本番

不定期連載 山道をゆく 既出
不定期連載 麦道をゆく 既出
神ノ主山、鳴虫山
日光ビール
(デュンケル、ピルスナー)
【本番】

9/10(金)
庵庵…鴨居〜菊名〜渋谷〜新宿〜特急日光1号〜東武日光…Lion D'or
…日光保育園…鳴虫山登山口…神ノ主山…鳴虫山…合峰…独標…憾満ヶ淵
…日光千姫物語…R119…神橋…県道247号線…日光ビール−千姫物語

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まだ季節柄、暑かろうとは思ったが、社員旅行の一環として企画するにはこの場所や行程が妥当と考えられた。昼食後の登山開始は避けたいが、となると定番の最早朝ゴルフ組と同じ6時会社前集合となってしまうだろう。アイデアとして、例えば新宿から直通の特急列車に乗らせて貰うのはどうかと旅行委員に打診をしたところ、問題はないとのことであった。今思えば通勤時間帯の新宿7時半集合はチャレンジでもあった。ツアコンとして、雨天時の代替アクティビティも気になっていた。第一、ハイキング組以外の殆どのバスが日光駅近くにはやって来ないのだ。雨天時も同じ特急で来日し、寺社地ビールグルメ散策あたりしかないかと思っていた。雨天時の取り纏めを想像するに億劫であった。だが、1人当たり5000円くらいまで精算対応可能と聞き、それはそれは晴れたら使い道に困るだろうなとも感じていた。
新宿駅構内コンビニ購入で朝食を支給せんと、7時前に到着できる予定で自宅を発った。7,8分自宅から歩けば56系統の始発バスで、鴨居駅での予定の電車に間に合いそうであったが、割と体力も余裕があったため駅までは歩くことにした。横浜線乗車直後に携帯電話を確認すると、このツアー参加を心底期待していた、米国人同僚の奥方から、怪我により無念の欠場との連絡メールが入っていた。アントニオがハイキング企画のアンケートを出して真っ先に返答をくれた彼である。彼としても無念極まりなかったであろう。乗換えが心配だろうと推察し、横浜線新横浜6:11発電車のこの辺りのドアから乗ってくれ、などと落ち合う約束をしていたのだが。。。
時刻表を予め調べておいたのだが、菊名始発の急行電車に乗ることができた。平日朝とは言え、始発ともあれば未だ座席はガラガラだった。確かに各駅で乗客を増やして日吉で既に立ち客が発生していたのだが。武蔵小杉から山ガール、否、今回のハイキング組紅一点さんとも落ち合えた。渋谷で乗り換えた山手線外回り電車も空席が目立っていた。乗客減につき4扉化改造された10号車に余裕で着席できた。他の4扉車と車内のシートの長さが微妙に異なっていることに、気付く人はあまり居ないかもしれない。内回り電車は満員電車モードであった。開けてみれば新宿7時前到着は意外と楽であった。
コンビニ買出し組と落ち合い、おにぎりを人数分買うことにした。新宿駅構内コンビニのおにぎりの種類も豊富で、ほぼ重複なく18個を購入することができた。そして、冷蔵庫に佇む青色の缶を見逃すことはなかった。ASKA CRUISE。ビーラーアントニオが予期せぬキャストではあったが、飛鳥IIには敵わないものの、バス組より少しリッチな演出を醸成するには必要なアイテムであった。
日光1号は残念ながら東武のスペーシア車でなく、JR東日本の485系改造車であり、車内設備の格下感は否めなかった。トイレも1車両毎にスペースを潰してあり、残されている箇所でも従来の和式のそれと同じ部屋サイズの中に洋式のが設置されており、付け焼刃感は否めなかった。しかし、アントニオにはASUKA CRUISEがあった。何時もの青春18きっぷ&快速乗車とは気分が違うのだ。電車は楽チンだ。トイレの心配もない。進め、日光1号。俺は飲むから!
さて、東武日光駅に到着し、宿の旗を掲げたお兄さんに挨拶し、登りに不要な荷物を宿のマイクロバスに預けることにした。「登山口まで送りますが、、、」との申し出だが、登山口まで歩くことが登山に必要な準備運動なのでと、丁重に断った。第一、買出しをしていないのだ。駅前から国道と県道を挟んで丁度真向かいにあるスーパー、リオン・ドールに赴いた。途中と山頂のそれぞれで飲み食いするものはすべて揃えよ、との大号令で皆売り場へ散って行った。缶ビールは都合1ダースである。その店販売銘柄中最上位、否、瓶の日光地ビールはさすがに敬遠し、ザ・プレミアム・モルツを所望した。自宅から保冷剤と保冷ケースを持参したアントニオは半ダースを抱え、その他各隊員で荷物を手分けしてスーパーを発った。
大谷川の支流を遡る方向に沿って進む。大谷と書いて「だいや」と読み、昔は東武線にも快速急行で同じ名前の列車が存在した。程なくして喧騒に遭遇した。日光保育園の運動会である。金曜日であるから、お父さん方は会社を休んでの参観になるのだろうか。我々も休んでいるようなものかも知れないのだが。
保育園手前の公園で最終トイレを済ませ、橋を渡り、登山口へと向かった。登山口からは急がなくていい、上で待っているから、と隊員に声をかけて、上りとしてはかなり緩いペースで歩を進めることとした。登山道のかなり上の方まで運動会の喧騒が冷め遣らなかった。金曜日ともなれば先客も居ない可能性もあったのだが、今日も蜘蛛の巣もなく、快適な登山道露払いとなった。元々蜘蛛の巣が少ない山なのであろうか。数年前の白鳥山は悲惨であった。
序盤は皆さほど遅くなく、1時間かからないうちに神ノ主山に到達して展望を満喫した。そう、2週間前に地ビールの隣に発見した乗馬クラブのトラックが目に付いた。天候も悪くない。女峰山もばっちりである。隊員達もまだ口数は豊富であった。
神ノ主山から、急いでいた訳ではなかったのだが、気がつくと庵速に近く、数人の先頭集団で先走ってしまっていた。先走っているうちに、先んじていた初老集団5人組みを追い抜いてしまい、山頂には12時前には到達してしまった。ううむ、先々週と変わらぬ佇まいである。天候も似たようなものだ。夏草が邪魔して展望台からの景色としては微妙であろう。皮肉にも先頭集団のアントニオ以外は喫煙者であり、達成後の一服を嗜みながら残りの隊員の到着を待っていた。12時前に到着できたらビール2本!と叫ぼうとしたが、もうその2分前で隊員は見当たらず、先ほど追い抜いたグループの方々が漸く最終コーナーを登って来るところのみであった。

さて、皆、到着するや、歓声であった。展望がどう、なんてどうでもよかった。展望台はそこに乗って景色を楽しむものではなく、宴会場として座るものであった。昨日の雨で湿っていたため、持参した新聞紙を敷き、それぞれブーツを脱いで徐に荷物を広げた。ビール、手巻き寿司、餃子、焼きそば、などなど。どこのお祭りでも揃いそうなものであったが、皆口を揃えて旨い、旨いと顔を綻ばせていた。展望が及第点か微妙との心配は杞憂であった。いや、皆で食べる飯は旨いな、やっぱり。
宴も終わり、またゴミを徐に片付けそれぞれ分担して持ち、憾満ヶ淵方面への下りとなった。階段、ロープ、何もない急坂が揃っているのでゆっくり下って欲しいとの言葉を残したのだが、庵速状態になるのも時間の問題であり、合峰、独標と小休止を一緒にしたのは若干2名であり、3人による先頭集団は瞬く間に日光道の脇に辿り着いてしまった。
日光道下ガードを潜って石段を下り、大谷川の淵に至る。慈運寺本堂門を潜り、暖簾を下ろして久しいと思しき含満の茶屋をうちやり、橋を渡り、昔ながらの水桶などを眺めながら、千姫物語には直行組みよりも早い到着になってしまった。今宵は貸切の筈だが、、、あ、完全貸切は15時以降なのか、、、それより1時間も早い到着に、宿側は少々慌てていたことだろう。部屋に入ってまったりすればゲームオーバーなりかねず、15分後くらいにロビーで待ち合わせて先発3人組で日光地ビールへ向かうことにした。日光地ビールのホームページによればこちらのホテルでも飲めるようだとホテルのお姉さんに問えば、既にサービスを止めてしまっているとのことであった。
フロントにここからどれくらいかと問えば、30分はかからないだろうとのことであった。車を出しましょうか?と言ったリアクションを期待していたが、期待過剰であった。R119に出て、そうだ、今日は平日なのだ、少々心配になって営業状況を確認すべく、まずは宿に電話をかけた。宿側で調べてくれるかと待っていたが熟知している者はいないようで、電話番号を聞いてこちらから確認することにした。日光地ビールは少々呼び出しに時間がかかったものの、特に問題なく営業しているとのことであった。先々週同様、この先に売店などが存在するのか少々不安に陥る道を進む。平日ともなれば先々週の交通量の比ではない。
やはり平日で先客も1組のみで、先ずは全員デュンケルで乾杯とした。アントニオを数年越える社歴の方とアントニオ、そして社歴そこそこの3人となり、過去は散々他事業部からこき下ろされたが、立場が変わっても我々はこき下ろし返すことはなかったなどと、少し酒が回っていた。アントニオはピルスナーも所望したが、今日は平日で品揃えとしてはシュワルツが欠品となっていた。2週間前終盤にサーブしてくれたお姉さんにこちらは気付いていたが、どうやら向こうもアントニオの前回の来訪を覚えていてくれていたようである!隊長冥利に尽きる。日光地ビール、来て良かった。山を降りてそのままの勢いで来て正解であった。帰路、宿までの足を、とタクシーの電話番号を尋ねようとしたら、お姉さんの方で電話をして1台確保してくれた。ものの数分待って気持ちよく日光地ビールを辞した。
宿に戻って風呂宴会であった。充実した今年の社員旅行であった。
(完)

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付録:
山旅・麦旅アドバイス
・日光ビールは平日欠品のこともあり。