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オセロの理論

不定期連載 山道をゆく 第181話
05/09/09
白鳥山(山梨百名山、庵選千名山358)
【オセロの理論】

9/9(金)
庵庵…鴨居〜新横浜=足柄SA=富士IC=本成寺…七面宮跡
…白鳥山…七面宮跡…本成寺=サンハトヤ

…:歩き、〜:電車、=:バス

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社員旅行の初日のアクティビティアンケートの触書に、希望者が35名を下回った場合は中止になるとあった。35名を越すハイキングなぞ、真っ平御免だ。旅行会社側が提示したコース案には城ヶ崎海岸が掲載されていた。3年前と同じである。其の案を変更出来る条件であれば幹事を引き受けることも吝かではないと旅行委員会には伝えた。アンケートの集計結果、自分も含め7人のパーティーとのことで、廃案になると期待していた。7名のために大型バス1台を確保する訳がなかろうと。然しながら、日常の山岳自衛官的活動が評価されたのか、幹事立候補者が存在する点が酌まれ、ハイキングコースの設定が認定され。7人なら適当だ。其の後、廃案となった他のプランの希望者の一部が流入したが、それでも総勢12人とのことで著しい人数膨張が避けられた。他の運動系アクティビティの会場利用料や上位入賞者への商品代に幾許かの予算割当てが認められるとのことで、早速適用プランを練ることにした。予算の源泉は4割が給与天引きの積み立ての一部、6割が健康保険組合からの補助によるものである。健保からのは結局加入者全員分が均等に支給されたようだが、初めの理由は「健康促進活動への補助」との名目だったようなので、ハイキンググループ員は十二分の其の支給享受に対して正当な有資格者であることが主張できた。然しながら、旅行委員会では「参加者全員へマグカップ」プランに難色を示した。「それは本当に山で使う物か?」とのイチャモンである。山で必要な道具とは、究極には存在しない。己の肉体のみあれば、其の気になれば山に登ることは出来るのだから。かと言って、山で競争をするのは山の神の逆鱗に触れるため、不可能である。山の神の逆鱗に触れることは、社長の逆鱗に触れることより恐ろしいのは山屋は常識である。故に順位をつけることは、アントニオが率いるパーティーである以上、在り得ない。成績優秀者にはiPodを渡すアクティビティもあるようだ。マグカップはそんな中での譲歩案だったのだが、iPodは可で何故マグカップが不可なのか、当然納得は出来なかった。更に譲歩して山に利用できそうな物を厳選しているうちに、事前に購入して予め配布するような時間もなくなった。旅行代理店担当者との最終協議の折に、物を揃える準備時間がもうないと訴えると、先方からは商品券はどうかとの妥協案が持ち出された。雨天時の代案温泉については風呂代と休憩室貸切料金については先程の予算からの充当が認められていたが、晴れればお金を使うチャンスもない中、全額金券による対応案は大逆転勝訴に値した。金券が有効ならば最初から言ってくれれば悩むことはなかったのだが、素晴らしい結果が何とか出て本望である。幹事として半ば十分な使命を果たせたと自負して止まない。
ところで、実際のコース案については、当初ラフティング組のバスに便乗の可能性から、富士川下りに倣って芝川町の白鳥山プランを温めていた。芝川町の役場に電話をして観光パンフレットを請求したり、ラフティングの事務所と登山口は近いがより有利に展開を運ぶため、登山口である本成寺に電話をして大型バスの駐車可能性についても確認を取るなど、旅行代理店がしてくれても良いことまで手を付けてはプランを補強していった。因みに本成寺と書いて「ホンジョウジ」と読むため、各種ホームページやガイドブックの殆どが本城寺と誤記されており、検索時のヒット数から判断して誤記側を正答と思いかねない可能性があるところに、インターネット社会の危険性を痛感した。以後の旅行人数調整により、バスとしてはハイキング組宛に独立して1台が配車されるとのことになった。早く言ってくれればもう少し事前情報の多い山も選択できたのだが、計画を練り直す時間は残されていなかった。確かに社員旅行程度の機会でないと白鳥山には登ることもなかろう。白鳥山、いいじゃないか。芝川町役場で電話に出て下さった方も親切そうだったし。
旅行委員会側からの「9/1入社社員間での親睦を深めるため」との建前の元、彼等は自動的にハイキンググループに加入させられてしまっていた。運動の苦手得意も判らない状態で、なおかつ一緒に何かを達成する感覚を味わうことにより交流を深める手段として、ハイキングに白羽の矢が立ったのは妥当かも知れない。旅行委員会側とすれば単にアントニオを信頼しているからきちんと面倒見てくれる筈、との読みがあったのかも知れない。だが、出発の3日前になって1名の造反者が現れてしまった。来る者拒まず、去る者追わず。本人の自由意志を尊重し、その人については他アクティビティへの移籍を認めた。氏は親睦と金券の両方を失うことになったのだろうか。良心の呵責が疼き、旅行委員会側に対し、1人だけ特別扱いは不公平なので、再度9/1入社の方にはアクティビティの希望調査を実施すべきとの進言をした。嬉しいことに、その調査の結果、更なる造反者を増やすことはなかった。山に対する姿勢、心掛けの不備な者は山の神に淘汰される運命であろうから、意思の堅い人だけを連れて行きたいのが本望であった。
ハイキングに必要なグッズリスト、山のマナー集、当日のスケジュールなどを記載した謹製旅のしおりなど、各種資料を作成配布し、天命を待つ。天気予報は悪くはない。社員旅行のハイキングは、一昨年前、昨年と雨で2連敗中である。3度目の正直は果たしてなるものか。
薄曇りの中、予定より10分程遅れて新横浜駅前を発つ。環状2号は下り線で特に滞りもなく、保土ヶ谷バイパスは想定範疇のゆっくり目のスピードでバスは横浜町田ICを目指した。料金所はETCで通過である。曇り空はあまり回復の様相を容易には見せてくれない。雨さえ降らなければ良い、多少展望が悪くても。足柄SAでトイレ休憩と弁当積み込みのために小休止した後、富士ICで高速と別れ、下道で芝川町を目指す。
金曜午前中として市街地も国道も想像以上の交通量ではあったが、予定より若干早めに本成寺へ到着した。とあるHPには駐車場が見付けられなかったとも書かれていたが、先日の本成寺の住職さんの話を総合すれば、バスでも駐車できるスペースがある筈である。この周辺事情は旅行会社側に一日の長が見え、駐車スペースは難なく探し当てられた。金曜午前中に駐車場に他に車はない。アントニオは寺のトイレの存否を調べかねていたが、此処も添乗員は調査済みの模様で、女子のは部屋が1つしかないので時間が掛かるんだけど、と実際に利用していないながらも回答を提供してくれた。弁当を配った時に愕然とした。弁当に汁気がありながら、ビニール袋の類が用意されていなかった。此処でも各隊員が面倒を見合って持ち袋を手配してくれたのが幸いであった。是が15人でなければ収集がつかなかったであろう。
準備万端、粗予定時刻通り本成寺を発つ。お墓の脇を抜け、少々きつい舗装路を登ると林道と交差し、指導標通り民家の脇と畑の間を抜けて山道らしい道に辿り着く。夏も明け暮れぬ時期の低山は暑さだけが敵と高を括っていたが、成る程、住人ならぬ住虫達の存在を忘れていた。蜘蛛も蚊も尋常でない。当然ながら平日の午前中に白鳥山を目指す霊長類第一号のアントニオは、剛毛と呼ぶに相応しき蜘蛛の巣に何度も絡まれてしまった。紡いで糸にすれば強靭な繊維に成り上がりそうである。其の気になれば芝川町名産品に名を連ねることも可能だろう。蚊の数も夥しく、ハイキング持参必須アイテムに虫除けや虫刺され薬を記載しなかったため、後々隊員達に恨まれることを心配しなければならなかった。
30分も歩かないうちに急階段の上に少々明るい七面宮跡に到着した。夏場で草木が生い茂っているためか、ガイドブック等の紹介文程展望は良くない。兎に角暑い。汗を拭き、蚊を叩き、汗を拭き拭き、蚊をぶっ叩く。低山と言えども刺激は大層多い。七面宮跡を抜けて再び雑木林の人となる。偶の低山も悪くは無いか。次第に後方集団の脱落が目に付くほど距離が開いてしまった。数度、小休止を繰り返しながら集団の別離を避けようとは努力したものの、山頂まで残り300mを示す指導票を発見後、ガイドブックの「山頂手前300mは急登」を思い出しながらも、山頂らしき日の光を感じるや否や、隊長の使命を忘れて山頂に惹き付けられたアントニオは一目散に駆け出してしまった。

富士山や南アルプスは何処にあるのか。ぼんやりとした空に日の光の明るさ以上にあまり遠望は利かなかった。然しながら、富士川に身延線が一望でき、此処で敵勢を見張るのは理に適っていると信玄の戦略を理解した。ぞろぞろと残りの隊員達も到着し、達成感に満面の笑みを浮かべる者も少なくはなかった。数人で担ぎ上げた麦茶等を嗜みながら昼飯タイムである。 入社直後のグループについては、社員旅行恒例の新人芸のリハーサルを此処で展開するか否かで議論となっていた。アントニオ期を思い起こせば、同期技術部6人のうち、やや小柄な1名を活きの良い獲れ立てマグロに見立て残りの5人で抱え上げながら、「前はう〜み〜、後ろ〜はハ〜ト〜ヤ〜のお大漁苑」のCMソングを歌ったことを思い出す。其の芸では最優秀賞に輝いて賞品としてビール券を受領し、花火大会観覧屋形船での飲み代の軍資として部門員の胃袋に貢献したのである。そして今宵、其の宴会劇場の終着駅、サンハトヤを門を潜ることになる。宴道のジャパニーズドリームは入社10年目にして成就を迎えた。感無量である。彼等も我々の宴会魂を引き継いで社宴史の一ページを華々しく飾ってくれることを願って止まない。
下山時は全員に断りを入れ、ゴミ拾いをしながら先に下ると伝えた。翌日には社員総出で伊東の海岸清掃大会が繰り広げられるのだが、其の企画には負けてはならないため、鉄挟みとゴミ袋を自ら持参して山を下った。基本的に登山者の絶対総数が少ないのが根本原因だろうが、マナーの良からぬハイカーはあまり此処に踏み入れていない模様で、登山口までに拾った物はゴミ袋2割にも満たなかった。ただ、下山中もゴミ拾いに勤しむ隙に蚊にまたやられ、二の腕には多くの刺され跡が残った。七面宮跡で後方に声を確認したことから他の隊員達も左程間を置かず下山して来れた模様である。当のアントニオは七面宮跡直下の苔むして湿った階段で2度転んで流血したのだが、皆は無事ので何よりであった。
アントニオの率いるチームである以上、山のルール、マナーを当然遵守できる必要があり、事前に掲示をさせて貰った。社風としてお客さんに挨拶するのは常識化しており、初対面の方に対しては「いらっしゃいませ」の言葉が適当である。山でハイカーに擦れ違った場合は「こんにちは」で良いだろう、「いらっしゃいませ」は悪くはないが相手が反応に困るだろうと記載したところ、9/1入社の方が「『いらっしゃいませ』言いたかったのだけど・・・」と不満の意を表していた。未だ残暑厳しき9月上旬に斯くも低い山に平日の時間を割いてまで赴く輩は皆無であった。
是で山梨百名山中最低峰の白鳥山と最高峰の富士山を制覇したのでオセロの理論により山梨百名山は満了と言える。明日からまた庵山梨百名山史第2章が始まるのだ。
低山とは言え、ハイキングの経験が或る者も適度な運動に夫々充実感を覚えながら、サンハトヤまでまたバスに揺られることになった。寸前まで温めていた参加賞を配る。「他のアクティビティの方々は、会場を借りてしまったり一部の人だけにiPodを差し上げたかったようだが、山で競走してはいけないので、敢えて全員に同額を支給するに至った」旨を伝達する。幾ら分入ってた?とみんなに問う。驚愕の声がバスに響き渡った。アントニオも幹事としての役割を成就した。
海底温泉の水槽を最前線で確認すると丸で「札幌の時計台」相当だったが、露天風呂は温めなのが幸いした。客室も角部屋で、部屋風呂は展望風呂で東京湾が何処までも青かった。さすがにサンハトヤ、650人を一同に集められる会場を持っていた。ステージあり、2階席もあり、大規模故の初物にも尽きず、楽しむことが出来た。
今回の社員旅行の最大の目標は、白鳥山登頂ではなく、自分に割り当てられた客室に戻って寝ることであった。昨年は酔い潰れて別の宿泊棟に迷い込んで自室を探し切れずゲームオーバーになり、気が付くと廊下の奥で寝転がっていたと言う失態である。自室に戻って寝ることの如何に難しいことか。今年もご他聞に漏れず、宴会部屋やトイレで気絶を繰り返していた。途中経過については橋本龍太郎氏同様、記憶に無かったものの、恐らく周辺の関係者に聴取したところに拠れば自室の布団にダイブしたのは午前4時を回っていた頃と言う。それでも悲願の目標達成である。「他室での気絶回数をゼロにする」では非常に高いハードルになるため、先ずは他室での気絶回数を減らすことを今後の課題としたい。
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翌日の胃具合は頗る芳しくなかった。朝風呂に納豆ご飯で蘇生を試みたが不発に終わる。海岸清掃大会では脱水症状も厳しくなり何時ものように大暴れすることが出来ないまま幕を閉じてしまった。土産物屋の土産は保存料も多くて値段も安くは無いため魅力を感じず、自由時間はソフトクリームを食べながらヨットハーバーを眺めていた。伊東からは専用列車で帰横である。波動輸送用の183系189系電車を予想して期待していたのだが、残念なことに痛勤用の215系であった。2ドアで乗降時間が長く掛かってしまってダイヤ屋としては厄介扱いされ、定期運用から大きく後退した車両だが、社員旅行利用に使うとは面を食らった。トイレが1編成中に3箇所しかないのは致命的である。伊東を発って暫く、海側車窓にはサンハトヤの従業員が総出で手を振ってくれていた。暫くの単線だが、臨時列車にありがちな異常な長い待ち時間、或いは遅過ぎる巡航速度は感じられなかった。後日の調査によると、小田原までは踊り子182号のスジを利用していることが判明した。小田原以降は、平塚、藤沢、大船、戸塚に停車し、大船では定期踊り子の待避をしたが、概ね高速運転で、横浜駅も7番線ホーム、即ち待避線側でなく本線側に停車して一気に650人を降ろすや否や、忽ち品川方面へ消えて行った。
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後日、予告通り翌日の伊豆新聞に海岸清掃が記事となって躍った。地方紙とはいえ、新聞紙1ページの4分の1程度を占める写真のデカさには驚いた。然しながら更に衝撃だったのは、海岸清掃の発案が旅行会社に拠るとの点である。其の様に新聞には記されていた。新聞記載も含めて全て旅行会社の「取り計らい」だったのか。清掃用の軍手はどう見ても通常品にも拘らず「使い捨て」と謳われて渡されたり、清掃イベントなど社の十八番なので此方側が発起人たるべきなのだが、腑に落ちないこと頻りであった。
また、風呂上りに背中を見ると発疹が発見された。死角で中々気付き難く、また、通常は痛みを感じないので発見が遅れた。押すと激痛が走った。蜂にでも刺されたのだろうか。白鳥山を制覇したのか、白鳥山の住虫に制覇されたのか。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・本成寺の駐車スペースは狭い。事前に本成寺に確認を。
・七面宮跡手前の石段は、一部段が斜めになっており、
苔むしているなど、特に雨上がり等は滑りやすくなるため、
迂回路(そのまま山道直進)がお勧め。
・この季節、蚊が多い。