不定期連載 山道をゆく 第172話 05/04/16 王岳(山梨百名山、庵選千名山323) 【開幕戦】 4/16(土) 庵庵−横浜町田IC−海老名SA−鮎沢PA−御殿場IC−R138 −須走IC−富士吉田IC−県道710号−県道21号−薬明大神…鍵掛峠 …王岳…森のがっこう脇…薬明大神−県道21号−県道710号−R138 −県道729号−R413−道志の湯−県道511号−R129−厚木IC−海老名SA −横浜町田IC−本村IC−R16−西谷のESSO−日産プリンスディラー −庵庵 −:車、…:歩き・走り ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 昨年末から奇行文が途絶えて久しい。アントニオ 死亡説が流布される最中、本人は虎視眈々と奇行 文業界復帰を狙っていた。昨年末から山に足を踏 み入れていない訳ではないことは既に陸道で述べ た。陸上戦は辛くも微負に終わったため引退宣言 も出来ず、マラソン明けの週末は泥酔爆眠などで 失い、4月の24時間ヘルプデスク勤務シフトを迎 えてしまった。良く晴れた週末にNotePCを抱えて 下界を散歩しながら、山への憧憬を募らせていた。 待った暁の電話が天使の声ならば良いのだが、待 たねばならないのは必ず悲報でしかない。4/1か らはATMを見る度に心拍数が上昇し、寿命が3秒ず つ縮まっていくような気がしてならない。何か、 分身のような気がして止まない。アントニオが水 際に弱いように、彼とて万能ではないのだ。どう か皆さん、彼に不要な負荷を与えないで下さい。 今や箪笥預金の時代なのですから。待機状態が続 く中、また虫歯を作ってしまったのかと思いきや、 酷い口内炎であった。神経質になって胃までやら れてしまっていたのか。早くこの境遇から脱出し なければ。今度の土曜日こそは誰をもアントニオ を制止することはできまい。制止しようものなら 宇宙の果てまで運び去られる運命にあろう。あの 王道へ、行こうではないか。 何日振りの3時台起床だろうか。半年以上か。コン ビニで食料を調達し、満を持して裏道を駆使して 町田インター寸前まで歩み寄り、一気にETCレーン へ向けて加速した。あ゛、、、 ランプが付いた。 ABSランプ?蛭子さんランプ???こ、こ、これは、、、 不安が募り、早速海老名SAにピットインし車のマ ニュアルを確認する。落ち着け。壊れたのか。逃 げ道はないものか。執念で待ったこの山行きを阻 むとは、、、是は間違いなく修理未遂だろう、、、 この、この、この俺様を山行きから阻もうとしや がって、、、マニュアルの解説によると、警告ラン プが点灯すると蛭子さんは機能しないが通常のブ レーキは動作するとのことである。スピード控え めで安全運転だ。この警告ランプは速度超過への 戒めなのだろう。山はしっかり行かせて貰い、鴨 居に戻ったら即ディーラーに殴り込みだ。 やがて東名高速も山間部に差し掛かる。どんより 曇り空。天気予報に反して霞んでしまい、あの雄 姿が拝めないではないか。御殿場地方は生憎のガ ス模様だが、三国峠の向こうに今日も魔白な富士 が待っていよう。R138に入り、思わず前の車が煩 わしいので通行料金額も知らぬまま東部富士五湖 道路に進入してしまった。きっとボラレるのだろ う。東名高速では、今日はスピード控えめにと誓っ たのではなかったか。出費は嵩んだがお陰でエイ ヤッと忽ち河口湖付近までワープすることが出来 た。道の駅でトイレに寄り、西岸から未だ桜も5分 咲きの西湖北岸へ移り、路地へ紛れ込む。あった。 薬明大神だ。あ、あれだ。若干1台分のスペース だ。俺様のものだ。正義は勝つ、勝つのだ。 お握りを掻っ込み、6時、王道を目指す。約4ヶ月 振りのトレッキングブーツに拠る登山だ。さて、 鍵掛峠からどっちへ進むかな、迷うな、、、林道 の先にも数台の駐車スペースが確認されたが、是 以上休部号の足回りを傷付けたくはないため、其 のまま二本足で進行した。風よ吹け、森を潰せ。 やっぱり、俺は呼ばれているのだ。木々に、土に、 頂に、、、足取りは軽い。西湖北岸地方の気温は 若干3℃だった。冬場紛いの冷涼感が夏場紛いの 下界の喧騒を無限遠へと運び去った。大空を仰ぐ。 カメラを構えれば、電池は充分なのに直に電源が 落ちてしまう。是は前回の修理の後遺症なのだろ うか、修理代に加えて修理調査費まで取られた前 回の改修の副作用と思われるのだが、このままで はまた修理が必要なのだろう。何が連結売り上げ 1兆円だ。もうあの電機屋で買い物はしまい。デ ジカメの故障でシャッターチャンスを逸したが、 期待に違わぬ真青な空は未だアントニオを待って くれていた。実は大澱筋付近の肉離れの後遺症が また昨日ぶり返したのだが、其の様なものはショッ ク療法で治す積もりである。今日もまた迎え筋肉 だ。筋肉は何とか誤魔化して再生できようが、4ヶ月 振りの山用ブーツ装着に早くも靴擦れを迎えてし まう。 東に鬼ヶ岳、西に王岳を擁する峠には富士の大雄 姿が拝めなければ役不足と思われかねない鍵掛峠 だが、今日は未だ光力準備中であった。眼下には 散在する根場の民宿が亡霊の様に浮かんでは消え た。王岳ピストン後鬼経由節刀ヶ岳にするか、逆 にするか。途中での故障リタイヤを考慮すると、 果たしてどちらが融通が利くのか。肌寒い。節刀ヶ 岳は別ルートからの登山も可能だから、今日は王 岳を先に回って様子を見るとするか。峠までコー スタイム約2時間のところを1時間でクリアした。 庵速エンジンは今日も不調はない。斯くして一歩 ずつ加糖文三郎に近づくのか。ならば北鎌尾根に 眠る運命なのか。久々の庵速が祟ったのか、ただ 寒さの問題か、膝が疼きつつあった。是では王岳 から直降せざるを得ないだろう。山頂からの展望 も、期待すべきものは全て蒸気の中にしか存在し なかった。寒い。デジカメもない。長居は無用だ ろう。とあるHPを検索して調査したところ、山頂 より西側から根場民宿方面へ直降するルートがあ るらしい。誰でも目に付く看板があった。下ろう か。 ショートカットコースは至って良く踏まれており、 殆ど心配はない。ただ、堤防付近で方向が微妙に なった。踏み跡が怪しいが、少々下に見える林道 を目指せば大丈夫だろう。だが、濃霧時には遭難 の可能性がある。振り返れば王岳のバックが深青 い。後30分遅ければ。だが、後30分遅ければ、駐 車スペースは埋まっていたかも知れない。富士見 機会均等法に則れば、今日は見えなくても仕方な いのだろう。だるいながらも林道を下ると、往路 にて車で掠めた森のがっこうの脇に出られた。3時 間程で降りて来てしまった。膝具合もある。今日 は大人しく山を去ろう。 さて、往路を引き返す。何時の間にかふじやまビー ルの名前が変わってしまった。ビールに合う料理 も晩年は激減していたから、地ビールレストラン として経営が成り立たなくなってしまったからな のか。復興の一助にと思っても、其の敷居を跨ご うものなら当然の如くビールが飲みたい。アルコー ル分の少ない地ビールなぞ存在するのか。存在し ても飲みたくはない。嗚呼。ビールへの未練を断 ち切り、やがてどうしみちへ進む。何度もどうし みちを使いながらも今迄寄ったことの無い道志の 湯を訪ねた。免許証を見せながら恐る恐る尋ねれ ば、HPでは3月一杯までと謳われていた横浜市民 割引が未だ適用されて、たったの300円で温泉を 楽しむことが出来た。あまり大きな風呂ではない が、土曜も未だ午前中とあってゆったり寛げた。 食堂のメニューも少ないが、山独活の胡麻和えは 絶品であった。 土曜も昼間から城山付近は大渋滞となり、先日か らイメージトレーニングを積んだ相模川沿いの抜 け道ルートを模索することにした。狭い小倉橋を 渡る順番に暗黙のルールがあったのか、途中まで 橋を進むと、対向のトラックが威嚇するように寸 前でハンドルを切り裁いたのには閉口した。暗黙 のルールは解らないので、信号設置を切に望みた い。新昭和橋付近からR129へ合流するのに若干梃 子摺り、また、R246と併走区間は一旦西へ進んで から東名高速を利用した。横浜町田ICくらいの規 模になるとETC通過が気持ち良い。地元GSより大 抵リッター当たり1円は安いため、西谷のESSOを 目指す。満タンにしてからディラーへ殴り込み、 文句を言う。どうも先日の事故の影響で、ABSセン サー部にゴミが残っていたのか、高速運転時にセン サーが異常を検知し易くなっていたとのことであ る。掃除をしたので様子を見てくれ、とのことで あった。庵庵までの短い道程だが、センサー部の 清浄で逆にABSが過敏に反応しているような気がし てならなかった。大丈夫なのか。不安は募る。 (完) ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 付録: 山旅アドバイス ・道中一切雪はなし。 ・薬明大神脇駐車スパン1台。付近にもう2台ほど置ける。4駆で頑張れば 林道の少し上に数台駐車可能。 ・王岳から根場民宿直降ルートは林道付近が分かり難い。 濃霧時は利用しない方が無難。 ・道志の湯は4/16現在で横浜市民優待は有効。身分証の持参を。