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忍野三遷

不定期連載 山道をゆく 第191話
06/09/08
三方分山(山梨百名山、庵線千名山383)
【忍野三遷】

9/08(金)
庵庵…鴨居〜新横浜=環状2号=保土ヶ谷バイパス=横浜町田IC
=海老名SA=足柄SA=御殿場IC=R138=須走IC=富士吉田IC
=R139=鳴沢ゴルフクラブ=精進バス停…女坂峠…三方分山
…精進山…精進バス停=ふじやまビール=鐘山苑

…:歩き、〜:電車、=:巴士

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今年の社員旅行は7年前と同じホテルの運びとなった。毎年のようにハイキングコースにエントリーを決めた。忍野界隈の山々はほぼ制圧状態であった。シナリオ通り、チームリーダーに指名されたため、リーダー特権で未遂の山を選択させて貰った。然も登山口と下山口が異なるコース、昼飯は地ビールレストランと言う、別に国内旅行業務取扱主任の資格が無くても思いつく黄金ルートを模索していた。その後、異動と技術トレーニングのための渡仏のスケジュールによるパズルの穴埋めがぴったしはまってしまい、肉体的にも精神的にも余裕がなくなっていた。今年の社員旅行こそ自分の部屋で寝たい、後は野となれ山となれ。だが、渡仏の心配が募り、リーダーとして気負う余裕は皆無だった。
結局、駅前6時集合だが5:38着の電車で新横浜に到着し、渡仏に必要な資料を印刷すべく会社に寄らざるを得なかった。渡仏前の緊張しかなく、ハイキングチームに欠員が居ようが居まいが何処吹く風の気持ちだった。幸い欠員もなくバスは新横浜駅前を出発した。ゴルフ組みと同じバスで添乗員が居ない。ハイキング組の送迎の時刻の確認のため、運転手さんと携帯電話番号の交換を行った程度で、バスガイドが居ないバス旅も偶には静かで良いと思う。今更バスガイドに薀蓄を聞くべき目的地行きでもないのだから。
天気予報が芳しくない中、東部富士五湖道路を走るバスの車窓にくっきり浮かぶ富士が印象的であった。今日はもうこれが拝めので後の旅はどうでも良くなった。バスは7年前や今年5月に通過して馴染みのある風景をその車窓から見せながら西へ進み、ゴルフ場へは予定より少々早目に到着した。ゴルファーを降ろして登山客4名を併せて合計5名乗車の大型バスは、更に精進湖を目指した。登山口付近及び下山口付近の双方共に夫々駐車場があるとの地図の表記であったが、登山口のそれは大型バスが入り込むには厳しい湖岸の未舗装地での模様である。しかし、下山口はバスが数台は駐車可能な程余裕があった。バスには一旦Uターンして貰って登山口まで送って貰った。
登山道と思しき道標はどれだろう、多分バスから遠方に見えていたあの看板が臭そうだ。近づくと、矢張り登山コースを示す地図であった。登山口から暫く車道が続くような登山地図の掲載振りであったが、ものの数分歩いただけで砂利道となった。蜘蛛の巣は相変わらず多い。金曜日に好き好んで我々より先に三方分山に登るような輩は当然皆無であり、必然的にアントニオが蜘蛛の巣破ラーとして腕を振り回しながら突き進んで行った。渡仏が心配で仕方なく、惰性で登っていた。チーム4人のうち残り2人は経験者、最後の1人は20歳台の健康的な若者故、女坂峠までの1時間のコースを四十数分でクリアすることができた。また、稜線に出てからもテンポは留まる所を知らず、登山口から1時間強で山頂に到着してしまった。富士山側が切り開けているが、今日は主峰は雲を被っていた。四尾連湖までの道も通じているようだ。四尾連湖、懐かしい。元々三方分山からの眺めは期待していなかったし、渡仏への不安で他の思考が停止しつつあった。良い汗を既に十分掻いていた。

精進山を過ぎて三方分山山頂より見晴らしの良い地点に到達した。だが、富士は雲の中である。そして、パノラマ台方面への分岐に達し、この雲の中、展望より早急なムギチャーゼ配合法案が満場一致で可決された。バスの運ちゃんはひょっとすると今頃昼寝タイムなのかも知れないが、予定より1時間半以上も早く下山できてしまいそうだと伝えようと電話連絡を試みた。一旦は不通であったが、数分後に折り返しで電話があり、既に今朝示した下山予定の駐車場で待っていてくれているとのことで非常にラッキーであった。昼過ぎのレストラン到着の予定が、昼前にと大幅に繰り上げられそうである。下山路にトリカブトを確認したのだが、余り珍しいとは思わないうちに地上に到達してしまった。
バスの冷蔵庫に缶ビールが冷えていたので、予行演習のため、已む無く1本空けた。バスはやがて金曜昼前でガラガラのふじやまビールに到着した。今年2月の遠征時には少し食べても3000円を超えてしまっていたが、今回は4人で割り勘となり、大幅なお買い得感に世は満足じゃった。ビールも結局3種共々ピッチャーを空ける程の量を飲めたことだし。
アントニオは勝手知ったる忍野の地、忍野と言うには桂川を隔てたもう少々東寄りを一般に指すが、数度歩いているこの地を地図なしで歩けないこともないと思っていたのだが、運ちゃん曰く、ゴルフ組みを迎えに鳴沢ゴルフクラブに寄るのが16時であるため存分時間的余裕があるからと、ホテルまで乗せていただくことにした。昼飯過ぎ程度の時刻に到着である。正規出発&ホテル直行組みに左程遅れずにホテルに到着してしまった按配だ。15時前から沸いている温泉に浸かったり、7年前には存在しなかった庭園にて、抹茶をいただき、甘酒を飲み、足湯も嗜んだりと、桂川のせせらぎに存分抱擁された時を過ごすことはできた。だが、全種目制覇なれども拭えぬ不安。レンタカーのミッションはマニュアルの可能性が高い、ローターリーからの脱出時に方向を間違えること暫しなどとの脅し文句も渡仏への緊張を増幅していた。宴も酣で少しずつ酒量が嵩み、その日の記憶は以降喪失の一途を辿った。不可避な運命だった。
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果たして今年のアントニオは自部屋で寝ることが出来たのか。それは何時間か。また記憶を封印したいなどと思っている間も無く異動前の残務遂行を営業チームに煽られ、旅行から戻った土曜日も会社に寄らざるを得なかった。明日からが不安だ。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・蜘蛛の巣は割りと多い。蚊が少なかったのが幸いだが。