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11年振り3000m峰、そしてファイナル

不定期連載 麦道をゆく 第84話
不定期連載 山道をゆく 第275話

前穂高岳(庵選千名山627)

松本ブルワリー
Pale Ale、Bitter、Stout、Wheat Ale
【11年振り3000m峰、そしてファイナル】

8/13(日)
庵庵…松屋…鴨居〜菊名〜自由が丘〜二子玉川…ファミマ二子玉川店
…二子玉川ライズ・楽天クリムゾン=

8/14(月)
=(さわやか信州号)=談合坂SA=上高地…自然探勝路…前穂高岳登山道
…岳沢ヒュッテ…重太郎新道…紀美子平…前穂高岳…紀美子平
…重太郎新道…岳沢パノラマ…岳沢ヒュッテ…自然探勝路…ホテル白樺荘
…上高地=新島々バスターミナル…新島々〜松本
…松本ブルワリータップルーム…松本〜(スーパーあずさ36号)〜八王子
〜鴨居…まいばすけっと…庵庵

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

百名山は昨年完登した。さて、次は。最後の3000m級か。3000m級より困難な山域は幾つもあろうが、寄る年波には勝てない。体力のあるうちに攻略しなければ。9月の連休にするか迷ったものの、もしかするとお盆休みの方が少しは交通手段確保も楽ではないかと読み、7月くらいから練習の計画はしていた。18きっぷを使い、それなりの標高とJR駅から登山口までの利便性を考慮し、編笠山に白羽の矢を立ててはいたのだが。
7月15日ビアフェス福島手伝い、翌日はイクスピアリでほぼ飲んだくれていた。このあたりでやっておければよかったのだろう。22日は出勤日、23日は栃木のイベントである。29日は天候不順が見込まれたため、已む無く甲府駅前のイベント会場に直接赴けば、その会場は紫外線対策が避けられない照射振りである。その翌週も山か否か悩み、山へ行ける時刻に起床、否、前日夕方中にハシゴ3箇所目のレストランの席を予約してしまっていた。弱い。翌8月6日は抜群の天候だったが、当然ハシゴ酒に祟られ、早朝起床も可ず。さて、山の日。それに相応しいことをすべき時が来た。ただ、3日前にハッスルし過ぎて当日までダメージを引き摺ってしまうことも念頭にあった。寄る年波。名古屋の知人店長が飲み放題イベント開催、との一報である。昼間なら行けるけどと問えば、昼の部も創設されてしまった。言いだしっぺとして責を全うする義務があった。山の天候は既に論外であったが山の日当日の名古屋は軒並みゲリラ雷雨に見舞われた。
気持ちだけは逸り、用意不周到、出発当日は早起きして少しでも夜行バスでの寝つきに寄与すべく、ただ本番での消耗も鑑みながらの活動に落ち着く。待合室での手持無沙汰が想定される中、逸る気持ちを抑えられず、予定より1時間早く自宅を発つ。
駅前松屋で定食をかっ込み、JRや東急電車に揺られ、二子玉川へ至る。ここもツタヤタウンか。先月の湘南T siteの悪夢が過る。ファミマで缶チューハイでもと思い、カード会員割引表示のある棚から1本持参してレジへ赴くと割引になっていない。レジスタッフに詰め寄る。何度バーコードリーダーに当てても、「これは割引対象ではない」と言われる。表示に偽りありということか?似た銘柄並んで2種ほど割引表示があるのだが、、、目を凝らして、、、氷解した。割引札はサントリー、なのにその棚にはそのサントリー酒とかなり酷似したネーミングのキリン製の缶チューハイが並んでいたのだ。サントリー製缶は見当たらない。陳列した者の不備としか言いようがない。合掌。気を取り直して間違いなく割引対象となっているほろよいを一缶所望し直し、開けた。うーん、暇だ。荷物は極力軽くすべく、書籍の類は持参していない。スマホも見飽きた。楽天クリムゾンの小さな待合室にてぼーっとする。焦んなよ。トランキーロ。軽装の方が21時頃やって来たが、どうもビル管理関係者らしい。通常はバス最終便が21時頃なので施錠に来たようだがさわやか信州号の存在について知らなかったようだ。さわやか信州号は今日から運転されているのではないのだが、何故今俺が管理者に伝えねばならないのか、疑問ではあったが、もしアントニオが21時前に到着していなければ、トイレを含めた待合室は施錠されてしまっていたのだろうか。予定通りにここに到着していた場合、トイレ探しに彷徨が不可避だったかも知れない。だが、暇は暇だ。ひょっとして二子玉からは俺だけか?と思っていたら、22時近くになって三々五々と山家の恰好をした方々が集まって来た。
やがて到着した東急バスは4列シートである。仕方ない。臨席の方が割と小柄だったのが幸いであった。終点までの乗車であるので、もうトランキーロだ。一か所目の休憩ポイント談合坂SAではトイレと給水に降りたが、続く諏訪湖SAでは到着に気づいたものの、トイレも不要と思って下車せず時を過ごす。次に気が付いたのは釜トンネル手前の信号待ちだろうか、ソコソコ寝られたと自負している。隣席の方は帝国ホテル前で下車、しかし、終点までも僅かであった。
バスターミナル到着後、まずトイレに行き、その後、バス券売り場へと赴く。ネットで事前調査によると6時から営業とのことだったが、5時半前に次々と到着した夜行バスを捌いた係員が程無く定位置に戻られ、5時半過ぎには応対して貰えた。16時の松本行の連絡乗車券を購入し、整理券も発行いただく。整理券番号は43である。あと数人分遅れていたらどうなっていたか、こればかりはトランキーロ、では済まされない事態が後々想定されたが、この時点では知る由も勿論なかった。おにぎりを2個食べ、サポーターで両膝を覆い、準備万端。ただ、少し腸が重いなと思い、河童橋手前のトイレにも寄った。少々スッキリし、河童橋を渡る。思ったよりは好天である。リベンジはあまり考えたくはないが、今日はピークハントが目的だから、ガスってしまっても止むを得まい。

さて、梓川右岸を進むが、岳沢方面への分岐が不安である。高原と山の地図付属解説書には、迷うことはないとの表現だったが、中々分岐を示す指導標に当たらない。そもそも看板がある筈なのか、その解説冊子を自宅に置いてきてしまったのが悔やまれる。その軽量化のために何十分ロスするのか。それっぽい分岐は2箇所あった。それぞれを少し進んでみるが、双方とも怪しい。上高地界隈でそれほど分岐探索に難儀するルートはなかろう。一旦引き換えし、また進む。このまま小梨平まで分岐を確認できなければコースタイムの心配もあるので前穂は断念すべきとの決断時点にさしかかろうとしていた。いやいや、先ほど引き返した地点からもう少し頑張れなかったのか、やがて誰もが見失うことのない看板に一縷の望みを託し、左折した。
穂高岳登山道は思ったよりなだらかで、右往左往時に擦れ違ったパーティーを何組も追い抜いた。まだまだそこいらの連中には負けないぞ。ただ、ロスは痛い。痛いが振り返ればダメージは嵩む。振り返るな。突き進め。やがて前穂奥穂の凛々しい姿が目前に広がった。近くて高い。遠くて高いではないのだ。その頂までこの近さ、どう攻めろと言うのか。凛々しいがあまり考えたくはなかった。

やがて岳沢ヒュッテに到着。生ビールも、、、泊まりたい。黄金清水に眩んだものの、せめて復路までお預けだ。トイレを借りて準備万端、ヒュッテ前を発つ。次第に傾斜がきつくなる。そうだよな、あの近さだもの。心なしか高山病らしき苦しさも感じつつあった。何処までやれるか。くたばりそうだ。しかし、今登らずして何時登るのか。またここまで同じ轍は踏みたくはない。しかし。壁を攀じ登っているようだ。壁の先に何が待つのか。それも壁か。攀じれども攀じれども、我が暮らし、楽にならず。人多いな。登り優先を理解しない輩も少なくない。お盆だ。お前ら、登山の前に墓参りは済ませたのか?俺は昨日済ませて来たぞ!しかし、大変だ。何故登るのか。前穂はそんない尊いのか。十年前ならもっと楽だったか。天気は上々だ。今やらずして何時やるのか。戦え!16時のバスに間に合わなくとも良いではないか。戦え。攀じれ。そう、攀じりが多く、トレッキングポールは無用の長物と思い始めて数十分、山道の一角にレインウェアのジャケットと共に置き、復路にて回収するつもりだった。否、下りも持ち歩くのは面倒との感覚は否定できなかった。
ポールを置いて少々身軽にはなった。進め。ここが最後の3000m峰だ。ガスは下りては上がった。アザミ、コオニユリ、コバイケイソウ、トリカブトなど、山の花も時折応援してくれていた。山の花を愛でる余裕はない。写真も少ない。それはそれで敗因の一つかも知れない。トランキーロだな、やっぱり。紀美子平は果たして平ではなかった。しかも、上高地のホテルの屋根が見渡せるではないか。帰りはあの近くまで降りねばならないのか、勘弁してくれ。
でも此処から30分だ。攀じれ。攀じるのだ。紀美子平にザックさえデポし、更に身軽になって上へと挑んだ。しかし、静かと思しき重太郎新道がこの賑わいであるのだから、涸沢方面など人間渋滞ばかりではなかろうか。次は、ない。今だ、今頑張るのだ。
何とか11時台に目的地、前穂高岳山頂に到着。ガスの中だったが少々様子見しているうちに雲が切れた。満点だ。リベンジ不要だ。よくやった。ひゃーっ。日本国内3000m級峰25座中上から11番目。前回の3000m級は11年前の白鳳三山である。練習も未遂だった。ただ、感慨に浸る余裕はない。死の下りである。トランキーロ。


左程ペースを上げたつもりはなかったが、下り途中も多くのパーティーを追い抜いてしまった。勝っているつもりは毛頭ないが、未だ負けてはいない。しかし、眺望素晴らしき前穂ロードよ。勿体ない。紀美子平でデポしたザックを回収し、割と調子よく下りに勤しむ。快調な気分だ。遥か上高地、岳沢パノラマ。焦んなよ。怪我をしない程度に快調に進んだ。何も考えず、ただ只管前を向きながら。
そ、そー言えば、ジャケットとトレッキングポールは何処だったろう?この調子ならポールの力を借りずに下れそうとの確信もあるが、回収する余力は持ち合わせていなかった。鴨居駅から自宅まで、雨さえ降られなければジャケットにもお世話にならないで済みそうだし。もう、重太郎新道に奉納するしかない。ジャケットは少々年季が入っているが、万一の際には役に立つかもしれない。さらば、ジャケット。されば、トレッキングポール。回収のための行脚を計画したくない厳しいルートである。さらば。世話になった。有難う。
快調とは言っていたものの、徐々に膝周りと脚周りにダメージは嵩んできた。足指の内出血は必至だろう。突き指もしくは疲労骨折も辞さないか。岳沢ヒュッテが見えてからも長かった。目標物がはっきり見えてしまうことの不幸よ。歩めども歩めども近づかぬ。傾斜は続く。

何とか岳沢ヒュッテに辿り着く。恐る恐る時計を見ると、、、矢張り残された時間は少ない。生ビールを飲んで筋弛緩して下りに臨もうと思っていたが、16時バスに間に合わないのではにないか。16時に間に合わないとスーパーヘビー級の艱難辛苦が待ち構えていよう。上高地から今日中に帰れないのではにないか。生ビールよ、また逢う日まで。残り行動食と水を少々口にし、下を目指す。
左足裏の皮が剥がれたのか?靴擦れの足の掌版か。もう何が起きても恐れないが、歩き難く、痛い。コースタイムは地図上ではあと2時間。岳沢ヒュッテ表示では1.5時間の案内にはなっていたが、速くは進めなかった。3000m峰ファイナルの鑑賞に浸る余裕は微塵もない。ただ、ただ、もし、16時のバスに間に合い、R158が思ったよりは混雑していなければ、市街地で反省させていただく。誰も俺を止められまい。決して速くはないが、それでも何チームと先行くパーティーを追い越しながら進む。3000m峰最後だ。脚の2本くらいくれてやる、と思ったものの、苦しい。ヒュッテを越えて大分傾斜は落ち着いてきたが、脚足休めにはならない。下りだから休憩は不要と思えど痛みは続く。気を抜けばゲームオーバーだ。公共交通機関のみを利用する者の宿命だ。ガクガクの足に悩まされながら只管下りに下った。
やがて往路で迷わされた自然探勝路に至る。もうすぐだ。もうすぐだ。河童橋が見えた時点で時計を見ると、2時間のコースを1時間15分くらいで下れてしまったことになる。ひょっとして16時のより更に30分前にバスの便があったりしないか、少し欲が出るものの、先ずは真っ先に目に入ったホテル白樺荘で生ビールだ。スーパードライあたりだろうか、一瞬で我が胃の藻屑と消えた。我慢できなかった。もう15時半を過ぎてしまった。大人しく上高地バスターミナルに戻るか。ターミナルに近づくと、あんれまぁ、沢渡へのシャトルバス待ち行列が。十数年前も体験した。1000人近い行列ではないか。颯爽とその間をすり抜ける。公共交通機関利用者の面目躍如である。正義はカツ。トイレに寄り、サポーターを脱ぎ、16時、あ、渋谷からの夜行バスの折り返し便は15時50分発でこれにも結果的には間に合っていたのだが、それでは反省会もできず、中央道で渋滞の餌食だろう。バス停スタッフが45番まで番号順に並べと言う。アントニオの券番は43だ。セーフ!今朝5時半に整理券を取得して正解だ、勝ったのだ。実際にはアントニオの前に数名、16時に間に合わなかった者がいたため、+4名ほど繰り上げ当選となったが、アントニオも悠々と16時発松本BT行きバスの人となれた。
お盆期は観光バスさえ規制されているため、自家用車駐車場行きシャトルバス、路線バス、高速バスにタクシーのみが釜トンネル越えを許可されていたため、帰路もスムーズである。当初、松本からは18きっぷで、と思っていたものの、この状況で各駅停車乗継はシンドく、3000m峰完登の褒美に特急で、とえきねっとに接続して今日最終の特急スーパーあずさの指定券を入手した。世の中上手く回っているではないか!さらには、お盆と言えども、交通量が多いのはR158上り線、そう、松本が起点ではなく、福井市から東へ伸びたのがR158ではあるが、今から上高地を目指す方向であり、アントニオ号はスイスイとR158を快走して行く。ふふふ、勝ったぞ!もう市街地反省会は目前だ!
さて、本バスは他の便と異なり、1日2便のみの松本BT直行便である。市街地の渋滞の心配がなければ松本直行の選択肢も脳裏を過り始めた頃、安曇支所付近あたりから、下り線も渋滞し始めてしまった。ううむ。バスガイドは満を持して新島々からの電車乗継を勧めていた。バスの遅れは約15分で、元々接続予定の電車の発車間際である。仕方あるまい。アントニオも松本電鉄上高地線、ここの車両は井の頭線のお古だが、渋滞知らずの鉄路の人となり、松本駅へと辿り着く。
駅の券売機で指定券を発券後、市内を歩く。パブ住所をググって至った地から電話するも、ググり地より300m近くは歩かされたが、それもまた麦標であった。女性スタッフが2名。一名の方は電話に出られた方、元々事前に今日の来店をメッセンジャーで通知していたので名刺を差し出せば、もう一方から、この方が正社員の方だろうか、ご挨拶をいただいた。なるほど、今は伊勢角さんに委託醸造しているが、工場での醸造も近々開始されるようだし、今年、品格無き物議で葬られてしまった松本ビアフェスの来年版には、その工場産の液種が並ぶことであろう。ペールエール、ビター、スタウト、ウィートエールの4種を美味しくいただくと程無く閉店の時刻となった。有意義な反省会であった。また来たい。
3ヶ月前に業務出張で乗ったタクシーの運ちゃんに教わった山賊焼き、唐揚げも見当たらず、おやきの蒸かしもの販売は数十分前に終了ともあり、山菜蕎麦をNewDaysで購入してスーパーあずさに乗り込んだ。雨が降っている。案の定、数分遅れた。ただ、アントニオの体力、公共交通機関に頼った運がなければ今果たしてどこで路頭に迷っていたことか。14日だ。高速道路は間違いなく渋滞していることだろう。数分の遅れなぞ鼻くそのようなものだ。八王子からの横浜線も既に夜間の運転間隔時間帯ゆえ、特急の遅れの影響なく予定の電車に乗れた。
3000m級も終えてしまった。全治一週間くらいだろう。必要な痛みだ。さて、次は何処を登ろうか。
(完)


付録:

山旅アドバイス
・上高地バスターミナルの窓口は5時半くらいには開く。上述の通り、帰路のバス整理券確保はお早目に。