不定期連載 陸道をゆく 話数知らず 06/02/11 箱根地ビール蔵 箱根駅伝3区4区 グルメ街道を行く 箱根地ビール蔵(地ビール、魚加工品) 【旧小田原中継所】 2/11(土) 庵庵…西谷駅〜大和〜善行…教育センター前…R467…白旗…南仲通り …県道30号戸塚茅ヶ崎線…浜須賀…サイクリングロード…柳島…R134 …大磯東IC…県道610号…大磯駅入口…大磯駅…大磯駅入口…R1…二宮駅 〜小田原駅…早川口…R1…風祭…小田原温泉八里…箱根地ビール蔵 …鈴廣風祭店…風祭駅〜海老名〜二俣川〜西谷駅…庵庵 …:歩き/走り、〜:電車 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ マラソン地ビール症候群に罹っていた。今回は風 祭へ行こうか。既に5区は6年前に風祭スタートで 走り抜けたから、今回は旧小田原中継所を目指せ ば良い。振り返れば距離算出が甘かったのだが、 電車賃と適度な走行距離を鑑み、善行から3区に 合流して4区の旧中継所を目指す算段だった。 今日もマラソン地ビールレストラン日和である。 実家に住んでいた頃は月に数回は藤沢町田線界隈 を行脚をしていたため地理感覚は未だ健在であっ た。戸塚茅ヶ崎線への曲がり角を1度間違えたく らいで、後のルート選択はスムーズではあった。 善行から走り始めて45分程経過し、路上の方向指 示看板を見て愕然とした。善行から小田原まで三 十数km程度と見込んでいたのだが、その善行から 45分の地点から小田原まで31kmとのことであった。 小田原から風祭までの距離を加算すれば、善行か ら旧小田原中継所までは40kmを越えてしまう、、、 明日はネパールダンスの練習日である。今回はクッ タマ・ニルパレ・パルラクラスの過激な種目はな いと見込んでいるのだが、40kmの後遺症で踊りど ころではなさそうである。若干の怯みと共に腸子 が悪化して行く。海岸へ辿り着ければきっと公園 なりに厠が存在するだろうと、ペースを抑えなが らR134に向かって行った。浜須賀では国道を跨い で海岸沿いのサイクリングロードに入ると、周辺 地図看板内にトイレが記してあった。助かった。 息を吹き返し、再び西へ急ぐ。目の前に箱根の山 並み、そして、少々北側に目を向ければ富士であ る。箱根駅伝らしくなってきたぞ。相模川を越え たあたりで脱水気味になったものの、平塚市に入っ てからは国道沿いにコンビニも自動販売機も見当 たらない状態が続いて弱った。今回は荷量を抑え るべく一切水分を持参しておらず、脱麦以前の脱 水症状であった。 漸く花水川橋手前のレストランに自販機を見付け て清涼飲料水補給で回復、西へ急ぐ。最も本番の 駅伝でもコース外だが、西湘バイパス走行は危険 なため、大磯東ICにて相模湾ともお別れし、大磯 駅方面へ歩を向けた。腸子を鑑みて一旦大磯駅に 寄ってから国道1号線に戻る。鴫立庵や松並木な ど、原宿や権太坂とはまた大幅に趣の異なる落ち 着いた国道1号線であった。往年の飛脚の足は、 温泉セットと若干の食料しか抱えていないアント ニオよりも速かったと聞く。舗装路ではあるが、 街道走りにまた箱根駅伝の1コマを味わうことが 出来た。 腸子はそこそこだったが膝具合に若干の翳りが感 じられた頃、二宮駅が見えた。スピードも落ちて きた。i-modeでピピッと時刻検索すると、すぐの 電車で小田原に向かってそこから再び2本足で走っ て温泉を済ませれば、レストランの開店時刻に丁 度良い塩梅だ。矢張り我が膝は麦意には勝てなかっ た。旅に病んで麦は枯野を駆け巡る。電光石火の 如く改札をSuicaで切り抜け、1番線ホームに滑り 込んだ湘南新宿ライン電車に飛び乗り、小田原か らの再戦に向けて脚を休めることにした。 うむ、矢張り距離の読み間違えだったか。今日で 箱根3区後半から4区を貫徹できないのが残念では あったが、今となっては麦意に勝る怨念はなかっ た。すっかり市の代表駅らしい表情となった小田 原橋上駅舎東口から、またジャージマンが旅立っ た。線路沿いをちょろちょろと進むと、古いロー ドマップには掲載されていないトンネルルートが 早川口へと誘っていた。是で要らぬ遠回りを避け ることができた。残り2km程度であろう。東海道 線、箱根登山鉄道と新幹線のガードを潜り、再び 登山鉄道の線路を潜ると左手には早川が流れてい た。箱根湯本も近い。麦よ、待っていろ。我が麦 よ。 極めて涼しげな顔を装いながら一旦地ビール蔵前 を通り過ぎ、小田原八里の看板を見付けて停止し た。二宮・小田原間をケチったとは言え、是でも 都合26km程度は走った計算だ。風呂だ風呂だ。看 板さえなければ民家と見紛う温泉には、地元客し か見当たらなかった。当然コインロッカーや露天 風呂なんぞ存在しない。弱アルカリ性の温泉は掛 け流しである。浴槽も4,5人で満席状態になって しまう程の大きさだが、車のある者は他を探せば 良い。癒える、癒えるなぁ。 番台のおばちゃんには、アントニオの表情は腑抜 けで麦意丸出しに映ったことであろう。何時もの 下山後の温泉行脚であれば、温泉館内の麦茶サー ビスの有無を事細かにチェックしているところだ が、今日は鈴廣の売店を越えれば何一つ不自由も ないのだ。入湯料を払い、温まる良い湯に礼を言 いながら、猪突麦進した。温泉と売店の間にも、 恐らく鈴廣の資本が注入されていると思しき和食 亭が確認されたが、此処で油を売るために湘南海 岸を快走したのではない。給水だ、給水だ。 飲み放題注文時にクーポンを渡すと、割引にはな らないが記念品が贈呈されるとのことである。遺 憾ながら、特別メニュー「味わい豊穣」の銘柄は 飲み放題の選択肢から除外されているという痛恨 である。暫く逡巡の後、飲み放題を諦め、味わい 豊穣を単品注文した。後程気がついたが、ジョッ キを所望した積もりが店員はグラスを寄越して来 ていたのだった。飲み過ぎるな、との店側の配慮 だろうか。アントニオのアセトアルデヒド分解能 の威力を見知っていないからであろう。マグロの スペアリブカレーも美味である。カレーのルー自 体には取り立てて目を見張るものを感じなかった が、骨付きマグロはカレーに良く似合った。グラ スを空けてから注文した季節ビール、風祭スタウ トも、黒ビールなのにほんのりとした甘みが喉に 染み入った。季節の竹輪は蓬入り、焼き立ての香 ばしさがさすがに鈴廣、侮れなかった。 あの竹輪を忘れられずに隣の土産売り場に赴くも、 蓬竹輪のみの販売はなく、残念であった。風祭駅 前の地場野菜露店では蜜柑が激安だったが、庵庵 にはバナナも蜜柑も在庫を抱えていたため断念し、 白菜漬けのみを購入した。 箱根登山鉄道は小田原から箱根湯本まではパスネッ トが利用できるとのことだが、風祭駅には自動改 札機は見当たらなかった。駅員に問えば、カード を駅事務員室内の清算機に突っ込んで対応してい た。ホームの有効長の都合で一番後ろの車両しか ドア扱いをしていない急行新宿行きは既に上り列 車番線にて、対向のロマンスカーを待っていた。 昼過ぎの電車で箱根を背にしてしまうのは勿体無 いようだが、起床してから既に8時間を過ぎ、何 時しか意識はまどろみの彼方に消えて行った。 (完) ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 付録: 陸旅アドバイス ・小田原温泉八里営業は10時から。 ・箱根地ビール蔵営業は11時から。