時ものように終電前か其れくらいの横浜線に揺られる運命だった。
しかし。機は熟した。心鬼にして目覚ましを3時半にセットし、気合諸共床に就く。明日は何が何でも行ってやる。俺を阻むものは木っ端微塵に打ち砕いてやるか、椅子カン樽の彼方に運び去ってやるか、投げっ放しドラゴンスープレックスを3回、或いは懐かしのブルズポセイドンを、、、と思う程、上手い具合に気分を高揚させていた。
睡眠不足も何のその、鳴り響く目覚ましに飛び付いては起き上がり、支度を急ぐ。3時半にして既に朝刊が配達されていた。さすが読売新聞だ。備品に抜かりは無い。5,000kmを越えるのは早かったが、冬季はマラソン練習などでドライブにはご無沙汰が続き、GW前に葛の湯へ赴いて以来、久々に休部号のイグニッションを捻ることとなった。早速ガソリンスタンドで給油と空気圧チェックをする。「いらっしゃいませ。。。」分かった。給油が済んでから空気入れを幾度となく挿す。「いらっしゃいませ。。。」五月蝿い。あ、反対側のタイヤにはホースが届かないか、、、車を移動しなきゃ。「いらっしゃいませ。。。」貴様、もうタダで空気を入れるなと言うのか。機械のくせに。。。果たして空気圧チェックは万全、未だ薄暗い鴨居界隈を発つ。
パラついている。どうしたのか。台風はとうに過ぎ去った筈だろうに。天気予報は関東一円も含めて晴天の筈だろうに。だが、一抹の不安は沈滞することはなかった。アントニオには笹子トンネルがあるのだ。笹子トンネルの向こうに虹が出る。それが筋書きと言うものだ。笹子トンネルを越えた者のみが知る別世界。談合坂SAでもパラつく雨を気にする事無く、またアクセルを強く踏む。五月晴れと感動するには若干力不足なものの、案の定笹子トンネルを抜けると天候は回復に向かっていた。そうさ、俺のステージはこうでなくてはならない。だが、大菩薩ラインを登って行くと忽ちガスに覆われてしまう。嗚呼、既にだいぶ登ってしまった道だ。引き返すのも阿呆らしい。覚悟を決めて、今日は蒸気に塗れるとするか、、、
狭い林道運転に辟易しながらも、割と広めの駐車場の存在する作場平橋に到着。親切にもトイレさえ存在した。ガスも忘れたかのように消えた。足元には既にニリンソウが待ち構えていた。高妻下山後に食べたおやきを思い出す。嗚呼、最近、おやきを食べてないな・・・
なだらかな山道を歩く。1月振りの山を慈しむには最適な斜度を進む。時折オオカメノキが魔白に笑う。リハビリ山行はとても愉快である。ヤブ沢の濁音が日常の心労を根こそぎ洗い流してくれ、カラマツやミズナラを分け進むに連れて身軽になって行く。奥秩父はもう春だね。
意外と早く、笠取小屋を発見した。コースタイム1時間55分の所を55分を切る勢いであった。鍛えれば全身がバネになるのだ。未だ眠りから覚めやらぬ南景の山々を尻目に先を急ぐ。
雁峠。周囲に雁坂嶺、雁ヶ腹摺山等、雁の渡り道劇場は、笠取山への直登コースより僅か15分程度奥秩父縦走路へ逸れるものの、折角だ、勿体無い、雁が俺を呼んでいることにして、分岐点から北西に針路を変える。笹原を下り切ると小さな小屋と看板とベンチが佇んでいた。誰も居ない。雁は果たしてやって来るのだろうか。懐かしさの向こうに虹は見えるのだろうか。振り返れば笠取山頂までの最終ストレッチがエグい。
分岐から笠取山方面へ戻るとすぐ、小さな分水嶺に立った。荒川、多摩川、富士川の分水嶺である。此処で催してしまうと1都3県程に被害が及ぶことになる。分水嶺で催してしまうことを源流になると言う。源流と言えば、源流源一郎だろう。つい先日、淵正信とコンビでアジアタッグ選手権を勝ち取った氏だ。54歳とは思えない猛者だ。源流よ何時までも。鶴田の使命を背負って今日もまたグーパンチで生意気な奴を薙ぎ倒せ。サンダーストームだ、ファイヤー!!!閑話休題。そして、本道中最初で最後の急登を目前に控えていた。エグい。エグ過ぎる。今迄のは過ちか。ギャップが激しい。3歩進んで5歩下がろう。人生は逆スライド式ジェットコースター。このような難路は、高斜面は、携帯メールの下書きに気持ちを紛らわすジプシーとなるしかない。
展望の開けない山頂とのガイドブックのお触れは何だったのか。快晴には程遠いが見晴らしは悪くない。大菩薩が僅かに半眠状態でも、富士は見えねど高楊枝。意外とあっさりしてたな、笠取山。そして、ふふふ、ふふふ、シャクナゲが満開だ。天城山もシャクナゲ通りが存在したがあれは年末強行駆け込み登頂のため、半氷の山道に蕾の一欠けらも見出すことはなかったのである。4年越しの正直か。艶やかなシャクナゲに暫し現を抜かしていた。飛龍とか雁坂嶺とか、奥秩父を見守る山は幾重あれども、今日はシャクナゲに心を奪われよう。
水干に降りては多摩川の一滴を思い、東京湾までの138kmの旅の無事を祈る。下山途中もトウゴクミツバツツジが何時までも見守っていてくれた。優しい山の散歩道である。
ガイドブックに見つけた「急坂」とは一体何処にあったのか。概してなだらかで膝に優しい、リハビリにお誂えの山であった。ガイドブックには遠足風景写真もあったのが頷ける。確かに登山口までのアプローチには難儀物であったが。
中島川口から作場平橋までは舗装された林道歩きなのだが、沿道に目を凝らせば数種類の花が咲き誇っていた。真白なミヤマザクラ!貴方は其の色をして桜の仲間なのか、、、見惚れてしまう。其の美しさに桜負けは微塵も無い。ヤマブキソウも黄色の光を放ち、林道ながらも歩かなければ発見できない潤いに酔いしれるしかなかった。快適なんて簡単だ。
車に戻り着いたのが10時10分である。不届き者は今頃から登り始めることだろう。約6時間コースだから凡そ半分、可也のペースであった。一月振りで終電が続いていたことを加味すれば、驚愕のハイペースと言うべきか。庵速は無限大だ。明日反響を覚えるのだろうか。ただ、概してなだらかで歩き易い山であった。其れだけアントニオはエネルギーを吸収していた。
往路を戻るのも芸が無いため林道をそのまま進み、即ち歩いて来た中島川口方面へと向かう。レンゲツツジの濃厚な朱色が所々で目に留まる。山道で見たツツジと比べて、心なしか下界褪せを感ぜずには居られなかった。悪い色では決してないのだが、何か人工的な匂いがしてしまう。5月にして山で色々と花の色を独占して優越感に自惚れている自分が居た。
やがて丹波川沿いのR411に戻るものの、近場ののめこい湯は先日の鹿倉山下山時に既に訪問したためパスし、上野原へ向けて山越えを敢行する。道は険しく、斜面は厳しく、ガス欠や遭難でもすれば数週間は発見されないであろう人里離れた道を越え、ドライブに飽きた頃に小菅の湯が現れた。奥多摩の5湯は漸く全制覇となった。料金の割りに風呂のレパートリーも充実している。一人で一杯の五右衛門露天風呂さえある。人跡未踏の地に赴けた者のみが堪能出来る醍醐味だ。良い湯だった。そして湯上りに黄金水だ。食堂は併設2軒中1軒は営業休止中の模様だが、畳の間のけやきは健在だった。お勧めメニューが目白押しである。ふきの油炒め、せりのお浸し、うるいの油炒め、薬膳天麩羅、エリンギのバター焼き、山葵の花の酢漬け、うどの柚子味噌掛け、水菜のはりはりサラダ、、、山奥には山奥の食卓があった。にじますのユッケ丼定食、月夜のぼたん定食、郷土料理おばく定食、いわなの刺身、やまめの一夜干し、、、とても食い切れない、、、薬膳の天麩羅皿には、野蒜、アカシア、いたどり、せりなどが並ぶ、並ぶ。山の食卓の真髄を知るには、とても一度の訪問では難しい。腹ショー!土産物売り場に山葵の酢漬けを発見!をぉ、是で暫く庵庵の食卓に世界平和が訪れることだろう。さすがだ、小菅の湯。
温い湯と美味の余韻覚めやらぬ中、遭難したかと見紛う奥の細道県道522号を進み、上野原に到達。甲州街道を其のまま東進するか迷ったが、R413通過は億劫そうで敬遠したく、時短の為に短区間だが高速に乗る。帰路のR16は何時にも増して交通量が激しかった。相模大野付近まで何とか粘ってから町田街道に逸れたものの、其れが果たして正しい道選択であったのか判らない程の鬱陶しい帰路であった。いや、然し、奥多摩5湯の終着駅小菅の湯は大きな収穫であった。不便さの向こうに虹は出るものだ。
(完)

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

付録:

山旅アドバイス
・作場平橋までの林道は飽きる。それでも栗原川林道より短いとは思うが、、、
・概して斜度の小さい山道で非常に登り易い。
・小菅の湯の付随食堂には地場の美味しい食べ物が豊富。