飛来

不定期連載 山道をゆく 第230話
チョー不定期連載 グルメ街道をゆく 話数知らず
不定期連載 麦道をゆく 第25話
鳥甲山(日本二百名山、信州百名山、庵選千名山501)
囲炉裏じねん
小白沢ヒュッテ(シメイ白、ローデン、グース)
【飛来】

9/18(土)
庵庵−

9/19(日)
−ESSO白山−県道109号線−宮の下−県道45号線(中原街道)−都岡の手前
−裏道−川井浄水場入口−R16−八王子バイパス−八王子IC−中央道
−八王子JCT−圏央道−鶴ヶ島JCT−関越道−寄居PA−土樽PA−湯沢IC
−R17(三国街道)−出光−石打観光口−R353−山崎−R117−大割野
−R405−小赤沢−和山登山口…万仏岩…白ー…カミソリの刃…白砂分岐
…鳥甲山…赤ー…屋敷登山口…和山登山口−前倉−R405−大割野−R117
−北原−R252−堀之内庁舎前−R17−井口新田−R352(樹海ライン)
−囲炉裏じねん−奥只見シルバーライン−銀山平−R352−小白沢ヒュッテ

9/20(月・敬老の日)
ヒュッテ−R352−シルバーライン−井口新田−R17−出光−小出IC
−赤城高原SA−八王子IC−R16−八王子バイパス−ESSO西谷−庵庵

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秋、否、秋以外でも良いのだが、ヒュッテの季節がやって来たと感じている。10月になるとサンデードライバーが蔓延りR352の運転も厄介になる。連休だ。9月のうちに来訪しようか。天気予報と睨めっこを続けながら、鳥甲は行けるのではないかと思いながら、宿泊寸前に予約を決めた。我ながら反則かと思いながら、であったのだが。車で行くなら当然晴れた山に登りたい。時間と金の有効利用だ。天が味方することを祈りたい。
出発当日は満を持して18時頃までに入浴と夕食を済ませて床に就いた。そして、目覚ましにて23時頃に起床した。夜のうちに起床と言うのも変だが。休部号の各タイヤの減り具合が気に係り、先ずは最寄のESSOに赴いて空気圧チェックを行った。気圧が著しく不足しているタイヤはなかったが、思い立ったが点検吉日であろう。この時間帯での渋滞は想像できなかったが、ルート選択としても満を持して裏道経由でR16へ合流した。R16は深夜の無法運転を警戒してか、赤信号に捕まる回数は多かったと思う。そして、失政と言うか、失策と言うか、その恩恵に預かるため、もう入間ICまで下道を滑走することはないだろう。八王子ICから中央道を西走し、八王子ジャンクションから圏央道へと針路を変えた。圏央道はやがて南進して厚木まで伸びるのだろうか。その際は、中央道または関越道方面へ向かうには東名横浜町田インターからの高速走行になるのだろうか。兎に角、東名町田インターから八王子インター間のR16について、有料でも構わないから高速道の開通を期待して止まないのはアントニオだけではないであろう。寄居PA、土樽PAと、なるべく小さめのパーキングに寄った。駐車場からトイレまで歩く距離の短かかろう駐車スペースを選んで時間を節約するためである。湯沢インターにて関越道と離れた。
2年前の佐武流行脚時の記録から24時間営業のガソリンスタンドを発見し、R353の人となった。追っ手と思しき車が1台眩しいライトを浴びせて来たので少しハッスル運転をしたところ、何時の間にか後方に確認することができなくなった。こんなところで無駄な精神力は費やしたくない。相手が本当の走り屋ならば潔く道を譲る積もりだったのだが。山崎で左折してR117を進み、大割野で再度左折してR405へと入った。
一昨年前とほぼ変わらない道幅だったことだろう。程なくしてセンターラインが消え、か細い道が続いた。進むにつれ、路上に屯していた狢の群れを追い立ててしまった。狢を撥ねることはなかったのだが、何か空中から飛来したものがフロントガラス上部にぶつかった。有音である。木の葉程度の重さではない。丑満時である。飛来して車を避けられなかったものとは?ここで車を止めて、飛来物の実体を確認していたら、登山はできなかったことであろう、、、目的地の和山登山口へは、R405をそのまま南進ではなく、前倉地区から中津川対岸を走る裏道へ逸れるのが一番の近道と調査していたのだが、ナビなき休部号ではついにその交差点を発見できぬまま通り過ぎてしまっていた。
気を取り直して南下する。R405は長野県に入りそこそこの道幅となった。但し、切明付近で通行止めがあるようで、それが奏功して迂回路として登山口へ導いてくれたのである。最初に確認した登山口は屋敷側のもので、駐車スペースがなかったため、ここではないと判断ができ、その道をそのまま南下することにした。切明への交差点で逡巡の末、奥志賀方面へと進むと、あった、それらしき駐車スペースが。ものの本では20台程度のスペースとあったが6台で一杯であろう。そう、半分以上が工事用資材の置き場と化していたためであった。先客の1ボックスカーが1台、しかも車脇にテントを張っている。時にして4時半を過ぎており、少々薄暗い程度の様相であった。テントで待機イコール、熊の活動時間帯を意図的に避けているのだろうかと少々勘繰ってはいたが、空がやや明るみを増し、留まるのは勿体無いと感じ、5:00に和山登山口を発った。

何処にでもある登りである。取り立てて難しいとは思えないが、2箇所難所を控えているようなので、モノの本に依っては上級者コースと謳われているのだ。自分は上級者か?道具が必要なルートは素人だろうが、体力だけは一人前と自負している。静かな山である。天気も悪くない。フィットンチッドを浴びながら和山を歩く。気持ち良い。先週の鳴虫山で堪能してしまったメンバーには申し訳ないが、今日はアントニオも堪能できるのではないか、淡い期待を抱えながら進んでいた。奥志賀の山々に苗場や佐武流も美しい。
残念ながら、登るに連れてガスが立ち込めてきてしまった。万仏岩の梯子場も周囲がガスで危険さを感じることはなかった。あの鬱蒼さはもしや山頂?と期待過剰に通過した白ーだが、その先は泥濘も多く、少々意欲も減退してきてしまった。 もう1箇所危険と謳われていた剃刀の刃についても、刃も少々丸まっているように見えたし、切り立っているのだろうが、谷底方面はガスが封をしてくれており、こちらも恐怖感に怯えることなく通過できてしまったのが不幸中の幸いなのかも知れない。

白砂分岐から十数分で山頂に到達した。8:02だった。巷の紀行文ページでは5時間超の記載が多い中、アントニオにとっては普通の山であった。シラビソの風情に、ガスの中なれども感嘆の念を抱き、味わい深い山を堪能していた。ガスでもいいではないか。山頂を独占し、感慨に耽っているうちに、太陽がこちらに気付いたのか、雲が切れ始めたのである。嗚呼、有難い。素晴らしい。佐武流と西ノ岩菅の輪郭がはっきりしてきた。おお、鳥甲、鳥甲。難路コースとの指摘故に山頂までは誰1人とも擦れ違わず、とても有意義な山であった。




下山路の前方には佐武流、苗場、白砂などがくっきりと広がっていた。稜線の見晴らしに息を飲む思いだったが、その念も長くは続かなかった。ガイドブックの後半に1行未満の描写で終わる、「急坂の連続」が待ち構えていた。何処までも金太郎飴のように続く下り坂。勘弁してくれと懇願しても誰も聞く耳を持たなかった。これでは、大量の筋肉細胞壊死は免れないだろう。コースタイムを逆に気にする余裕もなく、下りに下り、下りに下った。もうこれ以上、下れない、時の風が強過ぎて、、、X Japanが脳裏でリフレインを続けていた頃、大きな堤防のようなものが見えた。この地の堤防としては、雪崩防止のためだろう。四駆車なら辛うじて通過できそうなジャリジャリとした林道に到達した。林道も長かった。


屋敷登山口に降り立ったのは、10:51である。ここから舗装路を1時間程度は歩かねばならない。交通量はそこそこあるので、その気になればヒッチハイクも可能だろう。ただ、ブーツが泥濘で汚れ過ぎており、そんなアントニオを乗せてくれようなど、酔狂でもやらないだろう。未だ日差しは夏の装いである。土砂が溜まって水流が失われた側溝には、おたまじゃくしが大量に泳いでいた。水は頗る綺麗である。おたまじゃくし、万歳。
車のメーターでは5km程度であったか、和山の駐車場に到着したのは11:50であった。車が4台増えていた。こちら側からチャレンジする者も増えたか。あの程度の難易度であれば、そのまま下りに利用してもさほど困難はなかったのではないかと思う。 /tr>
歩いてきた道を車で戻る。そのままその林道と言うか、村道と言うのか、 R405の中津川を挟んだ対岸のルートを北上した。 やがてこちらも幅が細くなった。新潟県に戻ったからだろうか。 運転し難い、これならR405でもよかろう、と、明るくなって標識が 確認でき、往路で予定していた前倉地区にて再びR405に戻った。
そして、R405で未明に飛来してたのは、、、絶句、、、スピードは控え目にしなければ、、、
R405では控え目にとは思っていた。大割野からR117に戻ると、交通量も多い上に、法定速度厳守車も目立つ。確かに法定は法定だが、明らかに渋滞になっている。難しいものである。渋滞は環境によくない。ノンビリ車両も多く、前回以上に長く感じたR117区間であった。北原からR252に逸れて、少々快調に飛ばした。
井口新田からのR352の方は、一昨年前や昨年の10月期に比べて交通量も少なかった。小腹は空いている。今を逃すと明日昼か来年に持ち越しとなってしまうだろう。蕎麦1杯くらいで良いから、ヒュッテに急ぎたい念を抑えてじねんの暖簾を潜ることにした。一年に一度しか来られない、ヒュッテに寄る時には毎回来てるが、、、の文言をおばさんに伝えた。山菜入り漬け汁蕎麦を頼んだだけだが、山菜サラダがまず1皿追加、メインの蕎麦の周りに小皿2つ追加、 更には柿を凍らせたシャーベットが追加、じねん風口直しに味噌生姜を塗った焼きおにぎりまでいただいてしまった!極めつけはヒュッテの皆様で味見を、と朴葉焼きまでいただいてしまった!!!年に一度を一期一会と言ってよいべきか。午後2時を過ぎ、店内にはアントニオしか居なかった。じねんの出すもの、皆好きだ。じねんは山食の殿堂である。じねん、また来たい。年に一度の一期一会は宝物である。
シルバーラインに銀山平からの奥只見湖畔道についても、鈍いドライバーとの接触事故を回避するために、危ない車が見えたら先ずは停止してうっちゃる、を繰り返していたものの、通年銀山平から鷹ノ巣まで1時間費やしていた経路を、今回は五十分台に抑えて通行することができた。単に著しく迷惑な対向車が少なかっただけからかも知れぬ。9月の連休とは言え、紅葉シーズンを先に控えたヒュッテでの滞在は、自然の音以外に惑わされることはなかった。
風呂に入り、来週の業務のための宿題プリントを眺めながらビールを1杯、しかし晩飯の宴は間断なく続き、先ほどの朴葉焼きも、ベルギー修道院の各秘密の琥珀液体を喉越しに満了しながら、アントニオの胃の安寧を醸成して止まなかった。
翌日、雨の音で目が覚めた。猛暑による発電需要のため、奥只見湖の水位は例年と比較して著しく下がっていた暁に、焼け石に水くらいでしかなかったかも知れぬ。ただ、焼け石のみよりはまともであろう。水の恵みが元に戻ることを祈って止まない。そして、また、世捨て人も良い。世捨て人は美味しい。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・道中トイレなし。
・屋敷側の急斜面はどう使うか迷い給え。