発酵論第一

不定期連載 麦道をゆく 第1話
08/06/05~
長浜浪漫ビール(長浜エール、伊吹バイツェン、黒壁スタウト、
淡海ピルスナー)、
堀野記念館(マツヤ酒造)(花街麦酒まったり、町家麦酒かるおす、
平安麦酒黒麦酒)、
ニューミュンヘン本店(サッポロ神戸大使館醸造所)(神戸大使館ビール、
港神戸ヴァイツェン)、
白雪ブルワリービレッジ長寿蔵(ブロンシュ、ブロンド、ダーク、香雪、
レフブロンド)、
地底旅行(ニックタナカ)(ピルスナー、メルツェン)、
Beer Belly(箕面ビール)(ペールエール、心友ビール、カベルネエール、
よなよなエール、大山Gビール)
【発酵論第一】

6/6(金)
庵庵…小麦物語…鴨居駅〜新横浜…ファミマ…新横浜−米原
…さざなみライン…道の駅近江母の郷…近江の館…豊公園
…長浜城歴史博物館…長浜浪漫ビール…長浜駅〜京都〜烏丸御池
…堀野記念館…ホーユーコンフォルト二条城前…Fresco
…ホーユーコンフォルト

6/7(土)
ホーユーコンフォルト…京都御所…丸田町通り…河原町通り
…河原町駅〜梅田…梅田大阪界隈…ニューミュンヘン大阪本店
…梅田〜園田駅…猪名寺…小西酒造・長寿蔵…伊丹駅〜海老江駅
…千鳥橋…梅香…R43…弁天町…地底旅行…弁天町駅〜本町
〜肥後橋…Beer Belly…大阪駅桜橋口=

6/8(日)
=本厚木駅北口…本厚木〜海老名〜西谷…庵庵


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GW中に日本地ビール協会のメーリング会員に登録してから興味津々な通知が続々と届いた。折りしも5月5日6日に恵比寿にてビアフェスタが開催されるとのことであった。4日山行の帰り、厚木某所のレストランにて話題に挙がり、そのパンフレットも見せて貰う。恵比寿は会場が狭過ぎる、9月の横浜港大桟橋ホールのものが、そのレストランの作品も出品予定だから、こちらが会場も広く良いとのお勧めであった。パンフには大阪でのイベントが5月31日、6月1日に開催されることの発表もあった。大阪に行くなら泊まりが必要だろう、一応行使可能な代休が1日分あるが28日は業務の都合上休めず、6月1日は知人の挙式参列が三越前で厳しい。遠退く大阪。。。ならば、1週間ずらし、関西の地ビールレストラン巡りでもするか。調査中、長浜浪漫ビールが金曜の17時から地ビール半額のキャンペーンとの不可避な情報を入手した。金曜は会社を休ませて貰おう。都合、エクスプレスカード特典のグリーン車乗車の思い覚めやらず、新幹線の座席を予約した。
名古屋の金しゃちビール探訪も視野に入れていたが、名古屋・米原間の在来線移動は億劫と思い起こして却下となった。初日は長浜と、時間があればキンシ正宗の3酒も可能と計画していた。2日目はノンビリ大阪へ移動し、ニューミュンヘン、伊丹の長寿蔵、箕面ビール直営店と地底旅行。4店制覇には元々無理があったかも知れぬ。まぁ良い。読売新聞の以前の朝刊連載小説「にぎやかな大地」にて登場し、脳裏の片隅に蔓延る琵琶湖岸のにごろ鮒寿司も、高価ながら体験を所望してみたいと感じた。
米原から長浜まで鉄路は7.7km、どう考えてもアントニオが歩く距離である。2時間以上かからねば長浜観光して時間を過ごせば良いだろう。10時16分、こだま545号で新横浜を発った。
車窓の富士には興味はない。全ての道は麦酒に通ず。業務メールチェック後一度会社へ電話をしたが、それ以降はノンビリとこだま545号のグリーン車席に凭れ込んでいた。
13時16分、米原着。磁気券なれど、途中下車には未だ対応しておらず、今時みっともないと感じた。長浜への最短ルートでは17時ゴングには尚早と感じ、湖岸沿いルートを選択することにした。アスファルトの道は少々辛い(笑)。なんて貴様はフルマラソンランナーだったのか。湖岸沿いさざなみラインの道は大型車の通行など騒々しいのが残念だが、湖岸の風景を楽しみながら、何とか道の駅母の郷に辿り着いた。長浜ビールの摘みに期待をかけている都合、新幹線内で昼食も割愛した次第である。道の駅に到着したのが14時過ぎともあれば空腹三昧だが、平日のランチ賄いの食堂は営業を終了しており、所謂何処にでも転がっていそうなラーメン、そばのファストフードカウンターのみしか食にありつけそうになかった。思案の末、名前だけ気になって、フルフルラーメンなるものを所望した。当地名産の絹の粉を麺に塗してあると言う。どの辺りが絹なのだろうか、うーむ、普通のラーメンだと思うけど、、、と言う間に麺は胃袋の藻屑と消え去ってしまった。此処で堪能している場合ではない。先を急ごう。
土産物屋、近江の館に寄って見た。平日の午後ともあれば閑古鳥が鳴いていた。売り子のお姉さんが親切にお茶を出してくれた。冷蔵庫内を覗くと、、、あった。にごろ鮒寿司である。1匹、一番安いので2100円である。。。土産物屋でこの値段なら、食堂では5000円だろう、、、、、、、、2100円はオスだ。子持ちメスは3150円。メスの一回り大きい物が4200円だ、、、にごろ鮒がしてやったりと言う顔をして逆にアントニオを覗きこんでいるようだ。。。保冷剤を使えば今晩くらいまでは持つとのことである。今晩、、、明日朝食代わりにするか、、、やってみるか、、、子持ちのを所望した。この程度の価格であることの心の準備はして来たのだがやはり目前で一瞬躊躇した。3150円の朝飯か、、、豪華な宿なんだな、、、そう思いながらレジで精算をすると、2000円以上お買い上げの方にとのことで、草餅を1箱おまけでつけて貰った。もしかするとこのおまけの方が美味しいかも、、、明日の朝食の味は知る人ぞ知る。
米原駅から通算2時間程度は歩いただろうか、長浜の町と思しき区域に入り、城が見えて来た。我が合戦は17時に火蓋であるから、まだまだ1時間半はあるぞ。折角であるから、慣れない観光者らしきことでもしてみるか。豊公園内を巡り、長浜城の下に辿り着く。400円の入場料を払って歴史博物館の見学だ。博物館見学は京大博物館探訪以来4年振りだ。博物館探訪は小学生時代以来トラウマとなっていた。身長が高くてクラスの一番ビリッけつを歩かされる。すぐ後ろは次のクラスの教師以下が並んでいるのだ。その教師、今から思い起こせば裁判ネタになるかも知れないのだが、アントニオの前が先に進んだから、アントニオがそこでじっくり眺めたいのに「先に行け!」と注意したのである。博物館は、クラス単位ほどの大人数で訪れる場所ではなかったのである。その教師に、博物館の入場料の返還を求めたい次第である。だから今日は時間の許す限り思う存分眺めてやる、、、とは意気込んだものの、米原からのアスファルト上の散歩続きは久々に体に堪え、全身がビール志願兵であった。ただ、その中でも幾つかの合戦図屏風は目を見張るものがあった。描いた位置からは戦の全貌を見渡せる構図なのである。此処に当時、画家が本当に居たのだろうか。両軍の動きを支配できるその場所に。。。絵を描いている間にぐさり、とやられずに良く生きながらえたと思う。画家が本当にその場に居たのか、そんな悩みをビール指数が打ち砕く。ビール一向聴、ビール聴牌と敵も四面楚歌状態と言えよう。後半は意識朦朧としながら館内を回り、そそくさと天守閣に昇った。
天守閣に電話がなった。
某社のテストプログラムが時折エラーを吐くと言う。最近リリースされたバージョンで漸くお客さんのプラットフォームをサポートするようになったのだが、メーカー側のテストが甘かったのだろうか。それともお客さんの環境構築の問題なのか。近江の城壁を荒くなぞる夕風が、電話の向こうに轟音となって届いていた様である。天候はまずまずだが、霞んで対岸は見えない。客か、メーカーか。天守閣で眺めながら、メーカーに軍配を上げることにした。お客さん、ログを取れ、と。聴牌の時間が長く続いたが、もういいだろう。博物館を辞去し、長浜駅にて切符を買い、少々時間を潰して浪漫ビールへと向かった。
小川の辺にあった。17時なるかならないか、なるまで待とう、ホトトギス。シナリオ通り、ビールは半額だった。近江牛刺身握り、手羽先揚げは山ちゃん風、トロ生ハム刺身、サラダ、、、ビールが半額なのが非常に有難かった。料理もどれも絶品で、このツアーが此処で終わっても思い残すことはなかった位である。ただ、メニューは存分グルメであり、あと十回は楽しめそうである。長浜ビール、天晴れ。
長浜駅へ向かう。鉄キチを自称卒業して以来、てっきり直流区間が長浜以南だとばかり思っていたのだが、何時の間にか敦賀以南となっていたようで、18時29分発の新快速電車は長浜始発でないのでがっかりであった。だが何とか席を確保し、やがて東海道線の人となった。堀野記念館は21時まで営業だから、、、山科から地下鉄が良いかと寸前まで計画していたが、京都から烏丸線で烏丸御池の方が地下鉄区間も短いため予定より少々料金も安くて数分の短縮になることが判明した。京都駅ホームからは地下への階段を下りると地下鉄改札口は意外と近かった。堀野記念館よ、待って居てくれ、少々酔っ払ってはいるのだが、、、
烏丸御池から少々粗い地図を頼りに既に灯りの乏しい路地裏を走った。一度不安になって近所のスーパーにて道を聞いたが「あの店はもう閉まってるのでは、、、」と脅された。怯まず走っていると、店の灯りが!間に合った。客は1人、、、実はこの方は客ではなく、後から判明したが、さくらであった。バーの店員ではなく、既に閉じた併設売店の店員だったのである。正直に長浜で地ビール飲んではしごである旨も伝えた。ネットでのこのバーの書評は、摘みが(少)ないとのことであったが、良く見ろ、メニューを。京野菜のイロハが並んでいるではないか。半紙に筆書きで如何にも京都らしいメニューである。その時は、ネットのその評を鼻でせせら笑った。京茄子と牛筋を甜麺醤での炒め物に舌鼓を打った。アルコール味覚は既に逸してはいたのだが。季節によっては京野菜のグラタンも卓に並ぶと言う。腹には溜まらないかも知れない。だが、この店はそのような目的にはないのだ。京野菜を使った摘みはどれも美味しそうであった。8月12日から17日まで5000円飲み放題で、舞妓さんと写真撮影会も開催されるとのことである。
最後はそのさくらさんにお土産を買わされ、28日配達希望と記載したが、配達日を勝手に書き換えられて8日届いてしまい、憤懣やるかたない。欠品があった訳ではなく、すぐ様空けてしまったが、嗚呼、もうこの店には寄らない、この店の物も買わないと心に決めた次第である。
2日目。
にごろ鮒の味は、、、昨晩近所の24時間スーパーでは到着が遅く、辛くもご飯もの惣菜を逸したため止む無く食パンを所望したのだが、、、とてもパンに挟んで食べられるようなものではなかった。ご飯があったとしても、、、長浜浪漫ビールのメニューにも鮒寿司があったので、次回そちらでどのような食べ方が妥当なのかを確認してみたい。
さて、今日は4連投である。しかし、朝7時半からビールが飲める京都駅近くの新福菜館本店は今回の旅の主旨から外れていたため、ニューミュンヘン本店11時半開店を目指すこととなった。京都御所を横切り、丸田町通りから河原町通りへと歩き、特急が通過してしまう大宮からではなく、阪急電車は始発の河原町から乗ろうと計算であった。爆風スランプの歌にも登場するかわふね屋であるが、入り口前に聳え立つ、ジャンボパフェ10000円要3日前予約のモックアップに、バケツパフェ7500円要3日前予約のモックアップが圧巻であった。食べ物名に「バケツ」を冠しても可なのは場所柄なのか。3日前から作り始めないと、、、と言ったでかさである。札幌の雪印パーラーで食べたアイ・アム・ア・ナンバーワンを凌ぐでかさであろうか。数年前であれば次回の目標としたい、と述べていたであろうが、如何せん、エコロジーでないと思うのは私だけであろうか。
河原町から特急電車に乗ってしまうとやはり梅田でも暇を持て余してしまった。古書店街は土曜の朝でまだ閉まっている。昨日アスファルト上を歩き過ぎて今日は朝から草臥れ気味であった。ビル街にひょこりと曽根崎天神。ビル街だが、綺麗だ。皆天神を敬っていることであろう。
時間を潰しに潰し、11時半のゴングとともにニューミュンヘンに雪崩れ込む。アントニオのように昼からビール派も少なくはなかった。今日の4連戦に胃の負担を少しでも減らすべく、本店が得意とする洋食系はパスし、敢えて和定食を選択した。足は草臥れているが喉越しは未だビール指数が低く、此処の2酒の食感は程ほどにしか感じられなかったのが不幸であった。
気を取り直し、2戦目の会場へと向かう。電車賃をけちること。そして十分歩いてビール指数を高めて戦場に臨むこと。阪急電車は各駅停車にて伊丹より4つ手前の園田で下車した。周辺の地図は持ち合わせてはいなかったが、駅ビルの書店で地図帳を読み漁っては方角を定めた。山陽新幹線のガード沿いを歩く。かったるい。2戦目とは思えない疲労感に虚脱感である。敵前で最早戦意喪失か。朦朧としながらピークハンターが如く、1歩ずつ前へ進む。やがてJR福知山線の踏切を渡り、最終ストレッチを北上、長寿蔵は見つかった。
この酒造で製造している地ビールと地酒が飲めるのは当然ながら、此処ではヒューガルデンホワイトにレフブロンドとブラウンも生で飲めるのは、過大なサービスだろうか。厚木の地ビール主に問うたところ、「うちでは有り得ない、考えられない」とのことであった。態々他所で作られたものを出すのは、出された方としては選択肢の多さに喜ぶべきだろうが、出す方の姿勢としての是非は如何に。既にアルコール味覚を失しており、残念ながらこの酒造のビールの良さを感じることができなかったが、併設の売店に輸入物のチェリービールに触手が動き、お土産とさせていただいた。
さて、今日は3戦で終えるか、予定通り4戦を交えるか、悩みながらも3戦目に方角を定め、阪急ではなくJRを選択した。ちょうど、東西線直通快速電車がアントニオを迎えてくれたため、海老江から弁天町まで歩く決意をした。アスファルトは膝に悪い。しかも空気もよろしくない。惰性でアントニオは弁天町へ向かっていた。
自動車専用道路の側歩道は心地良い訳がなかったが、酔っ払ってなければ歩くことはなかろう道をとぼとぼ南下していた。弁天町と言えば、神田の旧交通博物館の関西版と言うべき交通科学館の存在する駅だ。 鉄キチとしては訪れねばならぬ場所であっただけに、高速道路の階下ながらもぴかぴかに磨かれていたオレンジ色のDF50を目の当たりにして、嗚呼、ゴールは近いと感じたものである。ホームページの地図内のランドマークを見失ったのか、少々界隈を巡っては地元の初老の方に道を尋ねて、、、ちょっと前に同じお爺さんに道を尋ねた人は同じ場所を目指していると思ったが、、、案の定、地底旅行で落ち合った。ホールでは吉本興業の寄席などが行われるようでもあり、また、地下1200mの泉を利用した銭湯も併設されていた。ビールもこの1200m地下水を利用したものである。お摘みも大阪庶民価格である。大阪の下町にリーズナブルな地ビールとは羨ましい。
さて、3軒も過ごし、舌は朦朧5丁目の角を曲がっていた。だが、夜行バス出発時刻まで、まだ時間に余裕がある。シナリオ通りだ。アルコール感覚以外は。アルコール感覚とともに足感覚も朦朧としていたところ、地下鉄中央線って何処だろう?と思い悩んで空を見上げたら、あった。高架線を走っているのか、、、本町で四つ橋線に乗り換え、最終目的地最寄の肥後橋で下車した。日も暮れる大阪。大阪駅から徒歩でも20分とかからない距離であろう。そんな地に、ハンドポンプが16も揃っている店があるとは。他店の地ビールも数種類存在した。酒類を変更したとのことだが、旧メニューにはサンクトガーレンも名を連ねていた次第である。ピザも生地から作り、フリッターにはヴァイツェンを塗し、生ハム、ハモン・セラーヌも塊を目の前で切り分けてくれる。厨房を全て1人で切り盛りしていながらお摘みメニューも抜け目なく、アルコール感覚が朦朧としてながらも本日の最良店にランクインした。良い飲みだった。中目黒のタップルームはポンプが24だが、お摘み品揃えでは雲泥の差がある。また寄りたい店であった。
徒歩で駅に戻ったが、最早飲食不可、京都大阪行脚で蓬莱551の豚マンを購入しなかったのは何時以来か。
高速バスを本厚木で下車して次はランビ、、、午前5時に開店している地ビールレストランは果たしてなかった。
(完)

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付録:
麦旅アドバイス
・長濱浪漫ビールは金曜日にイベント等があると
地ビール半額セールにならない可能性もあるとのこと。