新東名

不定期連載 山道をゆく 第246話
12/5/4
山伏(日本三百名山、山梨百名山、庵選千名山543)
【新東名】

5/4(金・祝) 庵庵−ESSO白山町SS−中原街道−横浜町田IC−東名高速−御殿場JCT −新東名高速−NEOPASA清水−新静岡IC −県道27号線(安倍街道/井川湖御幸線)−玉機橋 −県道29号線(梅ヶ島街道/梅ヶ島温泉昭和線)−新田−大谷崩分岐点 −大谷崩駐車場−分岐点−新田−分岐点−林道西日影沢線−駐車場 …登山口…大岩…蓬峠…山伏…蓬峠…登山口…駐車場−林道−新田 −県道29号線−県道27号線−新静岡IC−新東名−新清水JCT−清水JCT −東名−愛鷹PA−横浜町田IC−R16−中原街道−ESSO白山町−庵庵
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例年GWには休日なれども業務対応があり、積極的に遠征行程を組むことから暫く遠ざかっていた。九州や四国でも天候不順であったりなどのマイナス要因も体験済みである。何処も高い、込む。日帰りくらいが無難だ。少々前から温めていた山伏にでも歩を向けるとするか。新東名も通じたことだし。今年最初の2000m級もよかろう。船通山亀石コースのような大雪に覆われていないことを切に望みたい。懐中電灯に行動食、飲み物とを車に積み、日付変更線を越えて間もなく庵々を発った。
近所のガソリンスタンドで給油とタイヤの空気圧チェックを行い、町田ICへと向かう。休日深夜ともあれば、物流を担うトラックは少なからず走っているものの、至って運転し易い交通量であった。御殿場JCTから新東名に入る。路面が傷んでいないため、何時も以上に速度が出ていることに気が付かず、注意が必要だ。丑満つ時で風景は判らないのだが、交通情報ラジオは東名との混線を避けるために出力を下げて聞き辛いか、東名のそれが混線してこちらにも聞こえてしまい、耳障りであったのは否めない。解決策はあるのだろうか。清水SAにも寄った。今時SAとは呼ばず、NEOPASAと呼ぶようである。呼び方はどうでも良い。あまり広いと車や人間の移動に時間がかかってしまうので小さな方が有難いのだが、ここを逃すともう出口になってしまうと思い、止む無く寄ったまでである。トイレ休憩後、本線に戻り、新静岡ICを出た。何だか一瞬に近い。とは言い過ぎか。
県道27号線、29号線を只管梅ヶ島方面へと進んだ。さてさて。新田バス停付近で曲がるのは合っているが、その先は、、、ずんずんと進むと、どうやら期待とは違う大谷崩方面に来てしまったようだ。むむむ。登山道の路盤の心配もあり、時間も未だ余裕があったため、ひとまず戻ることにした。新田のバス停くらいまで戻ってしまったのだが、、、他にめぼしい道もないな、、、ガイドブックに登山地図添付冊子を再度チェックし、交差点を確認した。ああ、左へ逸れる砂利道に進まねばならなかったのか。。。再び茶畑の間を縫い、慎重に車窓の左側をチェックしながら進む。空は少し明るみを増しており、懐中電灯は不要となった。テニスコートを右手に見てその先か、、、あった。しかし、看板はあるが山伏登山口らしき文字列は見当たらなかったように思う。西日影沢の河川敷の延長と見られる砂利道を進むと、ガイドブックの表現からの想像より遥かに小さな駐車場に、先客車が1台で、氏は天泊していたところだった。嗚呼、20分以上はロスしたか。しかし、もう明るい。行け、アントニオ。モスクワは近い。
車を運転している最中は靄で行く先に不安を覚えたが、徐々に晴れ渡って来た。進め、アントニオ。思ったほど急ではないトレイルを進む。あの駐車場の唯一の先客がテントでゴソゴソしていたくらいなので、アントニオは今日のトップランナーだろう。進め、アントニオ。今年初の2000m級だ。気力漲る。頂よ、待っていてくれ。そして、巨大な富士を拝めんことを。沢には幾つかの立派な木橋が設けられていた。有難い。山伏の伏流水は清酒とでもなるのだろうか。1500mを超える峰々からの清水は、ピュアであり、美味しそうである。沢沿いを離れ、ジグザグに高度を上げて蓬峠に到達。未だ山頂は遥かだ。 斜面を縫うやや細目のトレイルに船通山亀石コースの悪夢はおぼろげながら蘇ったが、あれに比べれば遥かに歩き易い。空の青さが次第に身近に感じられつつあった。進め、アントニオ。巨大スクリーンに富士を直視せよ。体中に漲るエネルギーを武器に、従来より途中休憩回数を減らしながらの登山である。

山頂直下からカタクリ保護目的のための木道が続いたが、カタクリさん、カタクリさん、いらっしゃったら出て来て下さい、、、時期尚早であった。ヤナギランも未だ。スカンクキャベッジも未だ。気温は8℃。半袖にとっては極めて涼しい。青薙山や大光山が映えているが、富士側は雲が厚く、、、しかし天空は青空だ!青空の力は強いが東側は白雲が厚く、富士を拝めなかった。雲よ、流れよ。雲よ!しかし、アントニオの願い叶わず、白雲の群れは控え打者が次から次へと空を覆い、富士を隠すのに躍起になっていた。20分は待っただろうか。雲多勢に無勢であった。真上は青空である。勿体ない。残念だ。長居で体を冷やすのも避けたく、下山を決意した。

下山に連れ、上空が青から灰色へと色彩を変えてしまった。アントニオと擦れ違い、これから山頂を目指す方々の前に富士が顔を出すのも確率は低いのではなかったろうか。両膝サポーターを持ち合わせておらず、ダメージ蓄積を少しでも軽減しようと、何時もよりゆっくり目のペースで下山をした。沢沿いを下り、駐車場に戻ったのはまだ9時台であった。車の台数は増えた。まぁ、頑張ってくれ。
茶畑を縫うと、静岡駅方面からバスで来たとみられる親子連れハイカーと擦れ違った。さすがにバスはもう動いているか。県道29号線では梅ヶ島温泉からの折り返しバス便に先を越されていたが程無く先を譲って貰い、高速道へ向けて快適に快走できた。
新東名に入れば5km程度の滞りに遭ったが、その後、御殿場ICから御殿場JCT渋滞5kmは満を持して新清水JCTからの東名利用で回避を試みた。そして、その渋滞現場は減速することなく通過できた。新東名から御殿場アウトレット目当ての車列が、新東名寄り一番左側車線とその右側車線にびっしり並んでおり、それをセンサーが渋滞と感知していたのである。東名側の車線には影響が元々なかったのか。アウトレットはそんなに魅力的なものなのだろうか。5月4日午前中の東名高速は大和トンネル付近に渋滞もなく、極めて快適であった。出発時に次回利用時にリッター2円引きのクーポンが印刷されたので、ガソリンスタンドに再び寄ったのだが、「明日以降ご利用になれます」とのメッセージが返されたので給油は止めにした。残念。ろくに観光もせず、勿体なさは残るものの、今日の印象は良く、また行きたいと言う気持ちをもって旅を終えられたのが幸いである。
(完)

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付録:
山旅アドバイス
・新田に看板なし。バス停新田のそばの交差点を左折し茶畑を目指す。
・林道西日影沢線分岐は看板が不明。
テニスコート先で左側に入る砂利道を目指す。
・新東名→御殿場アウトレット渋滞に巻き込まれたくなかったら
東名を利用すること。