不定期連載 陸道をゆく 話数知らず 05/11/04~ 南信州ビール、麗人酒造 第一回 本坊酒造杯争奪 駒ヶ根高原勝手マラソン 麗人酒造杯争奪 諏訪湖勝手マラソン グルメ街道を行く 南信州ビール 味わい工房(地ビール) 【給水の進捗確認】 12/28(水) 庵庵…鴨居〜八王子〜高尾〜上諏訪〜大田切 …本坊酒造…こまゆき荘…味わい工房…駒ヶ根ファーム =駒ヶ根駅〜岡谷〜上諏訪…麗人酒造…タワーマンション大手 …丸光デパート…マンション…ばんや…マンション 12/29(木) マンション…上諏訪〜岡谷…諏訪湖南岸…マンション…上諏訪 〜岡谷〜甲府〜高尾〜八王子〜鴨居…庵庵 …:歩き/走り、=:バス、〜:電車 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 厳冬、厳冬と言えども、太平洋側は雪に塗れては いないのではないかとの憶測に基づき、諏訪湖周 辺の宿と駒ヶ根疾走を目論んでいた。前回木曽駒 下山後のこまくさの湯でも1杯嗜んだ筈だ。駒ヶ 根高原の道は大丈夫だろうか。バス通りくらいは 除雪されているだろうと高を括り、年末通常業務 を終えた。 嘗て大月方面の山々を攻める時に頻繁に利用した 筋である。取り立てて気負いもなく、松本行きの 電車に乗る。甲府盆地も晴れやかである。八ヶ岳 は余り冠雪していないように見えるが、甲斐駒の 三角錐は魔白に輝いている。上諏訪駅では反対側 ホームに停車中の湘南色JR東海所有の115系電車 に乗り換える。岡谷を過ぎ、駅間距離の短い長閑 な飯田線を南下する。沿線に雪は左程確認されて はいない。駒ヶ根も大丈夫ではないかと少しずつ 確信を強くした。私鉄から国鉄が買収した路線な ので、首都圏の私鉄並に駅の数が多い。「いま、 会いにゆきます」を読み耽っているうちに伊那市 を過ぎ、大田切の駅に到着した。下車する者は自 分以外には存在しない。快晴に近い好天である。 駒ヶ根の大地は走るために存在した。大田切川を 北側へ渡り、一旦駒ヶ根市から宮田村へ入る。飯 田線のガードを潜ると木曽駒、宝剣岳が我が視界 を埋めた。後ろを振り向けば、北岳、塩見など、 南アルプスの秀麗耽美に息を飲まざるを得なかっ た。前に中ア、後ろに南ア。駒ヶ根の高原は山屋 が走るために存在した。快走あるのみ、との思い を徐々に阻みつつある沿道の積雪。何とか雪厚の 薄い箇所やアスファルトの見える箇所を選んで歩 を進める。必然的にペースは落ちてしまう。交通 量が少ないのが幸いだ。中央道のガードを潜ると 愈々道路の積雪も厚みを増した。 大田切駅から約1時間、本坊酒造に到着。見学者、 売店の客も見つけることは出来ない。旅の始まり に四合瓶を担ぐのも億劫だ。客が揃えば試飲の余 地もあったのだろうが、止むを得まい。地ビール レストランの営業の有無を確認し、一度酒造を辞 去した。給水より汗を流すのが先決である。給水 に急げば風邪を抉らせるだけであろう。先程こま くさの湯に電話をしたら程無く係りが電話口に出 たのだが、水曜定休が覆ることはなく、已む無く こまゆき荘に直進した。浴槽は展望の内湯のみだ が、店内の綺麗な印象が、展望外の南アルプスの 山並みの美しさに微塵も損傷を与えてはいなかっ た。仙丈甲斐駒北間塩見赤石聖少し離れて光も見 えている。展望風呂の向こうに白銀山脈が躍る。 山家には十分な目の保養であった。 この温泉併設の食堂のメニューにも例の地ビール は掲載されてはいるが、瓶であったり、マージン が入っているのを恐れ、丁重に辞去し、味わい工 房に歩を向けた。積雪、しかも一旦戻るには下り 坂を避けられず、ジョギングシューズで慎重に下っ た。大田切川に架かるこまくさ橋。そして聳える 雄姿。Clear Blue Sky。冬の絵のひとコマに立ち 尽くしたい気持ちを、麦欲が圧倒し、一刻も早く ムギチャーゼを配合したく、味わい工房探しに躍 起になった。あった。1Fの案内所で駅までのバス について問い合わせてみたところ、時刻表に掲載 されていない地域バスこまちゃん号なるものが運 転されているようで、1日たったの3本ながらも其 のうちの1本に時間が合いそうな予感だ。然も時 刻表掲載のバスに比べて運賃は半額だ。聞いては みるものだ。バスの時刻を把握し、満を持して2F に昇る。行き成りバー。平日の昼間に誰も居なかっ た。レストラン側に回る。メニューにはランチの 割安物は発見出来なかったが取り急ぎ信州味噌ピ ザに季節限定クリスマスエールを所望した。味噌 ピザは甘い赤味噌仕立てである。駒ヶ根と言えば ソースカツ丼も有名だが、この味噌は愛知県の味 噌カツ向け味噌のような風味であった。少々甘め のピザに若干の違和感を覚えることはクリスマス エールを一口するや否や忘れた。賞味期限をもう 3日も経過してしまったような名前のビールだが、 通常のエールよりアルコール度数がやや高い贈り 物だった。其の後、スタウトとアンバーエールも 一杯ずつ所望し、我が麦意を得た。 表に出て駒ヶ根ファームバス停迄歩くのに1分と 掛からなかった。やがてマイクロバスが到着。マ イクロバスにて大型バスが入れないような路地を 色々と回っているが、年末で人が居ないのか、バ ス客はアントニオの他には2名しかおらず、2人と も途中で下車してしまい、駅まで乗ったのは本来 このコミュニティバスには呼ばれざる客のアント ニオただ一人であった。岡谷行き電車の時刻まで 駅前通りを散策し、運良く書店を見つけて新撰組 物と某映画のシナリオ本を購入するなどして時間 を潰した。何時の間に2両編成の岡谷行きはホー ムで待っていた。岡谷で上諏訪行きに乗換え、終 点にて東口側に降りて、酒造街を歩く。一応酒造 は並んではいたが、客寄せが派手なところは見当 たらなかった。目的の酒造も表にこそ幾種もの酒 が販売されているかの趣だが、屋内に入るとどう も倉庫のような按配で、この地に踏み入るべきは 居酒屋や量販店の人間くらいだろうと意気消沈し た。恐る恐る小売をしているかと尋ねると、問題 ないとのことである。良かった。ピルスナー、エー ル、スタウトの3種各1瓶を携えてタワーマンション に向かう。上諏訪地区に12階建ての建物は少なく、 9階の部屋に入る寸前で北風の吹き込む廊下に閉 口せざるを得なかった。荷物を置き、朝、豊橋行 きへの乗換え時間の間に観光案内所で入手した地 図を頼りに、今晩の飯処の目星をつけようと散策 に出向く。マンションから徒歩2,3分の圏内に適 当な店が2軒程見つかった。序に明日朝食用のパン を物色しようと焼き立てパン屋を探すも見当たら ない。西口側にはコンビニさえ見つからない。一 旦マンションに戻って風呂に入ってから作戦練り 直しだ。最上階12階には小さいながらも温泉があ る。12階の建物も少ないから展望も著しかった。 諏訪湖の東側が一望でき、此処からの夜景も悪く はない。うむ。取り急ぎ、風呂上りの地ビールを 一杯やる。むむむ。美味い。出来るな、麗人酒造。 そうか、デパ地下あたりはひょっとすると脈があ るかも知れないと閃き、再び外出、東口に回って 丸光デパートを歩き回った。あったあった。余り に香ばしいため晩飯代わりに食べたい物も幾つか あったが、カロリー摂取過剰を懸念して当初の予 定通り翌朝分のみを購入してマンションに戻った。 パンを置いてボーっとしているうちに晩飯タイム になり、先ずは先程目をつけていたうちの近い方 の居酒屋ばんやに寄る。マンションのパンフレッ トにも地酒も豊富との触れ込みがあったため、密 かに此方の優先順位を上げていたのだが、正解だっ た。諏訪に並ぶ酒蔵物もあった。お摘みに野菜は 欠かせない、ばんやサラダの普通サイズを注文す ると、店員からかなりデカい皿に盛られてくるの だが、との脅しがあったが、俺を誰様だと思って るのか。注文聞きのお姉ちゃんのみならず、カウン ター内の厨房で調理している方からも再び脅しが あったが、躊躇は微塵もなかった。出てきた。ト マト、レタス、スイートコーン、アスパラガス、 キュウリ、シーチキン、茹で卵が巨大ボールに埋 められていた。サラダ好きな者向けとしても3食 分程度はあるだろうか。食い続けて数十分、食い 飽きさえ覚えたが、食べ残しは食の神の逆鱗に触 れ、今後美味しい食べ物にあり付けなくなる可能 性があるため、コーン一粒残らず平らげた。こん なサラダが偶には欲しい。ただ、本日摂取したア ルコールの総量も嵩んでしまいそろそろゲームオー バーを迎えたため、地酒2杯の後は梅酒を飲んで お開きとした。翌日のプランは如何にすべきか。 12階の温泉の有効活用を念頭に置き、下り列車の 時刻を調べて、寝た。 6時前に起床し、18きっぷの他必要最低限の物だ けを持ち、外出をする。上諏訪発下り2番列車に 乗って岡谷で下車し、号砲である。然し、12月29 日午前6時半に、岡谷駅で号砲を鳴らしてしまっ たのは迂闊だったかと思う。諏訪湖西岸の道路も 積雪は交通に全く支障はない程ではあったが、路 面凍結は尋常ではなく、気温は間違いなく氷点下 を彷徨い、走りながら耳が何時凍傷になってもお かしくはないと感じた。長野県の湖岸、日の出直 前など様々なファクターによって低音なのは一目 瞭然だった。然しながら、「走って温泉寄って、 温泉後はすぐに電車かバスに乗れる」プランを色々 と中央線沿線で考えた結果、西岸ランニング後再 び12階温泉の後に帰るのが時間と金銭の量効率を 最大にするとの結論に達したのである。凍結路で スリップするのは何とか免れそうだが、しばれる。 帽子、バンダナ類を忘れたため、耳が痛い。むむ。 しばれまんな〜 マンションに戻ってお風呂セット持参して12階へ 急行する。風呂場では暫くは手が悴んでしまって 思うように動かない。むむ、然し目の前は穂高連 峰ではなかろうか。今日も好天だ。このマンション 風呂、侮れない。風呂上りに昨日購入したパンを 契りながら、3本のうち1本を飲む。パン酵母とビー ル酵母が体内で化学反応を起こす。是で今日も健 康だ。飲食後、荷物を整理し、マンションを辞去 する。8時過ぎの電車を逃すと次の各駅停車甲府 方面は9時半までない。出来れば座席を確保した く、18きっぷ特権で一旦また岡谷まで行き、其処 で折り返し甲府行きに乗車の目論見だ。この上諏 訪から岡山で乗車したのは、昨日高尾から乗った 列車である。時代は回る。そして上り甲府行きは たったの3両に苦しむも何とか座席を確保し、新 撰組を読み耽った。甲府2分乗換えの高尾行きも 大月まで3両との虐待振りだったが、是も何とか 座席を確保し、新撰組読書を難なく続けることが できた。そろそろ帰庵、年末営業期間に解決出来 なかった問題について、メーカーから満足の行く 回答がそろそろ届いているだろうか。届いてなく とも何かしらしなければならないだろう。昨日満 たされた麦意が一気に霧消した。 (完) ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 付録: 陸旅アドバイス ・本坊酒造売店にも有料試飲コーナーあり。 ・こまくさの湯は水曜定休。 ・味わい工房は木曜定休。 ・上諏訪北口から線路沿いにある居酒屋で 麗人酒造の地ビールが飲める。