不定期連載 山道をゆく 第157話 04/06/06 小倉山(庵選千名山281)、魚沼駒ヶ岳(日本百名山、庵選千名山282) |
【源泉】 6/5(土) 庵庵−R16−八王子バイパス−入間IC−高坂SA−塩沢石打SA・IC −コンビニ・ガソリンスタンド−R17−R352− 6/6(日) −奥只見シルバーライン−銀山平船着場−奥只見シルバーライン−灰の又 −駒ノ湯…小倉山…駒ノ小屋…魚沼駒ヶ岳…駒ノ小屋…小倉山…駒ノ湯 −ゆーパーク・レストラン銀山−A Coopゆのたに店−R17−六日町IC−塩沢石打SA −上里SA−入間IC−R16−八王子バイパス−庵庵 −:車、…:歩き・走り ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ |
煮詰まっていた。ストレスを溜めていた。飲み食いでも良い。だが、毎週末飲んでばかりは非健康だ。食う飲む登るのアントニオとは言え、登ってから飲み食いが正しい筋書きである。矢張りガツンと一発重めの山を遣って、山小屋なり民宿なりで死んだように熟睡する。この手のが理想のパターンである。土曜日出勤が今更ながら痛い。何が痛いって?絶好の山日和なのだから。日曜の天気は下り坂、何処の山に焦点を当てるか思案を巡らせていた。平ヶ岳くらいのロングコース後、風呂で思い切り疲れを癒したい。平ヶ岳登山口付近のヒュッテにメールを出して状況を確認すると今年は雪解けが早いと言う。ただ、月曜日は間違いなく雨に祟られそうだから、結局宿の予約は取らず仕舞いで庵庵を発った。 |
土曜日夜のR16は滞りを増していた。有料でも構わないから、保土ヶ谷バイパスから北側に延伸して欲しい。夜の相模原時に久々にカーラジオで野球聴戦をしながら休部号を転がしていた。2001本安打を締め括った翌日の清原に出番は巡らないと思しき所、9回の神宮球場に大キヨハラコールの大合唱が沸き起こる。武道館にミサワやコバシコールが湧き上がるようなものだろうか。神宮空間の気持ちが痛く伝わった。清原は果たして内野ゴロに倒れたが、其れでも彼の挙動を確認出来た4万5千の観衆は惜しみなく彼に拍手を送った。重量打線の中、カリスマ性を帯びつつある清原。500本本塁打までもそう遠くはない。最後の足掻きとは大変失礼ながら、負けない清原を世界に示して欲しい。そしてニュースにてアナウンサーがポツリと零した。尾瀬ヶ原に熊出没、2人大怪我、とのことである。アントニオの行く先は尾瀬からは左程遠くはないな・・・ |
高速に一度乗れば滞りも失せ、順調に進む。そう、何処のICか失念したが、軽トラックが逆走というか、ICからの加速レーンでバックしていたのが目に付いた。人事かと思っていたら、目撃してしまうとは。お年寄りではないのか。高速で逆走やバックをさせると体中に電流を走らせて無謀をやめさせるなど、他者に迷惑の及ばない回避策はないものか。奇行を記している翌土曜日の朝刊にも関越道逆走で死者を出した事故が発生している。巻き込まれずに済んだのが幸いである。軽トラックの運ちゃん、免許は大人しく返納しろ。R352へは小出ICが至近だが、24時間営業のガソリンスタンドの存在が気になり、JomoやEneosのホームページで確認すると、塩沢石打IC付近にしかないとのことである。高速代も掛かるし、深夜のR17は左程流れも悪くなかろうと、少々手前のICで高速を降りる。コンビニに寄って少々北へ向かうと、Jomoのスタンドに到達した。原油高騰の最中、他県ナンバーやカード払いにも拘らずリッター108円とは下手に首都圏で買うより安いではないか。後程Eneosのスタンドも確認出来たが、此方はリッター110円なので少々得した気分である。土曜深夜のR17はトラックや代行車なども少なくはなく、決して交通量は皆無ではなかった。彼等の車がなければ安全速度を逸脱していたかも知れない。下道の宿命だ。安全運転だ。やがて小出ICに近付くと、灯台下暗し、ホームページ検索をし忘れた出光の24時間営業ガソリンスタンドに煌々と灯りが点っていた。ヤラレタ。次回は此処を使わせて貰おうか。R352に入ると邪魔者もなく、勢い良く東へ進む。彼此6年前の初尾瀬の帰路にも利用した奥只見シルバーラインに進む。当時は西那須野塩原IC側から延々檜枝岐や御池側を通り、其のまま小出側に抜けたのだが、シルバーライン内でガス欠寸前になって肝を冷やしたのが懐かしい。シルバーラインと言えばシルバーレーンである。中山のボーリング場に最後に訪れたのは何年前だったか。何時しかボーリングと言う遊びをしなくなってしまった。時に今宵、会社主催のボーリング大会も実施の運びであった。賞品が、参加者から掻き集めた参加料を纏める、と言う芸の無さに触手が沸かなかった。また、長引く腱鞘炎のため大会本部からの出場要請にも涙を飲んで辞退の意を表明した次第である。腱鞘炎でも山には登れる。腕を痛めて賞品も出ず、ハッピーエンドに終わりそうもない週末は敬遠させて貰おうか。シルバーラインの湧き水滴る登りトンネルを駆け上がり、夜の更ける銀山平に到着。登山口の鷹ノ巣まで、細いカーブの連続をまた1時間くらい転がさねばならないだろうかと諦念を背負いながら東へ進むと、予想だにしない展開が待ち受けていた。 |
船着場の先が土砂崩れの工事中なのか、通行止めになっていた。 |
嗚呼、シマッタ。宿の人に交通事情まで確認しておくべきだった。湯之谷村ホームページにもこの事実は記載されていなかった。ううむぅ。だが、この駐車場にはトイレもあるし、晴れていれば平ヶ岳の翌日赴こうと思っていた未丈ヶ岳にでも登るとするか。鷹ノ巣までの狭路ドライブをせずに済んで半面ホッとしている自分も居た。恐らく釣り客と思しき車が数台並んだ駐車場に、休部号を停め、車中で寸分の眠りを貪ることにした。 |
寒過ぎて目が覚め、寝袋を荷物から取り出して包まりながら、4時にセットした携帯電話の目覚ましを聞いて起きる。下り坂の天気予報に反し、日が昇りつつある。やった。戦う者は救われる。頑張れ太陽。今日だけは持ってくれ。武者震いしながらシルバーライン方面に戻る。ひょっとして、との期待の最中、一旦シルバーラインを無視して枝折峠方面へ進んでみる。ものの数分で通行止めのバリケードにぶち当たってしまう。ううむぅ。一瞬、其の「ひょっとして」越後の名峰がアントニオを拒んでいるかにも見えた。矢張り心掛けなり、準備不足の影響であろうか。大人しくシルバーラインに戻る。地図上では4つ目のトンネルの先に登山口への道が分岐しているようではあった。4つ目あたりを通過した先に、チェーンで塞がれている林道のようなものが一瞬目の前を過ぎった。嗚呼、未丈ヶ岳も我を認めず、か。シルバーラインのトンネル内の非常退避場所に2台程駐車車両があった。彼等はもしや、此処から未丈ヶ岳を目指していたのだろうか。然し、退避場だろうに・・・。シルバーラインを抜け、意を決して東へ進む。薄暗い交通量の考えられない時間帯と言うこともあり、ジモティの軽自動車が側道から一時停止なしで飛び出してきたのには閉口した。是だから事故が起きるのだ。ジモティだからと言って許される問題ではない。偶々本線を通過した私に一切の非はない。彼の一時停止ミスだ。アントニオの予期が無ければ間違いなく衝突していただろう。さて、気を取り直して国道を進む。森の中、灰の又より先のR352は此方側も通行止めである。だが駒ノ湯方面へは特に支障なく進め、駐車スペースにも未だ空きがあった。今迄計画の俎上にも載らなかった越後の駒ヶ岳だが、是はチャンスである。今日は何が何でも今年最初の百名山をクリアさせて貰う。雪が心配だが今日はアイゼンも持参している。多少の苦難には甘んじよう。雪がアントニオを阻めるものなら阻んでみよ。 |
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ややきつい上り坂の果てに、風力発電向けのプロペラが見える。小屋は近いぞ。素泊まり小屋に麦茶のサービスは諦め、今日最後の雪渓に取り掛かった。もう直だ、アントニオ。雪に足跡を刻め。快適なんて、簡単だ---簡単ではなかったが。 |
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山頂である。さすがだ。独占だ。巻機山、荒沢山、八海山、丹後山、中ノ岳、兎岳、守門岳、浅草岳、未丈ヶ岳、燧ヶ岳、日光白根山、武尊山、谷川岳、苗場山、那須岳、会津朝日岳、嗚呼、良く目を凝らせば白馬方面も薄っすらと、、、漲る眺望。さすが、越後の名峰だ。 |
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上り6時間5分、下り3時間50分がコースタイムである。だがアントニオは都合3時間半で登ってしまった。何がそうさせたのか。矢張り死期が近いのか。越後三山の中心で、そろそろ愛でも叫ばねばならないのか。 |
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あ、八海山を見ながら八海山をやる、と言う野望を忘れていた。。。あの八峰の威容。鎖場の金太郎飴と呼ばれている難コースらしい。何時かは八海山をやりながら、やらねばならないだろう。越後の山に随分と親近感が湧く。R352が開通したらすぐにでも平ヶ岳リベンジもしたい。豪雪地帯の守護神と思っていたが、意外や意外、アントニオのレベルではアイゼンは使わず仕舞いであった。困難なく登れたことを有難がるべきか、地球温暖化を悼むべきか。地球温暖化は雪山産業にも深刻な打撃を齎すであろう。 |
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上りより下りの事故率が高い。雪渓を慎重に降りる。丁度駒ノ小屋から管理人さんが表に出ていた。昨日は日柄も良く、大勢が停泊していた模様である。四六時中駒を見続けている氏にとっては価値の少ない日和かも知れないが、ただ、庵的には今日で十分だ。 |
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下りは怖いと言うことで御多聞に漏れず泥濘に足元を掬われた。アズマシャクナゲも笑っている。森林限界内に戻れば足元でジシバリが、往路に撮影してくれなかったことを悔やんで訴えていた。一時は雪に埋もれる覚悟ではいたが、意外や意外、存分春の花に恵まれて魚沼駒に目を踊らされた。 |
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下山も結局庵速でコースタイムを1時間以上縮め、登山口に到達した。入山届ポストに念のため下山の旨のメモを走り書き、駐車場に戻る。灰の又以東に行かれず此処まで来てUターンする車多数あり、目障りであった。現在11時を若干回ったところである。道路交通法規上、R352の大湯以西は12時まで灰の又から銀山平方面への一方通行に、午後に逆向き一方通行となっている。今直ぐ小出方面へ戻るのには堂々と違反しなければならない。1時間もある、折角だ、日本秘湯を守る会会員宿の模様で今日を逃すと一生訪れる機会もないかと勘繰り、駒ノ湯で汗を流すことにする。 |
冷たくはないが、とても温い。32.1℃の源泉である。温泉法の定義上、25℃を越えていれば良いとは言え、この温さで果たして体が癒えるのだろうか。灰の又以東が通行止めで仕方なく寄ったと思しきオジサン連中に湯船を占領され、効能も半減してしまうような気分に追い遣られた。洗い場が一箇所しかない。ケロリン洗面器の輝きも今一つだ。確かに是だけ温ければ存分長湯も可能だ。ただ、もう少し温くても良かったなぁ。因みに源泉湯船の脇に1,2人で満席となってしまう沸かし湯の浴槽もあった。オジサン等が引けた後、温槽でも寛がせて貰った。 |
入浴前から懸念していたのだが、宿と別棟の風呂棟の2階が休憩室になっているが、案の定、麦茶のサービスはなかった。宿棟に戻って番頭に問うても、風呂だけユーザに摘みを出す素振りは微塵も無い。嗚呼、悲しい。今日の山行は麦茶に十分値したと主張出来るのに。 |
風呂でさっぱりしたものの空虚な胃を携えねばならぬ不甲斐なさの中、休部号にて西へ戻ることにした。途中の釣堀兼食堂にはライダーが群がり、山後の清々しさを省みる臨場感に欠けるためパスさせて貰う。偶には蕎麦も悪くなかろうと、平ヶ岳ガイドブックの観光紹介記事中のゆーパーク併設の食堂の暖簾を潜る。客はゼロだった。そして蕎麦は絶品だ。だが、蕎麦以外に地場の物がないのが寂しい。何故此処まで来てソーセージとかポテトフライとか、何処にでもあるメニューしか揃えてないのか。レストラン銀山、、、蕎麦だけでは客を魅了し続けることは難しかろう。誠に遺憾である。蕎麦の脇を固めるアイデアはないのか。 |
気を取り直し、R352を西へ向かう。土産はそうだ、地場のものだ。地元のスーパーだ。思い出した矢先にJAゆのたに店が視界に現れた。絶妙なタイミングだ。案の定、野沢菜が安い。色々と迷ったが4品目くらいをチョイスさせて貰った。 |
R17に戻る。思いの外往路は高速代が嵩んだため、帰路は越後湯沢あたりまで下道を使おうと試みたが途中で下道カラータイマーが点滅してしまい、結局六日町から高速運転に移行した。少しパラついて来た様だ。ふふふ、庵速に雨は敵わなかった。JAで購入した無糖珈琲をちびりながら睡魔と戦い続ける。SAに寄っても何故か食欲は沸かない。花園近辺の若干の滞りは免れなかったものの、圏央道を降りた後のR16も日曜夕方にしてはスムーズに流れていた。明日は、月曜だった。未だ遠い、平ヶ岳。 (完) ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 付録: 山旅アドバイス ・関越道下り塩沢石打SAに寄ってからICで下車可能。 ・R352 銀山平船着場から檜枝岐方面は6/12に開通。 ・R352 灰の又から石抱までは6/27から開通予定。 ・アイゼンは必携。 ・駒ノ湯の駐車場にトイレはない。 |