雪上

不定期連載 麦道をゆく 第87話
不定期連載 山道をゆく 第278話

竜王山(庵選千名山632)、津黒山(庵選千名山633)

大山Gビール/ガンバリウス
(ピルスナー、ペールエール、ヴァイツェン、スタウト、八郷、
ヴァイツェンボック、ヨーロピアンアンバー、大山ブロンド、
ドッペルボック、ウィートエール)
タルマーリー
(セゾン、Ancient Wheat、Radical Sour Ale)
【雪上】

11/22(木)
庵庵…鴨居〜東神奈川…仲木戸〜(エアポート急行)〜羽田空港国内線ターミナル
…71G/ANA381/米子鬼太郎空港1G=カースタレンタカー米子空港・境港店
−R431−弥生緑地駐車場…水木しげるロード…妖怪神社…妖怪饅頭総本店
…水木しげる記念館(未遂)…駐車場−R431−イオンモール日吉津
−米子自動車道入口−米子東IC−県道53−県道24−県道36
−ビアホフガンバリウス−ロイヤルヴァンベール大山…ガンバリウス…RVB大山

11/23(金・祝)
RVB大山−県道36−県道52−県道45−溝口インター入口−R181−鬼守橋−県道46
−黒坂橋−R180−R183−諏訪−生山道路−丸山下−別所
−県道254号線(比婆山公園線)−熊野神社駐車場…那智の滝
…竜王山…駐車場−県道254−R183−生山道路−R180−県道46−R181
−ファミリーマート伯耆溝口店−県道45−県道52−県道36−RVB大山
…ガンバリウス…RVB大山

11/24(土)
RVB大山−県道36−県道52−県道45−溝口インター入口−R181−江尾−R482
−道の駅 風の家−県道325号線(別所下長田線)−県道115号線(常藤関金線)
−R482−基幹林道美作2号線−津黒山中央登山口−東登山口…津黒山…中央登山口
…東登山口−県道445号線(下和奥津川西線)−県道116号線(羽出三朝線)−奥津
−R179(奥津渓バイパス)−竹田南−県道339号線(広域農道・西一宮中北上線)
−野田東−R53−タルマーリー−R53−イオンモール津山−出光津山インターSS
−津山IC−中国道−落合JCT−米子道−溝口IC−県道45−県道52−県道36−RVB大山
…ガンバリウス…RVB大山

11/25(日)
RVB大山−県道119−新日下橋南詰−県道53−下郷入口−R431
−序もネット山陰431SS−カースタレンタカー=鬼太郎空港1G
/ANA386/羽田空港〜(エアポート急行)〜京急川崎〜京急新子安…大口〜鴨居
…庵庵

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離れていた。機を失っていた。ビールイベントは小康状態である。9月には来年3月の東京マラソン出場も決まった。週末はなるべくマラソンの練習に費やしたい。山への機を逸していた。ただ、賀状用の画像も欲しい。11月の祝日は辛くも後半でないと連休化の意味がなかった。路面は凍結してしまう頃だろう。冬の山か。澄んだ空気に巡り合えるであろうか。ガンバリウスは案の定、平日の22日しか席の予約は受け付けて貰えなかった。宿はガンバリウス至近のが3日連続で確保できたのが幸いである。イツモレンタカーはカースタレンタカーに名称変更していた。今回はすんなり予約ができ、しかも前回利用した別会社のそれより少々安い。ナビは無料だ。直前に気付いたのだが、馴染みのあるENEOS旗ヶ崎店ではなく、カーコンビニ倶楽部米子店へと拠点も変わっていた。ENEOSの渡辺さんは元気にしていらっしゃるだろうか。合掌。
初日の着陸時は未だ曇っていただけだが、カーコンビニで手続きをしているうちに降りだしてしまった。鬼太郎の街にでも行くか。R431を空港方面へ戻る。気分は既に大山Gビールである。境港界隈を少し歩いてイオンで買い出し、もう昼からビールしか眼中になくなっていた。
赤信号に止められる度にトランキーロ!と叫ぶ。さすがに水木しげるロード周辺の駐車場は有料の箇所ばかりであった。妖怪が今回の旅の目的であれば甘んじていたかも知れないが、多少歩いてでもきっと無料のそれがある筈との勝手な土地勘を保持していた。案の定、境港駅の北側、旅客向け境港の少々西側にある公園に、無料駐車場を発見できた。大粒の雨である。冬の雨だ。寒い。妖怪のオブジェ、名盤は至る処にあり、どれを撮影すべきか悩んだ。と言うより、雨量と寒さは増し、スマホカメラのシャッターを切るために手袋を外すのも面倒になってきた。博物館に倉庫、立ち寄るには予習不足である。寒いから観光客も少ないな、あ、確かに今日は平日でもあるし。妖怪饅頭本店で会社仲間向けの土産を購入し、そそくさと駐車場に戻る。

再びR431へ、空港にカーコンビニも通過し、イオンで明日の朝食分を購入、一路ガンバリウスを目指す。カーナビはアントニオが何時も利用するルートとは別のを指示したが、自分の選択の方が速かろうと指示を無視した。ただ、帰路の指示から、自分の選択よりやや短いルートを選んでくれていたのかも知れない。まぁいいや。
美味しそうな料理はメニューに所狭しと並ぶものの、マラソンを控えている身、しかも液状であれば炭水化物の接種を許容している都合、固形のそれは昼食時のみ、と制限をかけていた。平日の特製ランチはOKだ。見栄えと食材のバランスが良い。新種のヨーロピアンアンバーやウィートエール、ヴァイツェンボックなど10種類が1080円税込の飲み放題である。このレストランへは未だあと3回も寄れるのであるから初日昼からスタートダッシュの必要はない。ビールも食事も、期待通りの美味さだ。
おぉっと、平日昼ともあり、出勤されていた大山Gビール醸造長のヒデさんもお見えである。高々年2回くらいしか訪れられない地で迎えていただき、恐縮である。今後もまた色々と挑戦し、未だ味わっていない美酒製造に励んでいただきたい次第だ。定期ビール頒布会は取締役田村さんにメールで申込済みであったが、また申込葉書を渡された。宣伝しろ、との無言の指令か。はっ!そんなこんなでその後に田村さんも挨拶に見え、大山Gビールの食卓は良い思い出となりそうだ。
宿にチェックインして業務メールを捌き、早いが昼風呂を浴び、スマホを弄っているうちに夜となり、再びガンバリウスへ向かう。今年から、あの真っ暗だったロイヤルホテルからガンバリウスまでのルート上の歩道に、街灯が設けられたのは幸いである。今年も懐中電灯は持参はしていたのだが。
昼からもほぼ運動はしておらず、夜は確かに食も杯も進まなかったものの、矢張り何もかも美味であった。

目覚しセットをし忘れ、勤労感謝の日の朝の目覚めは7時半を過ぎていた。トランキーロ。お陰で路面凍結の心配は激減したと言って良い。天気予報では此処より南西側の方が太陽マークが多かった都合、広島県の山へ向かうことにした。昨年別会社車両のカーナビより機能が乏しく、複数の選択肢もない。頭悪そうだな、お前、と罵りながら、前半1時間ほどは勝手知ったるルートで進み、幾度かルート再検索をさせた。しかも9時過ぎ、R181を走行中に、カーナビはフリーズしてしまった。トイレのある駐車場に一旦車を止めたが、車のエンジンを切っても電源の入ったままフローズンだ。ナビの電源ボタンを探せず、やや慌てた。カーナビ点きっ放しでバッテリー上がりとか、、、あ、でもバッテリーソケットから抜いておけば、最悪でもカーナビ自体のそれがお陀仏になるだけで済むか。心配させやがって。まぁ、ロードマップはあるし、熊野神社でまた対応を考えることにするか。昨年や一昨年前の周辺の県道の道幅の狭さに恐れをなしていたが、不幸中の幸い、今日の県道254号線はセンターラインも続き、快適にハンドルを切れた。熊野神社には無事到着できた。
さて、カーナビ君よ。お、電源ボタンは、ここか!すかさず長押し、強制終了だ。俺が登っている間は暫く寝ていろ!
駐車場には既に2台の車はあったものの、歩き始めて15分で2組を追い抜いてしまったため、このルートの今日の先頭歩行者となってしまったということか。此方は寝坊したと言うのに。出発地点が熊野神社、そして途上には那智の滝も。和歌山市のそれと因縁があるのだろうか。気を抜けない程の傾斜ではないのが幸いである。ただ登るに連れ、徐々に積雪も増えてきた。昨日下界での雨は此方では雪だったか。特に急斜と思うような困難は感ずることなく、避難小屋辺りまで達する。周辺の積雪から凍死しか結びつかないのだが。少々登って竜王山頂に到着。

池ノ段、立烏帽子山、比婆山、三瓶山、猫山、道後山、、、辛くも父、大山は雲隠れであったが、標高1000m超を目指して正解であった。天気予報は50点くらいだったが、この大展望であれば申し分ない。ゆっくり下山しよう。








分岐は山頂付近にしかないルートを下って登山口まで戻ったが、追い抜いた2組と再度擦れ違うことはなかった。何処かで引き返したのか。勿体ない。割と快適な登山であったと言うのに。
カーナビは一応息を吹き返し、フリーズは二度と発生しなかった。生山道路などを経て、溝口のファミマで明朝分の食材を購入し、宿に戻る。風呂を沸かし、汗を流す。
今晩は席予約が不可だったので、空いていそうな、中途半端な時間帯にと、15時台にしてガンバリウスの暖簾を潜った。ほぼ待ち時間はゼロだった。少々奮発してポン酒も頂いてしまう。夜の炭水化物は液体のみとの意図とは言え、揚げ物であっては、、、まぁ、偶の贅沢だ。許せ。今晩は忘れずに目覚しをセットしておこう。
3日目、目覚しで起きる。路面凍結の心配を本来すべきであったがせず、真っ暗な宿を後にする。今日の目的の山の登山口付近にはトイレがなさそうだから、勝手知ったる道の駅を利用する。寒い。寒いよう。津黒山界隈に至り、ガイドブックが示していると見られる中央登山口に一旦車を停めた。少々大変そうなルートの予感がし、もう少し難易度の低いコースがある筈と虫の勘が働き、再度車に戻って林道をさらに巡る。をぉ、あったあった、東登山口が!コースタイムも先程の中央口からよりも短いぞ。行くか!
しかし、急いては事を仕損じる。積雪、急斜面の連続である。この傾斜、下りに利用するのは死を意味する。何故?短いコースなのに踏み跡が微妙、ほぼ歩かれていないと見られる。そして雪に撓む熊笹。ルートを示す赤テープがなければ熊笹藪でしかなかい。戻りに使えるルートでもない。だが、前には行く手を幾度も阻む熊笹と雪。何度も気持ちが折れそうになる程、雪と熊笹との戦いは続いた。ラッセルとは仰々しいが、それくらいのパワーが必要だった。東ルート、コースタイムは短くともこれでは人は通らんよ。コースタイム2時間程度と高を括り過ぎた。歯応え抜群。今年まだ3山しか登っていないが、今年の登山大賞はもうこの津黒山以外に考えられまい。目は完全に醒めたよ、7時台にしても。きっと林道は路面凍結していたことだろう。もうそんなことはどうでも良い。ただただ、帰路には中央登山口コースを使いたい。そちらが是ほど厳しくないことを祈るしかない。







山頂からの展望は、それはそれは期待を凌ぐ勢いだ。蒜山3山に、父、大山。天気は抜群で、放射冷却が半端ない。空気は研ぎ澄まされている。冬の山だ。澄んでいる。静寂。雪の世界。良く登ったな。寒い。大パノラマに平伏しているうちに、冷気は体を蝕む。降りるか!










中央登山口のコースは、期待通りの緩さであり、安堵した。往路が如き傾斜であったらゲームオーバーだ。活かされているのだ、進め、アントニオ。登山口まで難路はなく、幸いであった。
林道を東登山口まで戻る。思ったより林道区間は長い。そして車はスリップする。駐車した箇所にも雪が溜っていたのだ。ふぅ。
車に戻ってからも気は抜けない。狭路林道が待っているのではないか。恐る恐るカーナビの指示に従う。十数分で何とかセンターラインのある県道に着陸し、事無きを得た。岡山県を走る。そして、あの麦処へ。

前回心惹かれた美人スタッフは辛くも見当たらなかった。また、6月の桝水高原のイベントの地で、何故か近くに居合わせたこの麦処の醸造指導者曰く、彼は此の地を卒業する、即ち残された作り手の力量が試されることとなった。以前は常時6種類あったかと思うが、今回は4種に減っている。液種についてもリピーターにとっては既に飽きが起きかねないと感じたラインナップだった。悪くはないが、ねぇ。期待が過剰だったのか。ううむ。


岡山麦処時間帯は気にせず、宿に戻っては昨日同様風呂で汗を流してからそそくさとガンバリウスへ向かう。良く喰い、良く飲んだ。3日4食は多いか。そろそろ、何か違うレパートリーに向かいたくないか。否、決して味に不足はないのだが、気分がそろそろ、と言う感じが。




最終日、宿で荷物を片付け、カーナビ指示でカーコンビニへ向かう。一箇所なるほど、また別の一箇所俺の方が短ルートを知ってたぞ、もあった。まぁ、無料のオプションだから許してやろう。
コンビニ数百メートル手前で給油し、返車しては空港へ1ボックスカーで送って貰う。羽田着も11時前、日曜はまだ長いぞとは言うものの、大人しく直帰して買い出しや洗濯などの家事に明け暮れる。次回はもう少し、山や麦に思いを馳せても良いかなぁ。
(完)

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付録:

山旅アドバイス
・熊野神社や竜王山山頂付近にトイレあり。
・津黒山は両登山口付近にトイレなし。
・津黒山東登山口からは急登&歩かれておらず熊笹伸び放題のため、
利用するとしても登りのみがお勧め。